表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

消しゴム君

作者: 桐生デンジ

消しゴム君の気持ちを考えながら読んであげてください。

 男の子が、消しゴム君を使っています。


 ごしごし、ごしごし。


 紙に書かれた文字たちが、消えてゆきます。

 消しゴム君も、擦り減ってゆきます。


 男の子が、消しカスを机から払い落とします。


 ぱらぱら、ぱらぱら。


 役目を終えた消しゴム君の残骸が、床に落ちてゆきます。


 消しゴム君は文字たちと混じり合い、黒ずんで消しカスになります。

 消されてしまった文字たちの悲しみが、白い消しゴム君をまっ黒に色づけるのです。


 消しゴム君は自分の運命の悲しさを嘆きます。

 自分をすり減らし、文字たちを悲しませなければ、人を幸せにできないその定めを。


 やがて消しゴム君は擦り切れ、服も脱がされてしまって、小さな丸っこい消しゴムになりました。

 男の子は、震える指先で消しゴム君を掴み、荒っぽく文字をこすります。



 大きな「好きです」という文字が、最後の消しカスとともに、ごみ箱の底へと消えてゆきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ