第77話 千栄の覚悟
「これで登録は完了です。説明はどういたしますか?」
「こっちで説明するから大丈夫だ」
「わかりました、シキさんと一緒に行動するのでしたら迷宮にも入れますが無理だけはしないでくださいね」
登録を済ませたあと俺たちは自分たちが泊まっている宿に戻り、エルに地上に降りてきた理由を聞くことにした
「あのときはああ言いましたが実は、数日後にここオルトラで迷宮の魔物が溢れ出るスタンピードと呼ばれる現象が起きるかも知れないのでそのことを知らせに来たんです」
「それならわざわざ降りてこなくても念話で伝えてくれればよかったんじゃないのか?」
「それだと旦那様に会えないじゃないですか!今まで私に会いに来てくれたことがないから降りてきたのに、旦那様は私のことが嫌いなのですか?」
エルはそう言って泣きそうな顔でこちらを見てくる
確かに俺からは今までエルに会いに行ったことがなかったことを思いだし、彼女の頭を撫でる
「会いに行かなかったことは悪かった。だが俺はお前のことが嫌いなんかじゃない。お前みたいなかわいい子が自分のためにいろいろしてくれているのに嫌いになんかなれるわけないだろ?」
「旦那様・・・」
頭を撫でている俺の手をエルは自分の手で頬へ持っていき、そのまま頬擦りをする
「マスター、私たちがいることを忘れないでほしいのですが」
声がした方を向くとそこにはじと目でこちらを見ているシズクと刹那がいてその横で神流がニコニコと笑顔でこちらを見ており凪は刹那に膝枕をされながら寝ていた
「・・・すまない」
シズクたちの視線に耐えられなくなり俺は謝りながら視線を逸らす
「おきになさらず、それよりもマスター、彼女たちのことですがこのあとすぐに合流するのですか?」
「合流はするがこれから先、一緒にパーティを組んで行動するかは迷宮に行ってから考えるつもりだ」
「それと、エルへの返答は決まっているから今ここで返事をしておくとするか」
シズクの質問に答えたあと俺がそう言うとエルはえっ?という顔になった
「旦那様、彼女たちと話し合ってから決めるのではなかったのですか?」
「今日のあいつらを見て少し分かったことがある。あいつらは俺への好意よりも責任感を感じている、そんな状態で自分たちの意見を言えると思うか?」
「もちろんこれは、俺の推測に過ぎないがな。そこのところはどうなんだ?千栄、入ってこいよ」
突然俺が千栄の名を口にしたことで五人は驚いていたが部屋の扉が開き千栄が入ってきたことで話し合いのときと同じような表情になった
「たしかに私たちは兄様に責任感を感じています、ですがこのまま責任感を理由に逃げているようでは信じて待ってくれていた兄様に失礼になります。」
「それに私の気持ちは、私たちの兄様が好きであるという気持ちが責任感よりも大きいなんてそんなことはありません!」
千栄は俺の考えに対してしっかりと自分の気持ちを口にして見せた、そのことに俺は満足して千栄に軽い口づけして頭を撫でる
「私は兄様が大好きです。愛しています。すぐにでも結婚してほしいくらいにです。こんなこと言えた立場ではありませんが兄様、いえ時雨さん、私の気持ちを改めて受け取ってくれませんか?」
覚悟を決めたような表情で俺の返事を待つ千栄を俺は抱きしめる
「前にも言っただろう、俺もお前のことが好きだと。結婚したいと思うくらいだ。だがもう少し待ってほしい、あいつらのことを聞いてから俺から申し込みたいからな」
「わかりました、それまで楽しみにしてますね」
そう言って千栄は俺たちの部屋を出ていった
「そういや、この部屋の場所が分かったってことはあいつらもこの宿だよな」
俺の声にシズクたちは苦笑いをしていた
次回は胡桃たちのことを書こうと思います
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