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妻と私と四月馬鹿

作者: ミミズク

何通りかの読み方ができる小説を書いてみました。

何パターンか考えていただけると幸いです。

『お父さん、早く行こう』

「おう、ちょっと待ってな」

私は荷物を整えながら娘に返事をする。

今から二人で妻のもとに向かうのだ。




私と妻にちょっと変わった習慣があった。


妻の誕生日が4月2日だったのでエイプリフールと誕生日のサプライズをいっしょにやっていたのだ。


私と妻は家に帰宅するとお互い牽制し合ったものだ。


妻は自分の誕生日なのにいかに私を騙すか必死になっていた。


変な話だ。サプライズパーティやプレゼントをもらうのは君じゃないのか?


でもよかった。彼女はいつも楽しんでくれていたから。


不謹慎な話だけれど、一番多いパターンは死んだふりだった。


家に帰ったら床に付している彼女。


これは経済的に安上がりだしショックも大きい。


いつも私は彼女に駆け寄ると体を触って、手痛いしっぺ返しをくらった。


ある日、妻に妊娠を報告された。


嬉しかった。その後の報告で娘だと知った。


今年も4月2日が近づいている。




職場に緊急の電話が入った。


どうやら妻が交通事故に巻き込まれたらしい。


性質の悪い嘘だ。帰ったら叱ってやろうと病院に向かう。


即死であったろうことが救いだった。


彼女の亡骸の横にはでかいクマのぬいぐるみがあったそうだ。




それから毎年妻の誕生日・・命日には娘の報告をしている。


どんなに可愛くなったか。


体も丈夫になったとか。


好きな男の子はいないということ・・。


「よし、準備出来たよ。行こうか」


今年も私は妻のもとに嘘をつきに行く。



大なり小なり人は嘘をつき続けます。あるいは死んでも。

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