第78話 暗殺者
「メイがいないだと!?」
メイの部屋付きメイドから、メイが部屋にいないことの報告を受けたセヴェリは慌てていた。メイドは自分の管理が行き届いていなかったことに頭を下げた。
「あなたが謝る必要はありません。私がメイを見送りました」
オルガはメイドにそう声をかけて下がらせた。
「オルガ、どういう事だ!」
セヴェリはオルガの行動が理解できずに動転している。
「メイには、果たさなければならない使命があるの。セヴェリ」
オルガはセヴェリに事情を説明した。
「事情は分かった………
だけど、メイが危険な目に遭うことを許すことはできない。ランパン! 急いで冒険者ギルドにメイを探すように依頼を出してくれ。あと例の人も呼んできてくれ」
「畏まりました」
「だめ、ランパン。ちょっと待って。
セヴェリ、落ち着いて。メイの事を応援してあげて」
「落ち着いてなんかいられるはずないだろ! 逆にどうしてオルガはそんなに落ち着いていられるんだ?!」
「私も両親に冒険者になることを反対されて辛かったから、私はメイに同じ思いをしてほしくないの! メイには心置きなく自分のやりたいことをやってほしいのよ」
「駄目だ…… いくらオルガの頼みだからって、これだけは絶対に譲れない。
ランパン、行ってきてくれ」
執事長のランパンは一礼して部屋を出ていった。
* * *
セヴェリは自分の仕事部屋で例の人が来るのを待っていた。オルガには悪いが、邪魔をされないようにメイド長にオルガを預けてきた。
扉をノックする音が聞こえた。
「セヴェリ様、お連れしました」
「あぁ、入ってくれ」
「失礼いたします」
ランパンは後ろに一人の黒尽くめの男を連れて部屋に入ってきた。フードをかぶっていて顔は見えなかったが、腰からグレーの長い尻尾が生えていた。
「よく来てくれた。今日は一人消してもらいたい人間がいる」
黒尽くめの男はフィンド王国で有名な殺し屋だった。
「娘を攫った男を消してほしい。娘のことは傷つけずに連れて帰ってほしいのだが、できるか?」
「分かりました。前金はご用意できていますか?」
セヴェリは金貨の入った大きな袋を男に渡した。
「成功したら、この倍払う」
「前金、確かに頂きました。失礼いたします」
そう言うと、男は足音なく部屋を出ていった。




