お掃除
お久しぶりです。大変お待たせしました。更新再開します
「さて…と。どうしようかなあ……」
あの後、俺は宿屋で朝御飯(必要性は無いけど、嗜好品として食べている)を食べた後、町の観光に行ってみたのだが……
「いやぁ……マジで何処だここ」
路地裏で完全に迷っていた。
きっかけは大通りの人通りが物凄く多かったことだ。
どうも冒険者たちが良い依頼を受けようとして皆一斉にギルドに向かって歩いていたらしく、そのせいで大通りが混雑していたようだ。
そんな中を観光することなど出来るわけが無く、仕方なかったので路地裏を通って行こうと思ったんだけれど……あまりにも複雑すぎて迷ってしまい……現在に至る。
「んー……どうしたもんかねぇ……」
このままでは観光どころか帰ることすら難しい。
……仕方ないか。誰かに頼んで道案内してもらおう。と言っても、見える範囲に人が居ないんだけどね!
ハハハ……ダメだ笑えねえー。
その時だった。
絹を裂くような悲鳴が聞こえたのは。
*
「はあ…!はあ…!」
少女は路地裏を走っていた。
既に息は上がり、呼吸は苦しく、足も限界に近かった。
「はあ…!はあ…!」
それでも彼女は走っていた。
何故なら、今彼女を追っている者たちに捕まればその時点で死んだ方がマシ、という目に合わされるのは確実だったからだ。
しかし、唐突に終わりは訪れる。
「あっ……!!」
道端に落ちていた石につまづいてしまったのだ。
彼女は受け身も取れずにズシャッという音をたてて汚い路地裏に倒れこんだ。
逃げなきゃ。逃げなきゃ捕まる。
懸命に足を動かそうとするがもはやピクリとも動かない。
程無くして、追っ手の男がやってきた。
「はあ…はあ…。ったく、面倒かけさせやがって……」
男は少女に追いつくと、彼女を苛立たしげにみた。
「おらっ!起きろ!」
「あぐっ…!」
男はストレス発散に少女を蹴り飛ばし、無理矢理引き起こす。
「はあ…。チッ。胸が無えが美人だからいいか。味見くらいしねえと割りにあわんな……」
男は下衆な笑みを浮かべると、少女の服を思いっきりビリィッ!と破いた。
「いやああああああああああっ!!やめてぇっ!離してぇっ!」
少女は思わず泣き叫び、逃げようと身を捩る。
「うるせえっ!黙れっ!」
「うぐっ!」
男は少女を黙らせるために鳩尾を強打した。
激しい痛みに喋ることすら出来なくなった少女。
(ああ……もう、無理ね……)
彼女は逃げられないと悟り、せめて自害ようと舌を噛もうとしたそのとき。
「死ねや腐れ外道がああああああああっ!!」
「へぶうううううううううう!?」
グシャバキィッ!という何か潰れる音とともに男が吹き飛んだ。
*
ふう……いやあ、スッキリした!
悲鳴を聞いた俺は急いで現場に急行し、目の前に居た服を破かれて胸やら太ももやらが見えてしまっている少女を押し倒しているいかにも下衆といった男を体内から取り出した金属バット(最近作れるようになった)で肋骨・内臓・その他諸々をグシャッ♪と潰して吹っ飛ばした。
多分アレ、逝っちゃってるとおもうけど……まっ、問題ないだろう。ゴミ掃除しただけだし。
俺は男を放置することにして、少女に向き直った。
「えーっと……君、大丈夫?」
とりあえず優しく声をかけてみることにする。
「あ……はい。大丈夫です。危ないところを助けていただいてありがとうございます」
呆然としていた彼女は声をかけられるとハッとして、慌ててお礼を言った。
「いや、別にいいよ。目障りでイラついたから潰しただけだしなー。こう、プチッと」
「えっ…そ、ソウデスカ……」
俺が何でも無いようにそういうと、彼女はちょっと怯えた表情になった。…何故?
まあいいや。そんなことより、だ。
「ところでさ……ここどこ?」
「えっ」
道案内してもらおうか。
*
大通りへと帰る途中、何故彼女が追われていたのかを尋ねると、どうもあの男はベルゼ家の領主に雇われたチンピラで、市井にいる見目麗しい女性を攫って犯してベルゼ家当主に献上しているらしい。
また、なんでも攫われた女性は散々犯された挙句に始末されるんだとか。
そのため、ここでは攫われたら人生が終わると言われているらしい。
……全く持って、イラつく話だ。
ああ、本当に、殺意が湧いてしょうがない。
どうしてくれようか?
「だから、貴方にその気が無くても本当に助かったんです……っと。ここを右に曲がればもう大通りですよ」
「……ん?あ、本当だ。もう大通りか……ありがとう。助かったよ」
どうも考えこんでいるうちに何時の間にか大通りへともどってきていたらしい。
「いえ、助けていただいたほんの御礼ですよ」
「だから、別に助けようと思って助けたわけじゃなかったんだけどなぁ……」
「ふふっ…。それでも、ですよ」
うーむ……ただ単にイラつく奴を殺っただけなんだけどなぁ……。とくに助けようと思って無かったから礼を言われるとむずがゆい。
「まぁ、なんにしても、ありがとな。またいつか会おう。じゃあなー」
「ええ、またいつか」
俺はそう言うと宿へと帰って行った。
ベルゼ家をどうしようか考えながら。




