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海を歌う愉快な黒板

寝たふり

作者: 海之本

ある日の朝


まだ眠る僕


心地好い香りがして

温かい体温がして


気づいた


頭を抱きしめられたこと

ぎゅっと


優しく撫でる指

髪を掻きわけて

そっと


でも

気づいてた


あなたが

震えてること


小さく

声を殺して

泣いていた


気づいてるよ


僕のせいだって


戻ると決めた僕に

あなたが向けた笑顔

どこかぎこちなかった


だけど

分かってる


僕に知られたくないんだよね


鼻をすする音

誤魔化してた


だから

あなたの背中

手をまわして

首に顔をうずめた


胸いっぱいに

あなたの香りを吸い込んで


目をつぶった

ぎゅっと


僕が唯一出来ること

僕が唯一してあげられること


あなたが必死に隠してるから


気づかないふりして


寝たふりをした


熱いもの

瞼の裏

押し込めて

喉の奥

嗚咽を呑み込み


あなたが濡らした

僕の首元

冷たい


だから

震えそうになったけど


あなたは

体を離して

部屋を出ていった


僕を起こさないように

静かに


その背中

うっすら開けた目で

追いかけても


振り返らず

消えた


まだ温かい

あなたのいた場所


僕はあなたの枕

抱きしめて

胸いっぱいに

あなたの香り吸い込んで


瞼を緩めた


僕だって

あの日のあなたを思うたび


抱きしめた枕

あなたの香り

消えてしまうのが怖い

怖いよ

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