表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才薬師と弟子  作者: ポムの狼
第5章 冒険者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/100

第95話 最終決戦

 メイとユオとムスタとトゥフカとヨーツェンは、最終決戦に備えて装備を整えた。メイはオルガの薬籠からごっそりと薬を出して、パーティメンバーに配った。


 魔王城までの道のりは、嵐の前の静けさなのか静まり返っていた。小鳥のさえずり一つ聞こえず、不気味ささえ感じた。


 メイはそびえ立つ漆黒の城を下から眺めた。



 この中に優香がいる……



 メイは緊張で手に汗を握った。


「行くぞ」


 ユオの短い掛け声で一行は魔王城の門を押し開け、中へと足を踏み入れた。

 中に入るとすぐに大きな庭が広がっていた。誰も手入れをしていないのか、草木が生い茂っていた。


「こっちだ」


 ユオを先頭に一行は進んでいく。ユオには優香とエンケリが何処にいるのかわかっているようだ。


 中庭を突っ切り、突き当たりの大階段を登ると大きな広い部屋に出た。奥の玉座には、足を組んで座る優香の姿があった。エンケリは玉座の背もたれの上とまっている。


「待っていたわよ、メイ…… それとかわいい息子たち……」


 優香は笑顔で話し始めた。


「優香……あなたのせいで迷惑している人、悲しい思いをしている人がたくさんいる…… どうして? あなたは何の目的でこんな事するの?」


 メイは前に出て勇気を振り絞って優香に聞くが、優香はそれに高笑いを返した。


「理由? 理由なんて、楽しいからに決まってるでしょ? それ以外に理由なんていらないでしょ? 人の男を奪うのも最高に楽しいし、その後体を重ねるのも達成感があって好きなの。子供は正直いらないけど、この世界では中絶できないから、仕方がないから産んでるだけ」


 優香の口から出てきた言葉は予想外のものだった。何がいけないのかとでも言わんばかりの態度だ。


「私、故郷の世界の男では物足りないの。だって、こっちの世界の方が顔が良いんだもの。私の遊びを邪魔するメイは許さない…… あなたも、父親のように石にして並べてあげる」


 優香が指さした先に三体の石像が並べてあった。一人は剣を持った男で、もう一人は頭に角が生えた男だった。もう一人は女で猫耳と尻尾が生えていた。


 メイは息を呑んだ。


 剣を持った石像にメイは見覚えがあった。フィンド王都の広場に置かれた銅像にそっくりだった。そして、【記憶の水鏡】でも見たことのある顔だったからだ。


「お父さん……?」


 オルガにメイを預けた父親はこんな所で石にされていたのだ。


 メイの顔を見て、優香はまた楽しそうに笑った。


「本当はオルガのこともここに並べたいの。メイを並べたら、次はオルガの事も探しにいこうかな」


「お母さんに手を出したら許さない!!」


 メイは優香に怒鳴った。悔しさと怒りでメイの目からは涙がこぼれた。


 一方、ユオも何も言わなかったが静かに怒っていた。石像の二体は自分の父親と母親だったからだ。



 メイは剣を抜いた。一番得意な光属性の魔法を剣に付与した。

 優香も立ち上がり、玉座の前の階段を降りてきた。


「エンケリ、メイは私が殺るから、他のはあなたにお願いできる? あ、くれぐれも殺したりしないでね。後で遊びたいから」


「仰せのままに」


 エンケリは仰々しく挨拶をし、消えた。


「メイ!!」


 メイは後ろでユオが呼ぶ声を聞いて振り返った。

 メイ以外の仲間たちがドーム状の結界の中に閉じ込められているのが見えた。エンケリはドームの上に乗り、中を眺めている。

 ユオはすぐに結界に手を当て解除を試みているようだが、一朝一夕では終わりそうもない。

 ムスタの影から虎の魔物が三体飛び出し、ドームの壁を引っ掻いている。



「余所見をするなんて、随分と余裕があるのね」


 メイは優香の声で前を向くと優香は長いロッドでメイに殴りかかってきた。メイは剣でロッドを押さえる。

 メイは力で、優香のロッドを弾き、すぐにカウンターを仕掛けた。突きの攻撃で優香を突いたがシールドで防がれてしまった。


「少し見ない間になかなか成長したようね。さすがは私の娘だわ」


 優香はまだ余裕そうだ。


「うるさい!!」


 メイはスイッチが入った。魔法の光の矢を無数に空中に浮かべて優香に放った。優香はシールドで光の矢を防いだ。メイは【加速】で一気に優香との距離を詰めて猛攻を加えていく。

 優香は笑顔でシールドに叩きつけられる剣撃を眺めていたが、次第にシールドにヒビが入り始めた。


「どうして?!」


 優香が動転している間に、メイは強烈な剣撃を加えてシールドが破れた。メイは優香の両手両足に突きを入れた。


「ぎゃ!!」


 優香が悲鳴あげて倒れた。尻餅をついた状態で後退りしている。



「このスキル……今までどうやって使うのか分からなかったけど……

 今なら分かるよ……【強制送還】!!」


 メイがスキルを唱えると、メイの前に黒い穴が出現した。穴からは強い風が出てきて、優香を穴の中へと吸い込もうとしている。


「なによこれ!? か、体が動かない!!」


 優香は逃げようとしているようだが、手足がガクガクと震えて動かない。


「お母さん特製と痺れ薬を剣に塗っておいたんだ。しばらくは動けないはずだよ」


「い、嫌!! 帰りたくない!! まだまだ遊び足りないのに!!」


「この世界はあなたが遊ぶための玩具じゃない!! 自分の世界に帰って!!」


 優香の抵抗も虚しく、優香は黒い穴に吸い込まれて消えた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ