第58話 パートナー探し
メイはドレスの事を実家に手紙で相談すると、速達で祖母から返事がきた。メイは中庭のベンチに腰掛け、手紙を読む。
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ドレスの事は任せなさい。
メイが学校で一番、いや大陸で一番美しく見えるドレスを贈ります。
あなたを愛するおばあちゃまより
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手紙を読んで、メイは不安になった。
とんでもなく派手なドレスが届いたらどうしよう……
シンプルな物にしてって書いとけば良かった……
「メイ、ちょっといいかな? 話があるんだけど……」
手紙を読んでいたメイの所にウィルが声をかけてきた。
「あ、うん。なに?」
ウィルはちょっと照れくさそうに頭をかいている。肩の上には久しぶりに白くてふわふわのケサランが乗っていた。
「駄目元で聞いてるんだけど……
来月のダンスパーティーのパートナー、もしまだ決まってなければ一緒にどうかなと思って……」
メイは驚いた。まさかウィルが誘ってくれるとは思ってもみなかったからだ。
「え、いいの! まだ決まってなかったから、すごくうれしい! ありがとう!」
メイの返事にウィルも驚いた顔をする。
「ほんとに! いつも一緒にいるから、てっきりユオかリンドと行くのかと思ってた」
「そんな事ないよーー。ユオは相変わらず私に触られるの嫌がるし、リンド先輩は政治問題になるって相手にしてくれないからね」
「そうなんだ……それは、ラッキーだったな」
ウィルはメイから目をそらして、ケサランの毛を撫でた。
「ラッキーだった? ウィルは去年とかも参加してるんだよね?
その時のパートナーに頼んでも良かったんじゃない?」
ウィルはベンチに座るメイの隣に座った。
「僕はメイと行きたかったんだ。
本当は小さい頃から、ずっとメイのこと綺麗だなって思ってたんだ……」
ウィルは照れながら、でもメイの目を見ながらそんな事を言った。
メイは男の子に綺麗だなんて言われた事がないから、恥ずかしくて鳥肌がたつのを感じた。
「あ、ありがとう……なんだか照れるな……」
メイはウィルに照れ笑いを返した。
ウィルはメイの熱っぽい眼差しでじっと見つめて念押しした。
「お世辞とか、冗談じゃなくて、本気で思ってるから……
その…………
ごめん、がっついちゃ駄目だね。また、今度話そ」
そう言うとウィルは逃げるようにいなくなってしまった。
* * *
「メイ……」
メイが休日に図書館で本を読んでいるとユオがメイの向かいの席に座った。
最近、ホームルームでダンスレッスンを受けるようになってから、ユオは明らかにメイと距離を取っていた。いつもは何処に行くのも一緒だったのに、最近はホームルームでしか会わないくらいだ。
「ユオ、どうしたの?」
「………」
なぜ、何も言わないんだ?
ユオから声をかけてきたのに、ユオはむすっとして何も言ってこない。メイは頭の中に?が浮かんでいた。
「………やっぱりいい」
しばらく待ってみたメイだったが、ユオから出てきた言葉がそれだったのでメイの中では謎が深まるばかりだった。
「あ、そうなの? また、話したくなったら言ってね」
その後、ユオはメイの隣に座り直し、メイが本を読んでいる所をずっと眺めるだけだった。
* * *
ダンスパーティー当日、メイは届いたドレスを見て愕然とした。
「……これを私が着るの?」
美しい藍白色のドレスでスカートの部分にキラキラと光る石が無数に縫い付けてあった。メイが最も抵抗感を感じたのは、背中のデザインだった。ホルターネックのデザインになっていて、首の後ろがリボンになっているが、その下の背中が大きく開いたデザインになっていたことだった。
これ、どうやって着るの?
いつもの下着着てたら出ちゃうよね?
メイが困っていることを、知ってか知らずか、ティナとアイニとエイネが先に準備を終えて、メイの部屋を訪ねてくれた。
「ちょっと、メイ! まだ準備できていませんの!?」
「三人とも、来てくれてありがとう……
このドレス、どうやって着ればいいかわからないよ……」
「まぁ! ホルターネック素敵じゃない! 専用の下着が一緒に入っているはずですわ!
時間がありません! アイニ、エイネ、手伝って!」
メイは三人に身包みを剥がされて、下着の着付けからドレスの着付け。メイクやヘアセットまでしてもらうのだった。
最後にいつものケープを被ろうとしていたメイは、ケープをティナに奪われてしまった。
「今日は、ケープ禁止です!! パートナーに失礼ですわよ!!」
メイはティナ達に引きずられるように連れられて、渋々部屋を出るのであった。




