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第66話 フェンリル


 外に出て山を少し上ったところで俺たちは戦うための準備をし始めた


「ルールの確認だが殺すのは無し、武器は普段使っている物も使用可能、勝敗の決め方はどちらかが戦闘不能になるか降参すること。これでいいんだよな?」


「うむ」


洞窟を出る前に決めておいたルールの確認をしてからいつもの二刀を構える


「出来るだけ長引かせないでくださいね、野宿になったらマスターのせいにしますので」


シズクがそんなことを言ってくるのであまり長引かせないようにしよう


「じゃあフェンリル、行くぞ」


俺はそう言ってから地面を蹴りフェンリルへと近づきその体に向けて刀を振るが読まれていたのか爪で防いだあともう片方の爪を俺の腕に向けて振り下ろしてきたのでそれを受け止めるが・・・


「っぐ!重いっ!」


予想以上の攻撃の重さに膝を着きそうになるが持ちこたえそのまま爪を逸らし蹴りを放ったあと一度距離を取った


「シキよ、本気を出せねば死ぬぞ?」


「これからが本気だから大丈夫だ」


その直後、フェンリルの体に傷がついた


「お主、一体何をした?」


「ただこの刀の能力を発動させただけだ」


神流と凪には神器になったときに斬撃不可視化という新たな能力が追加されていた、名前だけみればチートすぎる能力だが不可視化できる数は決まっており、一度発動するとしばらくは使えない


 刻印や能力を使い始めたことで戦いは俺が有利になっていた、だが


「これほどの力とは、これなら我も本気を出してよさそうだな」


フェンリルがそう言った瞬間、周囲の空気が変わった


「おいおい、あれで本気じゃねえのかよ・・・」


そう呟いていると突然目の前にいたフェンリルの姿が消えると同時に嫌な予感がしたので横に飛ぶと俺がいた場所に前足を振り下ろしたフェンリルがいた


『マスター、気をつけてください。どうやらフェンリルは神殺しの力を使っています。なので攻撃は避けるか受け流さないとかなりのダメージをくらいます』


『わかった、忠告ありがとな』


戦闘を離れたところから見ているシズクはフェンリルの今の状態を教えてくれた


(相手は気を抜くと視認できなくなるような速さで動け、俺にとって効果的な力を使っている。だが俺は死神本来の力を使えず、攻撃は全て避けなければならない・・・か)


「いいじゃねぇか、やってやるよ!」


人の体で出せる全力を出し、爪や噛みつき、突進を避けながらその巨体に次々と傷を付け刻印を刻んでいき刻印の数が15になる度に爆発させ続けたがあまり効果がないようだった


「この刻印、結構ダメージ入るはずなんだがな」


「この程度の攻撃で我にダメージが入るとでも思っているのか?」


そう言って動きを止めたフェンリルには斬った部分以外に傷が一切なかった


(普通の攻撃は通るがスキルを使った攻撃はダメージが通らないのか、だがこれ以上長引かせるとシズクに何を言われるか分からない。ならあれをやってみるか)


そう考えながら空を見ると日が沈む少し前だった


「フェンリル、そろそろ時間なんだ。だから次の一撃で終わらせよう」


「そうだな」


そう言うとお互いに距離をとり今放てる中で最も強い攻撃の準備に入る


「では我の全力を受けてみろ!『エンシェントノヴァ』!」


「神基創剣術 攻式『夜楼』」


神基創剣術、これはシズクが考えた俺だけの剣術の名前だ。神級剣術を基本に創った剣術だからということらしい


攻式『夜楼』、基式の飛刃を基に創った技で本来1つの斬撃の数を6つに増やし最後に大きな斬撃を飛ばす広範囲の遠距離技だ


二つの技がぶつかると轟音と同時に爆発が起き俺たちは砂煙に覆われてしまい結果がわからなかったがフェンリルがいた方から苦しむような声が聞こえてきたのでおそらく俺の攻撃が当たったのだろう


砂煙が晴れると片耳を失ったフェンリルが俺に向かってふらふらとしながら歩いてきた


「まさかこれ程の力とはな、シキよ、1つ頼みたいことがある」


「なんだ?」


「どうか我をお主の眷属として共に連れていってくれぬか?」


「もちろんいいぞ、むしろこっちから頼もうと思っていたところだ」


そう言って眷属化を発動させると名前を決めるように指示されたのでフェルと名付けた


「これからよろしくな、フェル」


「こちらこそよろしく頼む、我が主よ」



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