嘘の様な本当にあった話し
自分が北海道に住んでいた頃の、体験談です。
親父の関係で、釧路市から厚岸に向かって、一時間半位の所に、掘株と言う村がある。
自分がその村に行ったのは、小学三年の時である。
さすがに、僻地五級の村なので、店など一軒も無く今考えると、
良く、何も無い所に住んでいたと自分でも思う。
最初の思い出は、自分が何故かガムを噛んで居て、地元の子供達には、ガムが珍しい食べ物で、珍しさのあまりガムと自分にあだ名が、ついたほどである。
自分は今でも多趣味ですが、釣りは幼少の頃から大好きで、釣りを知らない幼少の頃は、ヨモギに洋服を縫う時に使う糸を着けて、その糸の先にまち針を曲げて着けて、エサはご飯粒で小さな橋の上から、釣れもしないのに糸を垂らしていた記憶がある。
皆さんは、ビックリするかも知れませんが、当然釣竿など無くて地元の昆布漁の漁師さんから、適当な石をメンシと言う糸で、編んで貰い、メンシにメンシを縛り、その先に針を付けて、エサは自分で川で採って来た、ドジョウを一晩塩漬けにして、ぶつ切りしてエサにするか、漁師さんから貰った鮭等も塩漬けしてぶつ切りにして使った。ただ問題なのが、そこからでウエスタン映画でカーボーイが、牛等を捕まえる様にメンシを回して海に投げるのだが、此れが本当に難しい。最初の頃は真っ直ぐ飛ぶ訳が無く、左右に飛んだり、後ろに飛んだり、釣り針を洋服に引っ掛けたり、一人前に真っ直ぐ飛ぶ様に成る迄、本当に苦労した事を覚えている。真っ直ぐ投げた後、しばらくたってから、メンシをカゴに、上手く円形に成る様に、巻きあげる。外道で花咲蟹が、二匹一本の針に、抱き合う様に釣れて来る。通常釣れるのは学名、ウサギアイナメ(北海道ではアブラコ、東北ではネウ、)後海カジカが主に釣れる。とにかく今思うと魚がデカイし、外道で花咲ガニで、今考えると贅沢な物が釣れて居た訳で、当時は何も解らないので、仕方ないのかも知れない。ただ魚では海カジカが鍋にすると、本当に美味しかった。自分は養父ではあるが、親父の力を少し借りて、断崖絶壁の所に行って、良く釣っていたが、そんなある日、谷内さんと言うお年寄りが、自分の目の前で昆布拾いをして居て、谷内さんが突然『危ない』と大声をあげて、自分に注意を促したのだが、自分はその場を動く事も出来ず、断崖絶壁だから、岩が落ちて来たのかなって言う位しか思って無くて、しかし此れが自分が死にそうに成った、最初の経験談で、実際に落ちて来たのは、放牧してた牛なのには、さすがに驚いた。自分との距離は、おそらく1メートルも無くて、まともに自分の上に落ちて居たら、即死だったと思う。北海道の田舎は柵など、しない為足でも滑らして、落ちて来たと思う。牛は当然即死で口の中が血だらけだった。ただその後が悪い、病気で死んだ牛で無い為、村の人が牛を解体しに来て、随分苦労してた様に思うが牛の皮を剥いで、粘膜状にした為内臓を自分が、もろに見てしまい自分は気持ちが悪くなって、帰宅した。そんな事を忘れたある日、村の人がその牛の肉を持って来たらしく、家庭の晩御飯に鍋だったと思うが、その肉が入って居て、何気なく養母に『此れ何の肉』と聞くと、崖から落ちた牛が居て、貰ったと聞いた瞬間、自分の脳裡に牛の内臓が浮かび、当然それから肉を食べる事が出来なく成ったのは言うまでも無い。