第93話 鳥族の隠れ里
二泊のゆっくりした休息を取った一行は馬宿から馬を受け取り、鳥族の隠れ里へと出発した。
ユオとトゥフカは目だけで会話ができるらしく、二人で目を合わせて謎のハイタッチをしていた。
「ほんとに仲良しだね……」
メイは二人の様子を不思議そうに眺めた。
ヨーツェンが一行の前をパタパタと飛び、先導してくれる。湖の淵に沿って馬を走らせた。ちょうどイーリスの砦と湖を挟んで反対側の湖畔に巨大な岩が一つあった。
「こちらでございます」
ヨーツェンはそう言うの岩を嘴でリズミカルに数回つついた。すると岩の表面が透明になり、水面のように揺らぎ始めた。
「これで隠れ里に入れます。先に入って待っていますね」
そう言うのヨーツェンは揺らめく岩の中に入って消えた。
メイは馬に乗ったまま入ろうとしたが、馬が怯えて入ろうとしなかったため、降りて馬をなだめてから手綱を引いて一緒に入った。
「わぁ! 綺麗!」
メイの正面には金色に輝く湖、背面には琥珀で出来たような色の不思議な森が広がっていた。メイは湖に近づいて、中を覗いてみた。湖を泳ぐ魚や小エビもキラキラと金色に輝いていた。メイの馬は湖の水の匂いを嗅いでから、湖の水を飲んだ。
湖にはヨーツェンと同じ姿の白い鳥がたくさん泳いでいた。
「美しいでしょう? 気に入っていただけましたか?」
湖を泳ぎながらヨーツェンが近づいてきて、メイに話しかけた。
「うん! すごく綺麗な場所でびっくりしちゃった! ここはどこなの?」
「ここは、元々は精霊が住んでいた場所なのですが、亡命する際に頼み込んで住まわせてもらっているのです。もちろん対価も払っています」
「どんな対価?」
「私たちの羽根は精霊達にとって良い寝具になるようで、皆で羽根のふわふわの部分を少しずつ分け与えているのです」
メイはヨーツェンの羽根で作った寝具を想像してうっとりした。
「それは、すごくいいね……」
少し遅れてユオとトゥフカも入ってきた。
ユオが入ってくると鳥族たちがたくさん近づいてきて、各々好きなことを言った。
「ユオ様だ!」「大きくなられましたね」「先代陛下にそっくりだ!」
ヨーツェンは湖から出てきて、ユオの隣に立った。
「皆のもの! ユオ様御一行はこれから、我らが故郷、魔国を取り返しに行ってくださる! 先代陛下と聖女に魔国を追い出されてから十年以上の月日が流れた。今こそ我らの悲願達成の時ぞ!」
「「おお!!」」
鳥族たちは翼をパタパタさせて喜んでいるようだ。
「ユオ様からも一言お願いします」
ユオは眉間にしわを寄せながら一言「待ってろ」とだけ伝えた。




