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第102話 白狐の過去


 「おいシキ!その態度は失礼だぞ!申し訳ありません獣王様」


「構わん、それにここは謁見の間ではなく応接室だ。そんなに固くなる必要もないからもう少し肩の力を抜け、アイゼン」


「・・・わかりました」


獣王に言われて渋々といった様子で体に入っていた無駄な力を抜いた


「それに私はここに彼らが来ることは分かっていた。だから気にしてはおらん」


「あれを使われたのですね?」


「いや、使ってはいないのだが勝手に発動してしまっていてな」


アイゼンと話をしていた獣王は少しだけこちらに視線を向けるとすぐに戻し


「彼の力が強すぎることに影響されたというべきかはわからんがそういったものが働いたのだろうな」


そう続けた


「報告が終わったのなら下がっていいぞ。シキたちには少し話があるから残ってくれ」


そう言われるとアイゼンは頭を下げてから部屋を出ていき獣王はそれを確認すると白狐の姿になった


「その姿、隠してなくていいのか?」


「君たちには見えていたみたいだから隠してても意味ないからね。それにこの部屋は基本僕がいるからね、誰も近づかないよ」


「君の考えてた通り、僕はそっちの女の子と同じ迫害されてきたと言われる白狐だ。でもそれはとある地域でだけなんだ」


「それはどこの地域なんですか?」


どうしても気になった胡桃は聞き返す


「それはね、魔族の領域に近い地域さ。昔魔王の軍には一人の白狐が所属しててそいつが最も近いこの国を自分の支配下に置くために襲撃してきたんだ」


「その被害が大きかったのがユキのいた地域ってことか」


そう言うと獣王は頷いた


「この話をするために呼び止めたんだけど何か質問あるかな?」


誰一人手をあげることはなかった。なぜなら全員が今の話だけで時雨がどう動くか、そして自分たちがどうしたいかが決まったのだから


「何もないみたいだね。じゃあ外まで案内させるよ」


部屋にあった鈴を鳴らしてしばらくするとメイドが部屋に来て城の入り口まで案内してくれた


まだ昼とはいえ来たばかりなのでしばらくは休憩しようと方針だけ決めて一同は宿で休むことにした


─────────────────────

その頃、エルフォナがいなくなった天界では


「エルフォナはどこにいった!?」


「どこにも見当たりません!ただ手紙が残されてました!」


「何て書いてあるんだ?」


「えっと、『これを読んでいる頃には私はもういないでしょう。残念でしたね♪今まで私に押し付けていた仕事、全てお返ししますのでせいぜい頑張ってくださいね?』とのことです」


「あの女!絶対見つけ出してやる!」


そんな神の様子を離れたところから見ていたネレアリアは自分たち上級神にしか見えないようにされている扉の中に入った


「おう、ネレ。あの馬鹿どもはどんな様子だった?」


「エルの残した手紙を読んで大層ご立腹よ」


ネレアリアが扉に入ってすぐに声をかけたのはこの世界で鍛冶と炎を司る神、グランフェルトだ


グランにエルの手紙の内容を教えると腹を抱えて笑いだししばらく収まりそうになかったのでそのまま奥へと向かうことにした


「シキ君、どうか私たちをここから解放してね。それができるのは蓮菜の力を持つあなただけなの」


そんなネレの呟きは誰にも聞こえることなく白い空間に消えていった





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