第81話 再び迷宮へ(2)
「また会ったな」
少し前に迷宮で助けた二人組に俺から声をかける
「あ、あなたはあの時助けてくれた冒険者さんではないですか。こんなところで会えるとは、、、どうしました?」
一人の男は焦ったような返事をするがもう一人の男が前に出て遮った
「長々と話す必要はない、あいつらの目的はスタンピードを発生する前に止めること。つまり我々の敵だ」
「さすがに分かったか、もう少し話をして時間を稼ぐつもりだったんだが、エル、チカ」
「『聖なる経典』」「『ゲイルブラスト』!」
俺の合図に合わせて二人は上級魔法を魔物の群れに向かって放つ
エルの使った『聖なる経典』は光系上級範囲魔法で範囲内にいる味方の体力を回復し敵にはダメージを与えることができアンデッド系の魔物に対して非常に有効らしい
そして、千栄の使った『ゲイルブラスト』は風系上級範囲魔法で目には見えない風の球を作り出しそれを爆発させ風の刃を飛ばして攻撃する風系の魔法の中でも特に殺傷能力が高いものだそうだ
もちろん相手は自分たちが用意した魔物たちが倒されるのを防ぐためにそれぞれ上級魔法の詠唱を始めるが
「おいおい、俺がいることを忘れるなよ?」
そう言って手に持っている刹那で斬りかかるがぎりぎりのところで避けられてしまった
魔法に長けた魔族と言えど戦闘に慣れていなければ少し邪魔をされれば詠唱は止まる。そして、詠唱を止められた直後に自分たちの後ろから爆発音が聞こえ振り返って確認させるとそこには大量の魔物の残骸が残っていた
「残ったのは50体程か、ならユキと桜花、サラ、ルーナの四人で片付けておいてくれ」
「わかった、シキは?」
俺がユキの頭に手を置きながら指示を出すとユキが上目遣いでこちらを見ながら聞いてきた
「俺は、そこの魔族どもの相手をする」
「下等な人族ごときが我々の計画を邪魔しおって!貴様らは我が炎で焼き尽くしてくれる!」
用意した魔物をほとんど倒されたことで男は詠唱を始め、その詠唱を聞いたエルが注意してくる
「シキさん、気をつけてください。あれは炎系上級広範囲殲滅型魔法です」
エルの方を見て分かった、とだけ返事をして相手の方を向き蝕に合図する
(蝕、やるぞ)
『ようやく出番か、しっかり扱ってくれよ?』
そう言って指輪から鎌の状態に形を変え、紺色の柄と少し青味がかった大きな刃をもつ鎌になった
「さあ、せいぜい足掻いてくれよ?」
後ろからなにやら話し声が聞こえてくるが気にせず敵に向かって歩き出す
すると、今度は二人で詠唱はせずに一人が前に出て剣を構えていた
「今度は魔法は使わないんだな」
「私は剣より魔法の方が苦手なんだ、今の私では足元にも及ばず胸を貸してもらうような戦いになってしまうだろうが少しの間付き合ってもらおう」
「そこまで実力差が分かっていながらなぜ退かないんだ」
「私は他人の魔力を見ることができる魔眼を持っていてな、お前の魔力を見て判断しただけだ。退けない理由だがそれは我らが王の命令だからだ、人族の領土でスタンピードを起こし人族を滅ぼせ、とな」
「ラオルがそう命じたのか?」
ラオルと敵対している魔族の幹部とはいえ元はラオルの部下だった者、それが気になったので聞いてみた
「ラオル様か、あの方は人族との共存を願っていた。私もその考えに賛同していたのだが今の魔王様に家族を人質に取られてしまって仕方なくこうしている」
「人質にか、ならその家族、俺が助けてやろうか?」
俺の予想外の提案に男は驚いた顔をした
次回は戦闘を書こうと思います!
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