第84話 持久戦 ‐3‐
アサシンとの攻防が始まってから五日が過ぎていた。メイとユオには明らかに疲れの色が見え始めた。
「アサシンさん。昼間は襲って来ないよね」とメイ。
「恐らくだが馬か何か、移動手段があるんだろうな。昼間に寝ているんだろう」
「いいなぁ、私もそろそろお昼寝したいよ」
メイは大きな欠伸をした。
「私に考えがあるから、今夜仕掛けよう。向こうも恐らくそのつもりだろうし」
「オッケー……何すれば良いか教えて……」
* * *
夜、メイの見張りの時間になった。メイはいつもの様にシールドを張った。焚き火の炎を眺めていたメイは、うつらうつらして舟を漕ぎ始めた。ヨーツェンもメイの横で丸くなっている。
メイは膝を抱えたまま寝てしまったのか、シールドの魔法が解けてしまった。
トゥフカはメイの背後から音もなく近づき、メイが暫く動けなくなる薬品を染み込ませた布をメイの口元に近づけた。
「つかまえた」
メイはトゥフカの腕を掴み自分の方へ引っ張った。トゥフカは咄嗟に足に力を入れたが地面が滑って、引っ張られるままにされてしまった。地面が何故か凍っていたのだ。
メイに押さえつけられたトゥフカは起き上がろうとしたが、メイの力が思っていた以上に強く難しい。
気が動転している内に、ヨーツェンがトゥフカの手足を氷漬けにして、身動きを封じた。
「見事だ…… シールドの消え方も魔力の流れも、不自然な点は一つもなかった……」
トゥフカは素直にメイを賞賛した。
「トーヤ大学に入学したての頃、『能ある鷹は爪を隠す作戦』をして失敗して以来練習していたんです。魔力操作は得意中の得意ですよ」
メイは得意げな顔でトゥフカを見下ろした。
ユオがテントから出てきた。
「やっぱり、メイの時間に仕掛けてきたか……
お前はアサシンのくせに同族に情けをかけ過ぎだ」
トゥフカはふっと笑った。
「そうだな……」
「よし。これでやっとアサシンさんと顔を合わせて話ができるね」とメイが言い出すもんだから、トゥフカは驚いた。
ユオはムスッとしている。
「私は反対だ」
「でも、この人すごくいい人の感じがするんだもん。お互いの話をすれば、絶対に分かり合えるよ」
メイは被っていたフードを脱いで顔を出した。金色の美しい髪がトゥフカにかかった。
「私、メイ・ヴィーエラっていいます。アサシンさんの名前を教えてください」
「トゥフカだ……」
ユオはすぐにメイに近づいてメイの顔にフードを被せた。




