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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
20日目、お祭りなのです
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転移20日目 記入日 A,C, 27/03/15



 まさかご機嫌に歌っているところをライゼさんに目撃されるなんて。あんなところから出てくるわけないと思ってしまっていました。今後注意します。


 でも彼女は私の歌を聴きたいと言ってくれました。余り上手とはいえませんが、頑張ろうと思います。

 何時になるかは、わかりませんけれど……。


 それにしても、あの首の痣はなんだったのでしょう。彼女は気にしなくて良いと言いましたけれど。彼女の白い肌にあんな痕がつくのは嫌ですね。虫にも注意しないと。



 前日祭が始まりまりました。広場と大通りを担当して警備します。

 広場で来場者たちを待っていましたが、まさかあんなにも一直線に広場を目指してやってくるなんて思いませんでした。

 広場に彼女が居ると、どうやって知ったのでしょう。


 祈りを捧げられ、それに返礼する彼女は綺麗で、荘厳でした。浄化も平行してやっていました。私も遠距離の”光”が使えれば、よかったのに。彼女にばかり負担をかけてしまう、悔しい……。



 コルメンスさんにお呼ばれして昼食会です。エルさんとゲルハルトさん、エリスさんアンネさんも一緒です。大勢で食べるのは集落以来ですね。

 念願のアカムツを食べることが出来ました。非常においしいものでしたけど、彼女ならどう味付けするんだろうってずっと考えてしまいました。甘く煮付けるのか、甘辛くするのか、それともさっぱり塩なのか。気になりますね。


 エルさんから向こうの世界のことを聞かれました。専門知識がないので、余り応えられませんでした……。勉強、大事ですね。思わぬところで必要になってしまいました。ちょっと後悔。


 アンネさんからは、私の向こうの世界での生活を聞かれました。

 コルメンスさんからアンネさんが窘められていましたね。

 それも仕方有りませんね。”巫女”である以上、余り面白い話は聞けないでしょうから。

 それでも私はマシなほうなんですよ。彼女は、本当に、森と小さい集落しか、知らないのですから。

 

 彼女に会えただけで、今までの人生全てに感謝したいほどの喜びが生まれたのです。気にしてないのですよ。



 昼食会後、警備を再開しました。

 そこで、男性二人組みが彼女を狙ってきました。

 怒りで、強化状態で沈めてしまいました。


 後遺症はないでしょうが、顎と脇腹への強打です。顎が打たれ弱くなったり、骨に異常が出たりはないようにしましたけど、手加減が余り出来なかったです。


 周りの人に、また変な噂を与えてしまったかと思いましたけど、今回は明らかに相手が悪いということ、私が警備をしていることで余り変な目で見られませんでした。腕章のお陰でしょうか。

 今度から腕章をずっとつけていたいです。


 

 余り平和というわけでもありませんでしたけど、大きな被害もなく一日目が終わりました。

 司祭の事は気になりますが、余りあの人のことは考えたくありません。

 狂信者は嫌いです。

 考え方もそうですが、思い込みが激しい所も大嫌いです。

 こんなにも、人に嫌悪を抱くのは初めてです。


 あんな人のせいで、彼女が迫害されていた過去があるということが、私の手は震えさせます。

 彼女を傷つけたりさせません。身も心も私が守りきる。

 誰にも傷つけさせません。


 お祭り、彼女が目を輝かせて出店の料理を買っていたのが印象的でした。その時に巫女様だからと無料で渡されそうになって困ってしまったり。私にも渡されて、顔をじっと見られたり。まだ噂は残ってしまっていたようです。

 彼女が笑顔で隣にいる。楽しんでいる。

 それだけで、私にとって最高の日になりました。


 ここで謝っても仕方ないですが、私達が広場を祈りの場にしてしまったせいで、大道芸の皆さんが追いやられてしまっていました。

 午後から私達が動き出してからの演技となってしまい、申し訳ないと。アンネさん経由ででも謝罪をしておきたいです。

 明日も多分、広場を使わせてもらうことになります、と断りも入れて。

 

 余り見れませんでしたが、花火はすごかったですね。魔法でやっているようで、魔力も見えました。他の人より少しだけ色の増えた花火。すごく綺麗でしたけど――彼女の顔ばかり見ていました。彼女も私を見ようとしていたのかどうかは分かりませんが、よく目が合いました。


 二人で花火を楽しみながら、手を繋いで歩いた道は、いつもより輝いていました。

 平和になった時もしまた見られるのなら、ゆっくり座って、二人で見たいですね。



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