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1 初めての戦闘は

1-K


彼女の種族は種族紹介で見たノーム。


人気最下位の種族で身体は小さくて手足も短い、顔が大きくて目がまん丸、鼻の穴かと思ってしまった。

鼻は無いのかな…なんて言うか二足歩行のデフォルメしたタヌキって感じ。


誘う相手を失敗したか?

いや、少なくとも別の大陸に移動してるんだから僕よりは進んでいるはず。

小さいのに大きい斧持ってるし強そうに見えて来た。他に人はいないし、こちらから誘ったしな。

「じゃあ早速ですがPT申請するので受けてください」


《メニュー》と唱えるとメニュー画面が目の前にでて《システム》をタッチ、《なかま》PT申請の欄が出てくる。

シンプルなシステムで見たらすぐ分かる様に出来てるな。

「あい」


ニケさんもメニューを開き両手をポチポチ動かしているが中々受理されない。

もしかして身体が現実とかなり違うから慣れないのかも。


シルフも現実よりは身体は小さいけどバランスは同じだからそういう不便は感じないな

《ニケがPTに入りました。》


「おお!よろしくですー」

グッと親指を立てて前に突きつける。


ニケさんは少し考えて二パッと笑いながら

近づき同じポーズを取る。


「じゃあ早速ですが行きましょう!」

「おー!」と返してくれる。

ノリは悪くない人だ。


「街から北に行った高台に行きましょう。お目当のヤツはそこにありますから。」

「あい!」

北の高台と聞いて若干嬉しそうに見える。

強いモンスターと戦うのが好きなのかな。

あそこの奴らは飛んでいて僕の大剣じゃ届かないから厄介なんだ。


しかし、2人いれば詠唱中は守りあえるし恐らく壁を覚える為の敵なんだろう。

ニケさんが手伝ってくれるならきっと楽勝だろう。これでやっとこんな街からおさらばできる。


ニケさんはレベルが12あるしまだ10になったばかりの僕より高い。

スタートダッシュには失敗したけどこれでも読書が好きでVRや転生物の小説も沢山読んでいる。


2人で連携出来たら十分に勝てる相手だと思う。道中は運が良いことに敵に出会わず体力を温存でき、遠目から鳥型のモンスターを確認出来た。


「ドキドキして来ましたね、もうすぐ目的地です。準備は大丈夫ですか?」

「だいじょぶ」

少し緊張しているのかな?


「頼りにしてます!戦闘が始まったら僕が風魔法でアイツを落とすのでそれまで壁をお願いします。一度落とすとこっちのもんですよ!」

ビリっとした感覚を覚える。

これは敵に見つかった時に感じるもので

戦闘開始の合図となる。


PTを組んでの初めての戦闘が始まった!

《ヤングクルッポーが現れた》

視界に半透明の文字が現れた。

そこまで視界の邪魔にはならないが直ぐに消える。

敵は一体だけ、ハトに似たモンスターだけどカラスくらい大きい。

ハト胸が現実の旗より盛り上がっていてダンディなサングラスをかけている。

ヤンキーの子供の様に後ろ髪が長い。

前回1人でこいつに挑んだ時は空からの体当たりを回避するしか出来なくて、魔法を使うにはメニューを呼び出す暇も詠唱の時間も貰えなかった。


30分は相手をしたけど攻撃が当たらず6時の音楽が流れたところでアイツラは帰って行ってしまった。

悪そうなのに門限でもあるのかよ。

今はまだお昼前だし時間に余裕はある。


「わああああ」

ニケさんは打ち合わせ通り前にでる。

僕はメニューを呼び出し素早く魔法をタッチ、風攻撃魔法は範囲攻撃の一つしか覚えていないのでそれを選択。

魔法詠唱開始(マジックスタンバイ)

後はニケさんが少しの間、敵を引きつけてくれれば落とせる!


ニケさんを見ると武器も構えずにこちらを向いて直立でぴょんぴょん跳ねていた。

「ちょ!何してるんですかー!」

詠唱中で動けない僕にヤングクルッポーの体当たりが直撃し吹っ飛ばされて崖から落ちてしまった。


1-N


《PTが解散されました》

私が上手く壁を出来なかった所為で彼に傷を負わせてしまいました…

おかしいな、お父さんがお正月にサッカー観ながらお前は背が高いから良い壁になれるって言ってたのに。

もしかしたらこのノームの身体は小さいからダメだったのかな。


「いつまで………くる……」

ごめんなさい、何か言いましたか?反省してて聞こえませんでした。

こよみさんが後ろを向いている。誰か私たちについて来てるのかな?

後ろを振り向くけど他のプレイヤーは誰もいません。2人きりですね。


彼がはぁっとため息をつきながらベンチに座る。私も少し疲れたので横に座らせて貰いますね。失礼します。


「どこで間違ったんだろう…」

彼はブツブツと呟きながらうな垂れてしまった。

うん、自分の思い通りにいかないとツライよね。でも私にはなんて声をかけたら良いのかわかりません。


昔チルちゃんが嫌な事があって泣きそうな時はよくアタマを撫でてあげたなぁ。

いきなりアタマを触ったら引かれちゃいますよね。

どうしよう、でも他に思いつかないしなぁ。

いいや!撫でちゃえーキャー!


あわわ、髪の毛ふわふわで柔らかい!

小顔だしアタマちいさいなぁ

しばらくアタマを撫で撫でしてると彼はふふふと笑って


「なんでぴょんぴょん跳ねてたの?あれ何してたんだよ、あははははは」

ううう、やっぱりなんか間違ってたのかー

お恥ずかしい、テレビではジャンプしてた気がしたんだけどなー

でも彼に元気が出たならいいやー


「えへへ、照れる」

「褒めてるんじゃないよ」と彼はまた笑いながらメニューを開いて何かしている。


《PTに誘われました》

お?

「ごめん、もう一度手伝ってもらってもいい?今度はちゃんと説明するから」


今度こそ高台に上がって雲海を見に行くんですね?私がんばります!


2人で美しい景色を一緒に見るなんてロマンティックですよねー。


「あい!」

気合いを入れる為ビシッと敬礼をしました。

その後《壁》と言うのは後衛を守る為に敵を引きつけることだと教えてもらいました。

ホント私は何で敵に背中をむけて一心不乱に跳ねてたんでしょうね、穴があったら入るのでそのまま埋めて下さい。


今度は分からないことがあったら聞いてねと言ってくれました。

ありがとうございます。

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