女神の失敗
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ベルゼ領のフェーメント。
そこは、ベルゼ家のお膝元の町。
だから、発展している····そう思っていた時代が俺にもありました。
この世界の都市は基本的にいわゆる城塞都市だ。
数枚の壁があり、魔物などが侵入してこないようにしてある。
グリモワール領では、分厚い壁が1枚外周にあり、東西南北に一つずつ門と衛兵がいた。
だが···フェーメントもとい、ベルゼ領は違った。
どの都市も壁も無ければ衛兵もいない。ほとんどが未開の村のような暮らしだったのだ。
当然、宿なんかなかったのでフェーメントまできたんだけど···ベルゼ家の敷地を囲むようにして壁があるだけで、町にはなかった。
町はまさしくスラム街といった雰囲気で、荒くれ者が蔓延っている。
俺自身3回ほど絡まれたが、とりあえずぶっ飛ばした。
ここまでくれば流石にわかる。
ベルゼ家が、腐敗貴族だということが。
*
とりあえず、俺は今夜の宿をとることにした。幸い、おっさんには銀貨を5枚に小金貨を1枚もらっているので宿代に困ることはない。
中央通りを歩きつつ、宿を探すが見つからない。
···仕方ない。ギルドでおすすめの宿をきくか。
俺は途中で通りすぎたギルドへと行った。
ギルド内は賑やか···というよりも、騒がしかった。
領主が何もしてくれないから、その分冒険者に仕事がまわってくるようだ。
俺は迷わず空いているカウンター···つまり、中年のおっさんがいるカウンターへとむかった。
「おう、今日はどんな要件だ?」
「おすすめの宿の名前と場所を。信頼できるところを頼む」
「わかった。情報料は銅貨5枚だ」
「わかった。釣りをたのむ」
「あいよ···さて、宿だったな。旅人の宿り木という宿がいい。あそこなら、詐欺の心配はない」
なんでも、その宿は元冒険者夫婦が経営していて、北東部にあるらしい。
俺はおっさんに礼をいい、ギルドを後にした。
*
宿は、木造の二階建てだった。
一階が食事場で二階が客室のようだ。
風呂は無し。ただ、洗い場は使えるらしい。
食事つきで一泊小銀貨8枚。お得だ。
女将さんの意外と旨い料理を食って、ベットに入ろうとしたそのとき。
あの懐かしい感覚が襲ってきて、俺は気を失った。
*
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい····」
いきなり女神が土下座していた。なにこれこわい。
どうしたんだろう。俺、何かされたっけか?
とりあえず···何をしたんだ?
「いや、それなんだけれど···あなたにあるステータスを与え忘れていたのよ」
···はい?ステータス?
ステータスを忘れたの?
「ええ、実は····」
うん。
「魔力···MPを与え忘れてしまってね」
····え。魔力?
SPじゃないのか?
「SPはスキルポイント···魔力とは似て非なるもの。最大の特徴は無くなっても体調に影響が出ないということね。HPは無くなると眠くなるし、MPは頭痛がするのよ」
あー···HP使い切ってから寝るとぐっすり寝れるのはそのせいか。
あれ?じゃあ、俺って···魔法、使えないのか?
「ええ。身体強化すら使えないわ」
な、なんだってーー!!
「魔法というのは、魔力を体外に放出して、それの形を整えたものなのよ。だから、そもそも魔力を持たないあなたじゃ魔法は使えないわ」
じゃあ、今すぐに魔力をください!
「出来ないわ。既に生まれたものにスキル以外のステータスを追加したりすることは出来ないの」
ええー····なんだよそれ。
「私としても申し訳ないと思ってるのよ。だから、スキルを追加してあげます」
お。何をくれるの?
「とりあえず、鑑定の魔眼の最上位···神の知識を与えます」
おお····アカシックレコードて。森羅万象すべてのものを鑑定できるってか。
でも、それだけか?魔法使えないのに?
「あとは、何か強化系のスキルを一つあげるわ。どれがいいかしら?」
そう女神が言うと、俺の脳裏に4つスキルが浮かび上がった。
☆☆☆
超速機動。3分だけ周囲の速度が遅くなり、その中を通常通りのスピードで動ける。ただし、3分たつとスピード値が15分間半分になる。
能力破砕。SPを使いきる代わりに、敵のスキルをランダムで破壊する。
鋼鉄城塞。3分だけ傷を負わなくなる。ただし、3分たつとディフェンス値が10分間4分の1になる。
百発百中。1分間必ず攻撃があたる。ただし、1分たつとヒット値が半分になる。
☆☆☆
うわ···どれもチート級のスキルだ。でも、代償結構でかいな。オーバーフローは殺しきれなかったらこっちが殺られるだろうし、サイコブレイカーは武器が創れなくなる上にランダム。アイアンキャッスルはデメリット中は即死の可能性がある。オールヒットは効果時間が短い。
うーむ···よし、オーバーフローで行こう。ステータス変動が使えるからね。
「わかったわ。じゃあ、超速機動で決定ね」
女神がそう言うと、俺の体に電撃が走ったような感覚と共に意識が薄れていった。
*
目が覚めると、俺はベットに横たわっていて、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
とりあえず、手始めにカーテンを鑑定してみるか。
鑑定!
@@@
名前:麻布で出来手作りカーテン
材料:麻布
備考:宿の女将さんが手作りで作った麻布のカーテン。あまり品質は高くない。
@@@
なるほど、こんな感じなのか···。次、オーバーフロー。
「超速機動!」
次の瞬間、世界は停滞した。
俺は、ベットから起き上がってみるが···何の問題もない。
側にあったコップに水を入れて逆さまにすると、水がゆったりと落ちていった。水滴が撒き散らされる様子までわかる。
俺はこぼした水をコップで余すことなく受け、元通りの場所に置いた。
まだまだ何かやれそうだ。そう思ったその時、世界は再び動き出した。
これで分かったことがある。3分というのは、加速した世界での3分だったのだ。
そう考えると、あまり時間が無いことがわかる。
まあ、いいや。とりあえず飯を食いにいこう。
そう思って歩くが···つらい。
体に重りが着いてるかのようだ。
これが代償か···実戦でこれはマズイな。
俺はオーバーフローを使うのは、使わなければならないときのみと心に決めた。
女神は基本的にドジっ娘です。ちょくちょくなんか忘れます。




