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異世界ドロップがどう見ても地元スーパーの食材だった件

作者: シグマ
掲載日:2026/01/17

目が覚めた時、アキラは真っ白な空間の中にいた。どこまでも奥行きがある広大なところだった。自分がこんなところにいるのか思い出せなかった。


直前の記憶を思い返すと、自分に迫ってくるトラック、そして直後に感じた激痛を思い出した。全身の骨がバラバラになったような感覚が残っていることに思わず顔をしかめた。夢にしてはあまりにも生々しすぎた。

だが、自分の体には傷一つなかった。どういうことだ。もしかして自分は。嫌な結論が頭をよぎった。その考えを頭の中で必死に否定した後に冷や汗をかきながら呟いた。


「まさかとは思うけど、ここが死後の世界だったりしないよね」


【その通りだ。ここは死者が訪れる空間だ】


夢だと自分に言い聞かすために呟いた独り言が即座に何者かに肯定され、驚いて振り返ったアキラはさらに仰天した。上空から眩いばかりに輝く光の化身が舞い降りてきたからだ。まばゆい光に包まれて輪郭しか見えなかったが、シルエットから察するに羽根を生やした人のようだった。

神々しいと思える光でもあったが、なんというか物理的に眩しすぎて直視できない。声を聞く限りでは若い女性のようだ。


「あの、貴方は誰ですか」

【おまえたち人間が神と呼ぶ存在だ】


シルエットは女性ながらなんと雄々しい口調の神様だろうか。そんな神様に自分の死を告げられて、ああ、あの痛みは夢ではなかったのだと自覚した。


自分の死を告げられたのに、そこまでショックを受けなかったことにアキラは苦笑した。もう仕事に行かなくていいのかと内心でホッとしてしまったくらいだ。

ひどい職場だった。午前様は当たり前、ワークタイムバランスなどクソくらえという仕事環境で補充人員が入社してもすぐにやめてしまうところだった。欠員のしわ寄せはアキラたちに来るため、慢性的な休日出勤の連続で休みを取ることなどできるわけがなかった。

最期の方は何連勤目だったか数えることも困難なくらいの状況だった、と思う。それすら曖昧になっているほど追い詰められていた。

いっそこのまま、と考えたことも一度や二度どころではない。だが、まさかこのような形で終わりを迎えることになるとは思っていなかった。


死んだというのならば自分は天国に行くのだろうか。心の中で思った疑問に女神は頭の中に語り掛けて答えてくれた。


【不慮の事故で命を失った魂は天国に行くことはできない。だが、もう一度だけ人生をやり直す機会を与えることはできる。どうだろうか、今の姿と記憶を引き継ぎ、ほかの世界に転生して人生をやり直してみないか】


「それって小説とかアニメによくある異世界転生ってやつですか」


【ああ、お前の記憶の中にある異世界転生とやらと同じものだ】


昨今の流行りをまさか自分が経験することになるとは。だが、実際にその立場になってみると手放しで喜ぶこともできなかった。なにせ元の体はすでに死んでいるのだ。つらいことも多い人生だったが、数少ない友人や実家の家族が自分の死を知った時のことを思うと少しだけ心が痛んだ。


だが、どうすることもできない。そう思ったアキラはこの先のことを考えるために気持ちを切り換えた。


「あの、女神様、ほかの世界というのはどのようなところなのでしょう」


【世界には様々な場所がある。弱肉強食の修羅の世界や剣と魔法のファンタジー世界、機械文明の進んだ世界など、お前がいた地球とは環境も世界の法則も違うところになるが、できる限り望む世界に行けるように取り計らおう】


修羅の世界とか物騒な単語が聞こえてきた。そこは絶対だめだ。怖すぎるし、喧嘩も弱かった自分が生き残ることはできないだろう。あまり自分が住んでいた世界とかけ離れた環境だと慣れるまでが大変だ、そう思ったアキラは女神に質問した。


「僕がいた場所と似ている世界はありますか」


【完全に一致する世界はない。だが、文明レベルが同等で超能力や科学技術が発達した世界ならある】


「科学技術が発達しているというとどの程度ですか」


【住民の8割以上が体をサイボーグ化させていて脳内の端末で意識を共有している程度の発達だな】


「そ、そうですか」


なにそれ怖い。その世界は文明が発達しすぎていませんか、女神様。

RPG風の世界とかならまだゲームとかでやっていたからイメージもわきやすいが、超能力やSFの類は詳しくない。体がサイボーグ化されていても戸惑うことばかりだろう。

さきほど聞いた中ではファンタジー世界が一番馴染めそうだ。


「剣と魔法のファンタジー世界はどういうところですか」


【お前の記憶の中にある国民的人気RPGと似たようなところだ】


「あの、さっきから記憶の中という単語が気になっているのですが、ひょっとして私の記憶を読むことができるのですか」


【読めるというよりはお前の考えてくることや感情が流れてくる。ここはそういう空間なのだ】


「な、なるほど」


迂闊なことを考えられないな、そう思うと女神に【その通りだ、迂闊なことは考えない方がいいぞ】と釘を刺され、アキラは狼狽した。女神はそんなアキラをまじまじと見た後に興味深そうな顔をした。


【ふむ、流れてくる感情や記憶を見る限り、おまえにとってファンタジー世界は現実世界よりも馴染み深い存在だったようだな】


心の中まで読まれては同意するしかなかった。確かにそうだ。ゲームで遊ぶだけではなく、ファンタジー風のアトラクションも大好きでわざわざ遠方まで遊びに行ったこともある。部屋にはゲームに登場するスライムのぬいぐるみを置いているくらいマニアであった。その世界に近い場所で生まれ変われるというのであれば願ったり叶ったりだ。


「そうですね、私にとっては厳しい現実からの癒しになっていましたね」


【わかった。ではファンタジー世界に転生させよう。だが、凶暴なモンスターが生息する世界だ。今のお前では生き抜くことも困難だろう。ゆえに優れた身体能力と病気にならない体を与える】

「ありがとうございます」


【ほかに希望することはあるか】


ふと思った。異世界の食事は美味しいのだろうか。

ブラック企業の激務に疲れ果てたアキラが唯一楽しみにしていたのは日々の食事だった。

仕事は地獄だったが、食事だけは生きる希望だったのだ。

ストレス解消といえば美味しいご飯を食べることだった。数少ない休日は気になる店を調べて外食しに行っていたし、コンビニで買ってくるお弁当やお惣菜の新製品に釣られてよく買っていたものだ。


外食をするだけでなく、料理を趣味にしていた。食い意地が張っていたというより執着に近かった。和洋中、一通りの料理は作っていたし、何だったらパン作りやお菓子作りもやっていた。凝り性だった性格もあって料理のスキルと経験値は普通の人よりも秀でていた。

そんなアキラだからこそ転生した世界の食事が美味しいのかというのは今後の生活に影響が出るほどの問題だった。


「あの、私が転生する世界で美味しいものは食べれますか」

【おかしなことを言う奴だな。美味しいとはなんだ。食事とは単純にエネルギーの補給をすることだろう。そこに味など必要ないだろう】


「えっと、おっしゃる意味がよく分からないのですが」


【ああ、すまんな。我々、神は人のような食事を取る必要がない。神素の入ったブロックを摂取すればいいからな。ゆえに食事という行為をそこまで重要視していないのだ。まあ、私を作った創造神さまからはそれではいかんと常々言われているのだがな】


「神素の入ったブロックって何ですか」

【これのことだ】


女神から手渡されたのはどう見ても粘土にしか見えない謎の物体だった。どう見ても小学校低学年の時に動物とか作って遊んだ覚えがある粘土にしか見えない。促されるままにかじってみた。味がしない。匂いもしない。

これは粘土だ。完全に粘土だ。いや、むしろ本物の粘土より粘土のように感じられる。


「あの、これ食べ物じゃないですよね」

【何を言っている。神にとってのエネルギー源となる神素が豊富に詰まっている】

「味は」

【味など不要だといっているだろう】


なんというか、気の毒になってしまう食生活だな。女神には申し訳ないが,二口目を咀嚼するのは無理だった。返すわけにもいかないのでアキラは懐に神素粘土を入れた。


「美味しいご飯が食べられると幸せになれるんですよ」


【幸せ、そう、それだ、その概念が欲しいのだ。創造神様が言うにはお前の持っている概念が私の世界にはもっと必要らしい】


「どういうことでしょう」


疑問を口にすると女神は説明してくれた。食事を栄養補給程度に考える神が作った世界のため、その世界に住んでいる人間もアキラたちのような地球人に比べるとそこまで食事に執着はない。だが、創造神さまが言うには人の営みの中で食事というものは重要なものであるということだった。

人が死んだときの魂は生まれた星に還っていき、再び生まれ変わる準備に入る。その際に魂が持ち帰ってきた喜びなどの感情は星を循環させるエネルギーになるというのだ。

大きな喜びを経験した魂が多ければ世界を躍動させる更なるエネルギーとなって惑星そのものが成長していく。だが、女神さまの作った世界ではそういった喜びが少ないため、最近になってほかの世界に比べて伸び悩んでいるということだった。


【お前に声をかけたのもそのためだ。創造神様は生前のお前の食生活を非常に評価していたよ。他の転生者のように世界を滅ぼす脅威と戦えとは言わない。だが、その世界で暮らす人間たちにお前が言う美味しいものとやらをふるまい、多くの喜びの感情を生まれさせてほしいのだ。そうすれば世界はより良い形に循環していくだろうからな】


何というか、思ったよりも大それた要望をされている気がする。社畜から解放されたお気楽極楽な異世界ライフができるのではないかと思っていたが、予想外に女神様からの期待が大きい気がする。

なんだかプレッシャーだと思いながらも、そういった思惑があるのであれば少しでもこれからの暮らしを有利にしたい、アキラはそう思った。


「わかりました。そういうことであればみんなが美味しいものを食べるために役立つ能力をください」


【分かった。どちらかというと苦手分野の要望だが、叶えられるように配慮しよう】


そういって女神は手のひらから光の玉を作り出した。玉はふよふよと浮いたまま、アキラの胸元に近づき、そのまま体の中に吸い込まれていった。体の中に何かが入っていったことにアキラは狼狽した。


「女神様、これはいったい」

【慌てるな、地球の美食の加護をお前に与えた。それがどのように作用するかはあちらの世界に旅立ってから確かめるがいい。さあ、旅立ちの時だ】


女神はそう答えた後に背中の羽根を羽ばたかせた。瞬間、周囲が眩い光に包まれて目を開けていられなくなり、アキラは手をかざして光を遮って目を瞑った。

次に目を開けた瞬間、周囲の景色は一変していた。初めに感じたのは風の流れと草の香りだった。

気づけばアキラは草原の真ん中に立っていた。遠くの方には山脈が見えるが、周囲は見渡すばかりの草原である。ただひたすらに広大だった。


「ここが異世界というやつなのか。うお、なんだ、こりゃ!」


周囲の景色だけでなく、服装も変わっていた。さっきまではスーツ姿だったはずなのに、中世風の皮鎧と衣服を身にまとっている。腰には鞘に収まった剣らしきものが装備されているではないか。


「冒険者らしい装備を揃えてくれたというわけか。感謝します、女神様」


変わっていたのは服装だけではなかった。なんだか体の調子が良く感じられた。

いつもなら前日の疲れがずっと続いていたはずなのに、それが全く感じられない。持病の腰痛も肩の痛みも、常に感じていた疲労感もなくなっていた。

なんだか今すぐに走り出したくなるくらいに体中に力が満ち溢れていた。女神さまが生き抜くことができる身体能力と病気にならない体を与えてくれたおかげなのだろうか。

これなら頑張れそうな気がする。


「まずは町を探そう。そしてこれからのことを考えよう。美味しいものが食べられるといいなあ」


こうして異世界に転生したアキラの生活が始まったのだった。



                     ■



アキラが異世界に転生し、1か月が経過した。

当初は異世界の文化に戸惑った。だが、しばらくの生活費に困らない程度のお金を女神さまが持たせてくれたおかげで近隣の街の宿に長期宿泊することができ、現地の生活に慣れることができた。


地球にいた時はお世辞にも運動神経がいい方ではなかったが、女神から与えられた身体能力でモンスターとも戦えるようになり、冒険者として問題なく活動することができた。

概ね、望み通りの異世界ライフだった。

ただ一つだけ大きな不満があった。それは日々の食事だった。


(約束が違いますよ、女神様)


顔色を悪くしながら、アキラは心の中で呟いた。


彼の座るテーブルには野菜スープが入った器とバスケットに入れられたパン、そしてキャベツの酢漬けが置かれていた。


冒険者の宿『風見鶏亭』の定番のメニューであり、アキラが苦手な料理たちだった。

異世界生活の夢と希望を粉々に破壊する悪魔のメニューである。


まず、このパンが曲者だった。どんな粉を使っているのか分からないが、簡単に噛み千切ることはできない。フランスパンもびっくりの硬さだ。

噛めば噛むほどアゴが疲れてくる。


スープもはっきり言って美味しくない。

言い訳程度の量の肉と野菜を煮込んで塩で味付けしているだけの質素なもので、塩味のお湯の味がする。旨味要素が全く足りないのだ。せめてコンソメでもあれば味を整えることができるはずなのに。


付け合わせのキャベツの酢漬けも酸味が利きすぎていてロクに食べることができない。そのまま出してくれれば美味しいんじゃないかと思えるくらいだ。


この食事で銅貨5枚である。地球の通貨で換算すると銅貨一枚で100円程度なので、500円程度となる。安いと言えば安いのだが、美味しくないのでは話にならない。


「アキラは食事の時になるとしかめ面ばかりしているよな」

「うるさいことを言うつもりはないが。食事の時くらいうれしそうな顔をしたらどうだ」

「ロッドの言うとおりだ、こうして暖かい食事が食えるだけでも感謝するべきだ」


盗賊のエッジが茶化すと、仲間の魔術師のロッドが食事の態度を嗜める。それに続いてパーティをまとめる戦士のフランクが憮然とした表情で言ったあとに頑強な顎の力で無理やりにパンを噛み千切り、モサモサと咀嚼し始めた。


生暖かい目でその様子を眺めた後にアキラは自分のパンを見た。果てしなく硬い石のようなパンをどうやってあんな風に噛み千切ればいいというのだ。異世界人恐るべし。


アキラと同じテーブルに座る彼らはCランクの冒険者パーティ『草原の風』のメンバーである。

リーダーの重戦士フランクと魔法使いのロッド、盗賊のエッジの3人だ。彼らは同じ村の出身で村を出て冒険者として登録した時にパーティを組んだ。ソロで冒険していたアキラとは迷迷宮内のモンスターの討伐クエストで知り合い、意気投合してからは一緒に冒険をしている。


異世界人の仲間たちからしてみれば、この質素な味付けは当たり前のものである。彼らからすれば文句を言うアキラの方がわがままなのだろう。だが、不満を言わずにいられるほど、アキラは大人ではなかった。


「だってさ、全然美味しくないじゃないか」

「いいから黙って食え、文句ばかり言うと女将が怒鳴りこんでくるぞ」


最年長のロッドが女将の視線に気づき、そっとささやいた。

それとなく振り返ると、少し離れたところから様子を伺っていた女将が、笑顔のままで青筋を立てて拳に力を込めているのが分かった。

彼女は現役時代に一流の冒険者として活躍し、引退した現在も揉め事を起こす冒険者がいれば拳ひとつで鎮圧してきたという怖い逸話の持ち主である。実際に殴られた客が店の外まで吹っ飛んでいくのを目撃したことを思い出し、アキラは急いで振りむき直して食事を再開した。これ以上、余計なことを言えば命が危ない。そう感じて食事を詰め込んだ後、逃げるように自分の部屋に戻った。


ベッドで寝転がった後にため息をつき、自分のステータスを確認した。所有スキルを見るとあの時に授かった【地球の美食の加護】が書かれているが、詳しい説明を受けていないのでどんな力なのかさっぱり分からない。少なくとも異世界の食事を美味しくさせる味覚を得たわけではないことは確かだ。

そういえば神素を補給するといっていた粘土もまずかった。あんなものを食べている女神が与えた加護、本当にこれは大丈夫な代物なのだろうか。いよいよ不安になってきたアキラは手を合わせて祈り始めた。


「女神様、お願いします。贅沢を言います。牛丼が食べたいです、カレーが食べたいです、せめて醤油か味の素、日本で使っていた調味料が欲しいです」


アキラの悲痛な祈りにもかかわらず残念ながら女神が答えることはなかった。ただ、開きっぱなしだったステータス画面の【地球の美食の加護】がほのかに輝き始めたが、それに彼が気づくことはなかった。

そうこうしているうちに時間が流れ、アキラは眠りについたのだった。その晩は悪夢を見た。迷宮の中で硬すぎるパンの化け物と塩味のスープの化け物に襲われ、全滅するという内容でうなされたのだった。



                      ■



次の日、アキラは仲間の『草原の風』のメンバーと共に街の郊外にあるダンジョンの攻略を行なっていた。街の郊外にある『はじまりの洞窟』である。

この世界におけるダンジョンは自然発生する迷宮である。数多くのモンスターの住処になっている危険な場所である。だが、ダンジョンに潜る冒険者は後を絶たない。

ダンジョンでは危険と引き換えに価値あるアイテムや財宝、魔法の品を得ることができるからだ。ゆえに一獲千金を夢見る冒険者はダンジョンに挑む。

そんなダンジョンの中でもはじまりの洞窟は他の洞窟に比べて難易度も低いため、冒険を始めたばかりの初級冒険者たちに人気があった。

ほかの高難易度のダンジョンに比べれば命の危険も少ないため、ダンジョン内で見つかったアイテムや魔物の素材をギルドに納品し、生計を立てている中堅冒険者も出入りしていた。


そんなダンジョンの第二階層でアキラたちは魔物と戦っていた。額に鋭い角を持つ魔物ホーンラビットである。ただのウサギと侮ることなかれ。額に生えた角の突進は迷宮の壁にやすやすと突き刺さるほどの威力を持っているのだ。

だが、突き刺さった後に壁から角を引き抜くまでのスキが生まれるので、その一撃を避ければ楽に対処することができる。

とはいえ、突進してくるホーンラビットをぎりぎりで避けて壁に突き刺さるように誘導するのは恐怖を伴うものだ。


顔面横すれすれに突進してきたホーンラビットの角を避けながらアキラは迎撃に移った。壁に突き刺さって慌てる兎の尻めがけて剣を振り下ろすと血しぶきが飛び散った。それが致命傷となったのか、ホーンラビットは絶命して光の粒子となった。代わりに残ったのはドロップアイテムの魔石だ。


迷宮の魔物は迷宮から生まれてくる。死骸の代わりに魔力を含んだ石やドロップアイテムを落とし、その魂は迷宮に帰ると言われている。つくづくゲームのような世界だとアキラは思った。そんなことを考えていると少し離れたところで戦っていたエッジから声がかかった。


「おい、こっち来てみろよ、宝箱を落としたみたいだぜ」


どうやら宝箱をドロップしたらしい。通常、ホーンラビットが宝箱をドロップすることはないため、レアアイテムであることは間違いない。盗賊のロッドが罠の有無を確認し、箱を開けた。中には小さなアイテムが入っていた。


それはアキラが心から望んでいたものだった。


「何だ、この瓶は、ハズレアイテムか」

「お、お、お、お宝だぁぁーーーーーーーーーっ」


指でつまんで怪訝そうに拾い上げたエッジからアイテムを奪い取ると、アキラはそれを天高く掲げて雄叫びをあげた。


突然の豹変に仲間たちはギョッとなったが、無理もなかった。宝箱の中にあったのはアキラが夢にまで見ながら手に入れることができなかったもの、地球のスーパーに売っていた顆粒コンソメそのものだったからだ。


「おい、どうしたのだ、アキラは。混乱の魔法でも受けたのか」

「わからん、ドロップアイテムを見たら急にあいつ叫びだして」


アキラの豹変に仲間たちは怯えていた。だが、そんなことなどお構いなしにアキラは血走った目で鼻息を荒くしながら仲間たちを見た。

極度の興奮状態なだけだったのだが、何も知らない第三者から見てみれば、どう見ても錯乱状態にしか見えないありさまである。


「みんな、すぐにセーフティゾーンに行くぞ、飯の準備だ」

「なんでだ、まだ休息を取らないといけないほど消耗していないぞ」

「落ち着くのだ、アキラ」

「これが落ち着いていられるか」

「お、おい、待てって」


困惑する仲間たちを尻目にアキラは顆粒コンソメを宝物のように掲げながらセーフティゾーンへ向かって走り出していた。その目つきは完全に獲物を狙う狩人、いや肉食動物のそれだった。



                     ■



セーフティゾーンはダンジョンのどの階層にも存在する野営地だ。モンスターが侵入できない結界が張ってあり、湧き水などの水源もある。危険なモンスターが蔓延るダンジョンの中でつかの間の休息を取ることができる貴重な場所だ。


普段ならほかの冒険者と鉢合わせることもあるが、今はだれもいないようだ。


セーフティゾーンに辿り着いたアキラは竈の前に立った。慣れた手つきで火を起こすと鍋に手ごろな大きさに切った根菜と干し肉を入れ、水を入れた後に火にくべた。そして具材が煮えた頃に顆粒コンソメを入れた。


あとは少量の塩を振り、味見をした後に大きく頷く。そして器に入れたスープをフランクに差しだした。


「アキラ、さっきから変だぞ、どうしたというのだ」

「いいから食え、これを食えば全て分かる」


押し切られるようにスープが入った器を渡されたフランクは迷った。さっきのアキラの様子はどう見ても正気ではなかった。このスープにもさっきの謎のアイテムの粉を入れていた。あれは何かやばいものじゃないか。


ああ、だが、なんとも言えずにいい香りではないか。普段のスープはこんなに食欲をそそられる香りはしなかったのにどういうことだ。


香りに誘われるようにスープの入ったスプーンを口にしたフランクの目が大きく見開かれる。それまでの冷静な様子が嘘だったかのように慌てふためき、フガフガ言いながらスープを一気にかきこんでいく。その様子は仲間たちが唖然とするものであった。


息をするのも忘れていたのだろう、スープを飲み干すとフランクは大きく息を吐きだした後に叫んだ。


「何だ、これは!めちゃめちゃうまいじゃないか!」

「ほ、本当かよ、フランク」

「嘘じゃないぞ、みんなも食ってみろ」


フランクの勢いに押されるようにして仲間たちもアキラから差し出されたスープを食べ始め、皆が同じようにがっつき始めた。お代わり、お代わりと次々に声が上がり、あっという間に鍋の中は空になった。空になった器を名残惜しそうに眺めた後にフランクは尋ねた。


「なあ、アキラ、教えてくれ。なんでこのスープはこんなに旨いのだ」

「こいつのおかげさ」

「さっきの宝箱に入っていた奴だよな、それは何だ」

「これは俺がいた世界の調味料、顆粒コンソメだよ。スープに入れるのもいいし、肉のソースにも使える万能調味料だ」

「火竜コンソメ、なるほど、火竜、ファイアドラゴンのことか、調味料に竜の名をつけるとは凄まじいな。もしかして魔法の調味料か」

「あ、いや、火竜じゃなくて顆粒な」


フランクの誤変換にアキラは苦笑した。おそらくこのコンソメをドロップしたことこそ、女神のもたらした恩恵なのだろう。


(ほかのモンスターからもドロップするのだろうか)


検証の必要があるだろう。だが、まずはコンソメをもっとドロップしたい。

仲間たちが喜んでくれたのも嬉しいが、なによりも自分の食生活を充実させることができる。パーティリーダーのフランクに相談してみることにしよう。

そう、アキラは決意した。



                     ■



顆粒コンソメを使った晩餐を終え、満腹になったアキラと仲間たちはセーフティゾーン内の野営地で休息を取っていた。


野営地の中央には焚火をすることができるスペースがあり、冷え込んだ地下迷宮の中でも暖を取ることができた。焚火を囲んで仲間たちと過ごしながら、揺らぐ炎を眺めていると少しだけ疲れが取れていく気がした。


休息中の過ごし方はパーティによってさまざまである。火を囲んで雑談をするものもいれば、ドワーフのように酒を飲んで憂さを晴らすものもいる。

吟遊詩人がいるパーティでは楽器を演奏して歌を歌い、場を和ませることが多い。

迷宮で歌われるのは単なる歌ではなく、疲労の回復などの効果のある呪歌の方が好まれるが、娯楽が少ない世界なので単純に音楽を聴けるだけでも気が休まって満足するものも多いのだ。


あいにくと草原の風にはそういった趣のある趣味を持った者はいなかったが、それぞれが思い思いの行動をしながら休息を取っていた。体を休めながら、これからのことをリーダーのフランクに相談しようと思っていたアキラは、話しかけるタイミングを計るためにまずはほかの仲間の様子を伺うことにした。


魔術師のロッドは街の本屋で買った古文書の解読にいそしんでいた。彼は古代文明の研究と解明に興味があり、暇さえあれば古文書の解明を行なっている。

片手に古代語の辞書をもち、床に置いた古文書の文脈を手帳に書きこみながら、文字の一つ一つの意味を調べ、連なった文章にした時にどのような意味の一節になるのか、ああでもない、こうでもないと読み解きをしている様子が見受けられた。集中しすぎているせいか、アキラの視線には全く気付いていないようだ。


盗賊のエッジは護身用のナイフに刺したチーズを火にあぶって食べていた。彼は街で購入した干し肉やチーズなどをおやつとして持ち歩く癖がある。だが、あくまでも一人用なので仲間に分けることは滅多にない。熱を帯びてとろけたチーズを旨そうに頬張った後、アキラの視線に気づいた。そしてニヤリと笑った後にお前にはやらないぞとジェスチャーをした後に残りのチーズをうまそうに平らげた。


リーダーのフランクは砥石を使って愛剣の手入れを行なっていた。根が真面目なフランクは自分の所有する道具を大切に扱う。無心で砥石をかけては刀身をかざし、火にかざして刃こぼれの有無を確認しながら丁寧に刃を研いでいく。刃を研ぐ音と、薪が炎で音だけが静かに響き渡る。


「なあ、フランク」

「ん?どうしたのだ、アキラ」


ロングソードの刃を研いでいた手を休めると、フランクはアキラの方を見た。何か会話が始まったことに気付いたロッドとエッジも二人の方に視線を向けた。


「ホーンラビットが顆粒コンソメを落とすのが分かったし、しばらく低階層でウサギ狩りに集中したいのだけど、どうかな」

「うーん、ウサギ狩りか、本当は深層への攻略を進めたかったのだが」


アキラの提案にフランクは腕組みをしながら答えた。本来の計画と違うため、どうするべきか思案している様子だった。


はじまりの洞窟の5階層以降はオークやホブゴブリンなどの武装した亜人モンスターが現れるようになる。彼らからドロップできる武器や防具、そして素材はそれなりの値段で取引されるため、5階層を目指して迷宮に潜る冒険者も多い。

フランクもそういった計画を見据えて攻略を行なっていたので、アキラの提案を受け入れるべきか悩んでいるのだった。


「そっか、残念。顆粒コンソメがあれば、あのスープをご馳走できるのだけどな」

「うむ、たまにはウサギ狩りに勤しむのも悪くないな」


顆粒コンソメスープという餌を出した途端に即答であった。リーダー、ちょろすぎないかと話を聞いていたロッドとエッジが呆れかけたが、同意を得られたことにアキラは内心でガッツポーズをした。


もちろん、フランクにも打算がなかったわけではない。少し遠回りをすることになるだろうが、戦闘の経験を得てパーティの強化を図ることができると考えたのだ。

決して顆粒コンソメスープのためだけではないのだ、あのうまいスープのためではない。彼は自分に言い聞かせた。

そうと決まれば行動は速く、休息を終えたパーティはホーンラビットの討伐を行うことになった。



                     ■



「でもさあ、不思議な話だよね」


盗賊のエッジが通路の先にモンスターの姿がないことを確認した後に振り返って呟いた。後ろにいたアキラが自然とその言葉を拾う。


「不思議って何のことだ」

「なんでホーンラビットが顆粒コンソメを持っていたかってことさ、そのアイテムはアキラがいた世界にあった調味料なのだろ」


確かに言われてみればその通りだ。なんで異世界のウサギが顆粒コンソメを持っているのだ。アキラは仲間たちに自分が異世界からやってきたことを説明している。それでも異世界のアイテムをこちらの世界のモンスターが持っているというのは理解しがたいものがあったのだろう。

それまで黙って顎を掴むようにして考えていたエッジが口を開いた。


「これは仮説にすぎないが、アキラの持っている力の影響なのかもしれない」

「え、どういうこと」

「古い文献によれば異世界から転移したものには魂に刻まれた記憶や情報を具現化する力を持っていたものもいたという記録が残っているのだ」

「じゃあ、アキラの力で顆粒コンソメをドロップしたということか」

「そうかもしれないという仮説にすぎない。アキラ自身はどう思うのだ」

「何とも言い難いかな。確かに俺のステータス画面には【地球の美食の加護】というスキルが表示されている。でも力を使った覚えもないし、なによりもモンスターのドロップ品として出てきたのがよくわからないな」


女神様に地球の美食が食べたいとは願いはしたが、こんな形で出てくるというのは完全に予想外だ。これではモンスターを倒さないと調味料が得られないということになる。

普通に願ったら調味料が出てくるとかでいいだろう。

出てくるのが顆粒コンソメだけだったらどうしようという不安もあった。


「何か発動条件があるのかもしれないな」

「そうだね、まあ、難しいことを考えるのは狩りをしてからにしよう」


そういってエッジは話を終わらせた。ウサギ狩りを行なうことにしたアキラたちは迷宮内を歩いて獲物を探した。

ほどなくして迷宮に生えている草を食べているホーンラビットの群れを発見した。草を食べるのに夢中なのか、こちらには気づいていないようだ。


奇襲をかける好機と判断し、盗賊のエッジが矢を装填したボウガンを放った。風を切る音と共に放たれた矢は首筋に綺麗に刺さり、ホーンラビットは短い悲鳴をあげて絶命した。仲間が襲われたことを察知し、他のホーンラビットたちが戦闘態勢に移る。

アキラたちも剣を抜き、迎撃態勢に移った。


「来るぞ、ぬかるなよ」

「おうよ!」


前衛のフランクとアキラが向かってくるホーンラビットの突撃を盾で逸らして受ける。下手に横に避ければ後衛のエッジやロッドに攻撃が行くからだ。

乱戦でない限り、陣形を組み、後衛が魔法攻撃の準備や遠距離攻撃で援護を行なうまでは前衛が迎え撃つのが定番の戦法だ。

フランクとアキラの背後で詠唱を終えたロッドの杖から炎が巻き上がる。それは複数の火矢となって、ウサギたちに放たれていく。火矢は命中するとともに爆炎をあげた。


何匹目かを倒した後、目の前に現れたのは宝箱ではなく、違うものであった。

それはプラスチックの食品用トレイに載せられ、ラップで梱包された肉の塊だった。どう見てもスーパーの精肉コーナーで見かけるものとそっくりに見える。

悪い冗談にしか見えない、そう思いながらアキラは食品トレイに入った肉を手に取って表示を見た。


「一角ウサギのモモ肉、ファミリー用1000gって完全にスーパーのお肉売り場のノリじゃないか」


ご丁寧に日本語で内容表記がされている。そんなものを読めるのは俺だけだろう、アキラはそう心の中で呟いた後に乾いた笑みを浮かべた。一方、不可思議すぎる包装をされた肉を見た草原の風のメンバーの反応は様々だった。フランクは肉そのものよりも見たことがない包装のされ方に怯えているし、エッジも何かの罠じゃないのかと怪訝な顔をしている。

ロッドに至っては半開きで口を開けたまま、杖を床に落としそうになっている。普段の冷静な彼からは想像もできない様子だった。


「それもアキラのスキルで生み出されたドロップアイテムなのか」

「アキラ、なんだか微妙な表情しているけどどうしたの」

「いや、なんでもないよ」


血抜きをして、皮を剥ぐ手間はなくなるものの、風情もへったくれもあったものではない。

これでタイムセールの半額シールとか貼られていたら更に説明がややこしくなる。

何かが激しく間違っている。生暖かい笑みを浮かべながらアキラは心の中で突っ込んだ。



                    ■



顆粒コンソメ以外に数パック分のウサギ肉を得ることができたので、休息を兼ねてセーフティゾーンで野営を行うことになった。夕飯の食材には顆粒コンソメと例のウサギ肉を使うことにした。


「さあて、どうやって調理しようかな」

「肉なんて塩焼きでいいじゃないか」

「確かにそれも美味しいけど、せっかくなのだから工夫をしたいのだよ」


しばらく思案したアキラはとあることを思い出した。そういえばあいつがアレを持っていたはずだ。悪巧みを企んでいる顔をしたまま、アキラはフランクの方を見た。


「どうしたのだ、アキラ、変な顔をして」

「フランク、こっそりパンにつけているアレを分けてくれ」


フランクはギョッとした。動揺したのか、すごい汗をかいている。動揺を隠そうとしているが、両手をワキワキさせながら視線を逸らす様子はあからさまに怪しかった。隠し事が下手な男だ。そう思いながら、アキラは追い打ちをかけた。


「もう一度言おうか、お前が野営の時にパンにこっそり塗っているバターを分け…」

「わーわーわーっ!言うな、なんでそれを知っている!」

「いや、もろバレだっての」

「いつも背を向けてコソコソ塗っていたのは知っているぞ」


顔を真っ赤にしているフランクを仲間たちは笑った。朴念仁で普段は食べ物に味など求めないように見えて彼はパンにはうるさい。特に焼きたてのバターの香りがするパンが大好物なのだ。

冒険に出る時には保存に適した硬いパンしか持ち歩けないので、火であぶったパンに私物のバターを塗って食べるのが密かな楽しみだった。

パーティで共有しないのもどうかと思うが、高価なものなので皆で分ければ無くなってしまう。

何ともみみっちい話であるが、まじめ一辺倒に見えるフランクのちょっとした人間味に見えたので、仲間たちもあえてツッコミを入れず、生暖かい目で見逃していた。


「…ちょっとだけだぞ」

「わかってるよ」


フランクからバターの塊を受け取ると、アキラは準備を始めた。準備したのは少量の小麦粉、バター、塩、コンソメ、そしてお湯である。

野営地にはレンガを積み上げて作られた簡易的な竈がある。そこに火をともし、フライパンを温めていく。次いでナイフで切り取ったバターを思い切りよく投入する。

思った以上の量に使われたのがショックだったのか、フランクが小さな悲鳴を上げるがお構いなしだ。


「何を作る気なのだ」

「ブラウンソースだよ」

「ブラウンソース?なんだ、それは」


ブラウンソースは小麦粉、バター、コンソメなどを使った簡易的なソースだ。

残念ながら日本で使うような薄力粉は手に入らないので、以前に街の市場で仕入れたライ麦粉で代用することにした。牛乳があればホワイトソースにできるが、新鮮な牛乳を持ち歩けない今の環境であればブラウンソースが最適解だろう。


フライパンに入れたバターが溶け出し、周囲にバターの香りが一気に漂い始めた。

バターが溶けたらライ麦粉を投入し、色が変わるまで木ベラでまんべんなく炒めていく。名前の通り、色が小麦色に近い茶色に変わっていったら塩、顆粒コンソメを混ぜたお湯を足していく。

ソースが全体的に馴染んで来たら、別のフライパンで油とニンニクを入れて香りを出し、ウサギ肉をあぶっていく。油が弾ける音と共に肉の表面がきつね色に変わっていく様子がなんともうまそうだった。

こんがりと焼き色がついて焼きあがったウサギ肉に先ほどのブラウンソースを加え、ソースと馴染むようにソテーしていく。


「よし、完成だ」


できあがったウサギ肉のソテーを皿に盛りつけ、彩り用のハーブを散らしていく。皿を配膳し終えると全員の喉が同時に鳴った。それだけ美味しそうに見えたのだろう。

アキラが食べるのを促すと、我慢しきれなくなった仲間たちは我先に肉をがっつき始めた。そして、口の周りをソースでベッタベタにしながら感嘆の声をあげ始めた。


「ハグハグハグ、うっめえ!ウサギの肉ってこんなに旨かったっけ、おいら、こんなの食べたことないよ」

「ソースだ、ソースが違うのだ、顆粒コンソメにまだこのような可能性があったとは」

「俺のバター、こんなに美味しくなるなんて、ああ、こんなに美味しくてごめんよう」


仲間たちの反応に満足しながらアキラはナイフで切ったウサギ肉を頬張った。うん、美味しい。野性味のあるウサギの肉とブラウンソースが良く合わさっている。単に塩焼きにするよりも味わい深かった。しみじみとウサギ肉を味わっていると、空になった器を持ったエッジが舌なめずりしながらやってきた。


「アキラ、おかわりちょうだい」

「え、もう食べ終わったのかよ、エッジ。普段は小食のくせに」

「ふっふっふ、実はおいらは肉料理には目がないのさ」

「わかった、すぐ作るから待っていてくれよ」

「うん、よろしくね~」


ふと視線を感じて見ると、フランクとロッドが物欲しそうな顔をしてフォークをかじりながらこちらの様子を眺めているのが分かった。奴らの分も作らないと拗ねるだろう。

しかし、フランクはわかっているのだろうか、お代わりをするということは秘蔵のバターがまた減るということを。

気付くまで黙っておくか。アキラは人の悪い笑みを浮かべた後に竈に向かった。

こうして一行は満腹になるまでウサギ肉を楽しんだのだった。

ある程度の評価がいただけるようであれば連載版に切り替えようと考えております。

よろしくお願いします。

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