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5 理想の姿を

前回までのあらすじ

ワンダーなクルッポーがハッスルハッスル

5-K


立ち上がろうとするが酷いけん怠感の所為で立ち上がれない。

進行を止めようと必死に手を伸ばすがワンダークルッポーには届かない。

「やめろぉーーーー!」

ワンダークルッポーの太い腕が振りかぶられそして僕のパートナーへと降ろされる。


キィン


想像より澄んだ音がこの空間に鳴り響く。

『ぐおぉ!誰だキサマァ!』

「通りすがりの正義の味方(ヒーロー)

正義の味方は夜の空間で月光を反射し輝く金髪をなびかせ血液を思わせる程濃い緋色をした眼をしている。

左手には片手用の細身剣(レイピア)右手は何も持たずに空けている。

誰だ?助けに来てくれたのか?


「そいつは武器を奪うスキルを持ってるんだ!気をつけて!」

「武器を奪うって特殊(ユニーク)スキルでしょ?一度のバトルで同じユニークは使えないから安心して」

「チルちゃん!来てくれたの?」

「お姉ちゃん、妹との約束をすっぽかして何してるの?まぁ延期にしたのはコッチが先だけどさぁ」

この人がニケたんをゲームに誘ったっていう妹さんか?ていうか今はのんびり会話してる暇はないでしょ。


『またオンナが増えて俺の夢が遠のいていくポォ』

また口調が変わった!かなり怒ってやがる。


「もぅ、晩ご飯準備出来たから早く帰ろうよ」「わあい、今日の晩ご飯なにー?」

『どこまでもコケにしてくれるポォ』

姉妹に無視され、ドンドン顔が赤くなってぶるぶると震えている。


「コイツを倒さないとこの変な空間から出れなさそうね、私でもこんな空間初めて入ったし聞いたこともないわ。」

妹さんはやっとワンダークルッポーに対峙し武器を構える。


「どこからかかって来ても良いよ、相手してあげる。」

『漢の中の漢を舐めるなぁポォ!』

《アーツ発動・正拳連弾(オトコラッシュ)

見るのは三度目となる突きの嵐

回転が速く一撃がかなり重い攻撃

妹さんは初めて見るはずの攻撃だが全ての突きを見てから避けている。


「姿勢を崩さないとそんな大技当たらないと思うよ?別に私じゃなくてもね」

モンスターにそんなこと教えても意味ないかと独り言の様に言葉を続ける。

左手のレイピアで剣戟を繰り出しワンダークルッポーの肌を切り裂いていく。同時に右手を前に出し、


無詠唱魔法(ファストマジック)零閃光(ゼロ・レイ)

細い閃光が走りワンダークルッポーの肩を射抜く。


『そんな軽い攻撃効かないポォ!』

「あら、思ってたより硬いのね」

《スキル発動・闇と同化する暗殺者(シャドウ・アサシン)

闇の中で輝いていた金髪も怪しく光る緋色の眼も見失ってしまう。


『隠れるなんてやっぱりオンナは卑怯ポォ!』

《魔法詠唱開始》

《多重魔法発動・三重閃光(トリプル・レイ)

突如、中空から胴体、アタマ、足元の順で閃光が走るが、ワンダークルッポーは身体を捻りアタマを後ろに限界まで逸らし最後にバク転で飛び上がった事でギリギリ避けた。


『お前の切り札は見切ったポォ!』

《スキル発動・侵食する魂(ソウル・ハッキング)

『………ポォ…?』

3本の閃光を避け安心した瞬間からワンダークルッポーの眼から意思が消える。

《アーツ発動・秒間七連撃(セブン・オ・クロック)

白銀色の光が7つほぼ同時にワンダークルッポーの身体を貫いた。

『ポォォォォ!』


《魔法詠唱開始》

うわ、何が起こってるのか全然分からないくらい技量(レベル)が違う。


『ま、待て待て待ってくれポォ!あんたには勝てない降参するポォ!』

「漢の中の漢はか弱い女の子に負けそうになると降参なんかしちゃうのね」

『仕方ないんだポォ、俺にだって帰りを待つ女房と子供がいるんだポォ、勘弁してくれこの通り』

ワンダークルッポーがアタマを地面に擦り付ける。


「ダメだ!そいつはウソをついたり弱い仲間を自分で全滅させたりしたんだ!」

「ふーん、どうする?お姉ちゃん?」

「んー、お子さんがいるんだからもう悪い事しちゃダメよー」

『ありがてぇ!それじゃあお言葉に甘………いんだよぉ!』

《スキル発動・不意を突く一撃(トリックスター)


「ゴメンなさい、私、正義の味方(ヒーロー)だけどダークヒーローの方が好きなのよ」《充填魔法(チャージマジック)発動・極大閃光(オーバーレイ)


上空から降り注ぐ閃光がワンダークルッポーを飲み込み、光が収まった頃にはワンダークルッポーは光の粒子となって消えていった。


「あなたぽーぽーぽーぽーうるさいのよ。」

隠された戦闘(シークレットバトル)クリア》

《報酬が現れました》

その戦いはまさに僕がなりたいと思い描いた理想の姿で、それを目の前で、しかも女の子に魅せられて…

カッコいい…


「変な圧迫感が消えたしこれで出れるんじゃない?」

気づけば風も元通りに吹き始めていた。


「お姉ちゃんさっさと帰ってご飯にしよ。」

「その前にお友達を紹介させて、今日知り合って一緒に遊んでもらったこよたんです。

こっちは妹のチルちゃん」

「ちょっとお姉ちゃん!私の名前はティルだって何度も言ってるでしょ!」


ニケたんはポカンと口を開けたまま

「チルちゃん」「ティルよ!」「チルちゃん」「もういいわ」はぁっとため息を突くティルさん。


「こよたんさんって少し変わった名前ね、お姉ちゃんと遊んでくれてどうもありがとう。」「いや、名前はこよみです。こよたんって言うのはニケたんがそう呼んで…」

「ニケたん!?なにその呼び方!」

「いや、お互いに戦闘を通して打ち解けて…」「失礼ですけどあんなのに勝てないくらい弱くてお姉ちゃんを守れるんですか?お姉ちゃんに何かあったら極大閃光(オーバーレイ)喰らわせますよ?」

「いや、まだレベルは低いんだけどいつかはティルさんのように…」

「大体誰に断ってお姉ちゃんをこんな所まで連れ出したんですか?あんな変なモンスターも出て来て危ない目に合ったら一体どうするつもりだったん…「チルちゃん」


ニケたんがティルさんを呼ぶ

「大体お姉ちゃんも馴れ馴れしくあだ名で呼ぶなんて「チルちゃん」

ティルさんが後ろを振り向きニケたんの顔を見てビクッとしてから「ちょ、ちょっと言い過ぎちゃったかな、これからも姉共々仲良くして貰えたら光栄です…」

ええぇ!?一体どんな顔をしてたんだ?

顔は笑ってるけど目が笑えてない。

ニケたんは今はもう普通と変わらない表情だけど…怒るとかなり怖いのかな…?




「報酬《宝箱》開けても良い?」

ニケたんが宝箱の前に歩き出した。


「おお、早く開けてみようよ。」

「シークレットバトル?って初めてだから私も気になるなー」

流石にこれで宝箱のモンスターだったら暴れて良いよね?

ここの運営エゲツないことするから不安だ。


ガチャリ

「えっとねー、剣と斧と腕輪だねー」

これってもしかしてレア装備ゲットなんじゃないですかー!?

ここから始まる僕の快進撃、武器の名前が二つ名になるんじゃないですかー!


「剣!?欲しい欲しい!見せて!あ、大剣かぁ、重いのは好みじゃないしこれはこよみさんに譲ります。」

マ・ジ・か!

「ありがとうございます!」

斜め45度でピシッとオジキを決めた!


「斧はお姉ちゃんしか使わないし、この腕輪貰ってもいい?」

「モチロンです!ティルさんが来てくれなかったら負けてましたからね!」

「でもどれも錆び錆びだね…」

「このままじゃ装備出来ないけどサラマンドラに行けば鍛え直してくれるよ。明日は大学休みだし、一緒に行ってみますか?」

「「お願いします!」」

ん?なんか今、聞き逃せない言葉がありましたよ?


「あの、失礼なのは重々承知しているんですけど今大学と言いましたか?」

「はい、私は今大学3年生ですから。」

「それではお姉さんのニケさんは…」

「お姉ちゃんは働いてますよ、私たち二人暮らしでお姉ちゃんのおかげで大学にも通わせて貰ってます。」

「えへへ、チルちゃんの為だもんお姉ちゃん頑張るよ〜」

なんてこったー!小学生か中学生低学年だと思ってたYO!


「あ、あの実はニケさんの事子供だと思っていたので…」「へへへ、照れる。」「お姉ちゃん、別に若いって言われてる訳ではないよ。」

「ニケさん、なんか色々と申し訳御座いませんでした」「お前、お姉ちゃんに何をした?」ギラリとスゴイ形相でこちらを睨むティルさん


「こよたん、さっきまでと同じ話し方で接してもらえると嬉しいです…」

俯いてしまい泣きそうに見える。

横から何お姉ちゃんを悲しませてんだと責める様な目線が突き刺さります。

いきなり魔法ぶっ放さないよね、大丈夫だよね。


「わ、分かったよニケたん、僕ももうこっちの方が話しやすいしこれからもよろしくね。」「うん、改めてよろしくお願いします、これからもついてきゅっ…」うん、また噛んだね。

なんだかニケたんの事を少し分かって来た気がしました。

とても長い一日でしたがこの後もう少しだけ夜は続きます。

「社会人だったんですね」

「敬語やだー」

「ごめん、ちなみに僕は37歳です。(ウソ)」

「あ、年下なんだねー」

「え・・・」

「冗談だよー」

「・・・・・」

「冗談だよ?」

「・・・・・」

「・・・・・」


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