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六花立花巫女日記  作者: あんころもち
1日目、私って森フェチなのです・・?
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神林集落④



 お風呂から上がり、私はこの世界の服を渡されました。私の服は、乾かさないといけないので。


「……」

「……」


 着た後、二人して黙ってしまいます。


 渡された服は、アリスさんの予備。ローブです。白っぽい銀? 少し赤みもあるような。そんな不思議な色をしています。


 裾は足首、くるぶし付近まであり、袖は手が隠れるほどですが、驚いたことに、手が使い辛いということもなく違和感がありません。


 腰は締め付けられていて、少し体のラインが出てしまいます。ダボダボのニットとかが好きな私には少し、着慣れないラインの出方ですね……。


 首元はボリュームタートルネックのような感じになっています。そして全体にピンクで紋様が描かれています。神さまの紋章? でしょうか。


 同じ”巫女”ですからこの服を着ても大丈夫です! と力強く宣言されたので、特に疑問ももたず着たのです。でも……。


「えっと。やっぱり普通の……」


 アリスさんがおどおどと、私の様子を見て提案しようとします。


 ご想像通りです。胸がダボダボでした。そして腰はしっかり私と同じです。アリスさんのスタイルの良さを、私は今体で感じているのです。


 そして、アリスさんの反応はを見て少しだけ……私の悪戯心に火がついてしまうのでした。


「私は……アリスさんと一緒の服が着たい、です」


 後ろ手を組んで少しもじもじとしながら言います。ちょっとした仕返しですけど、嘘でもなんでもない、ただの本音です。でも恥ずかしそうに言えば少しは効く――。


「! はいっうれしいですっ!」


 満面の笑みとはこのことでしょう。私へのクロスカウンター、ワンパンチ……KOです。


 ふぅ……ここまで喜んでもらえてるのなら、言ったかいがありましたね。演技のつもりが、本気で恥ずかしがってしまったのは内緒です。



「では、集会場へ参りましょう」


 上機嫌になったアリスさんと、そんなアリスさんに微笑む私。同じ服を着た二人が連れ立って歩きます。


 傍目に見て、どう映るのでしょう。姉妹?


「集会場、ですか?」


 そこで何かしらの説明があるとのことですが、さて、どんなことなのでしょう。私の()()()は、良い事ではないと言っています。


「はい。こちらです。案内の続きをしながら向いましょう」


 そういって集落の中心に向って歩いていきます。ここまでアリスさんにしてもらって、尻込みするのは失礼です。覚悟を決めましょう。


「ここが集落の中心。広場になります。井戸があり、ここを基点に円形に集落が広がっています」


 裏手口両脇に集落長と守護長の家、その集落長宅の2軒となりにお風呂場、でしたね。


「円は円でも楕円ですが、ここに人が一番集まりますね」


 井戸のほかにベンチのような椅子がいくつかあります。憩いの場といったところでしょうか。


「入り口側に看板がいくつかあるかと思いますが、あちら側にお店の類があります。日用品、酒場、ですね」


 交易関係はどうなってるのでしょう。そのあたりの疑問はありますが、まずは場所の把握を優先させます。


「公共の場はこれくらい、です。残りは全て住宅になります。この集落には八十四人ほど住んでいます」


 その中の三分の二が守護の任についているとのことです。守護の役目がないときは、普通の農夫だったりするようですけど。


「そして、入り口から見て左手にある、一際大きい建物が集会場です」


 八十四人全員が余裕を持って入れそうな、大きな建物がありました。ここで話あるようです。ただその横に、気になるものが見えますね。


「アリスさん。集会場横から伸びてる道はどこへ通じているんですか?」


 見たところ、森には入ってないようです。


「はい。あれは集会場裏手に見えます高台へ続く道になります。見張りの方がそちらから登っていくためのものですね」


 困ったような笑みを浮かべアリスさんが言います。


 見張り――。そう、ですよね。守る必要があるということは、狙われてるってことですから……。


 いち早く敵を見つけるには高いところから眺めるのが一番、ですよね。アリスさんが狙われる、その現実に確かな怒りが胸に燻ります。


「……」

「―――。リッカさま……」


 アリスさんは何か言いたげのようでしたが、飲み込んでしまいました。


「では、いきましょう」

「はい」


 どんな話があるのでしょうか……。私の説明ってどうするのでしょう。湖を通って遠いところからやってきた、なんて信じませんよね。


 そう考えつつ、集会場の扉をくぐるのでした。

 


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