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天才薬師と弟子  作者: ポムの狼
第3章 トーヤ大学入学

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第35話 聖女召喚【番外編】

「なんだか、最近曇りばっかりじゃない?」


 薬師のオルガが薬屋のセヴェリと取り引きするようになってから、四年の月日が流れていた。

 黒魔法使いのロンと書店員のアンナは結婚し、ロンはパーティから抜けてしまったが、勇者のアルトとオルガの二人だけでも問題なく冒険者の仕事をこなせるまでにオルガは成長していた。

 オルガが薬を作って稼いだお金は、パーティの会計担当だったオルガが全てパーティの貯金に入れていた。そのおかげでオルガもだが、アルトも良い装備を新調し、パーティは破竹の勢いで活躍していた。


 時間的には朝のはずなのに、空はどんよりして暗い。宿の部屋で隣で寝ているアルトにオルガはキスをした。オルガはアルトが起きないのをいいことに、アルトの喉仏から臍までゆっくり人差し指でなぞった。


「オルガ……くすぐったい……」


 いつの間にか起きていたアルトがそれ以上下を撫でようとしていたオルガの手を掴んだ。アルトは横にいたオルガに覆いかぶさりオルガにキスをした。


「駄目だよ、アルト…… 今日は依頼でフィンド城に呼ばれてるんだから……こんなことしてたら遅刻しちゃうよ」


「じゃあ、先に起きた君は服を着て支度をしておくべきだったね。それに先に誘ってきたのはオルガだろ?」





* * *







 ぎりぎり遅刻を免れ城についた二人は王の待つ、玉座の間まで通された。何度か国からの依頼で城に来たことはあったが、王に直接面会するようなことは一度もなかったのでかなり緊張した。


 玉座の間に通されると、王様が玉座に座り二人を歓迎した。


「おお! よく来てくれた、勇者のパーティよ。そなたたちを呼んだのは、今この国でおこっている瘴気の問題を解決するためじゃ」


 オルガは恐る恐る聞いてみた。


「陛下、質問してもよろしいでしょうか?」


「あぁ、構わん。なんでも聞きなさい」


「瘴気とはなんですか?」


「あぁ、その事を説明せねばな」


 王様が横にいた宰相と思われる人に目配せした。宰相が王様の代わりに説明をした。


「最近、このフィンド王国では記録的な曇天が続き、日照不足が問題になってきた。それに加えて、原因不明の咳や高熱で倒れる民が増え始めたのだ。

 この状態は百前の国の記録に残されていた瘴気発生の記録と酷似している。勇者パーティには、その解決に尽力してもらいたい」


「その話は本の物語で読んだことがあります! まさか、史実をもとにしていたとは知りませんでした。本の中では勇者の他に異世界から召喚した聖女が描かれていましたが、聖女召喚も行うのですか?」とオルガは聞く。


「そうだ。本日は聖女召喚の儀に勇者パーティにも立ち会ってもらうために呼んだのだ。神官たちよ、準備せよ」


 宰相の合図で、玉座の間にぞろぞろの数人の神官が入ってきた。一人の神官が手に絨毯を丸めた筒を持っていて、玉座の間の中央にその絨毯を敷いた。絨毯には、聖女召喚のためと思われる魔法陣や呪文がびっしりと織り込まれていた。


「では、召喚の儀式を始めよ!」


 王様の合図で、神官たちは絨毯を囲み魔力を流し始めた。絨毯の魔法陣が光出し、絨毯から強い風が吹き始めた。光はどんどん大きくなり、玉座の間は光で包まれた。一堂は目をあけていることができなくなった。






「ここ……どこ……?」






 オルガとアルトは、恐る恐る目を開けた。すると、絨毯の中央に長い黒髪の女性がきょろきよろしながら混乱した顔をしている。


 王様が立ち上がり、黒髪の女性に声をかけた。


「聖女よ! よくぞ我々の召喚に答えてくれた! 歓迎する! 名前を聞いても良いか?」


 女性は、まだ状況を飲み込めないようだったが、王様の質問に素直に答えた。



「私……優香といいます」

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