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天才薬師と弟子  作者: ポムの狼
第2章 七歳のメイ

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第23話 調停者

 メイは診断書を何とか受け取り、ふらふらとした足取りで家族のところへ戻った。

 メイの様子を見て、皆が心配していたが、静かに儀式が終わるのを待った。

 ユオは、メイの膝の上に乗り丸くなった。ユオはメイが持っていた診断書を前足で押さえて覗いている。少し見ることができたようで、金色の目を大きく見開いたが、何か言うことはなかった。




 全員の儀式が終わり、他の家族はぞろぞろと帰り始めた。

 メイの様子を心配したオルガがメイに声をかける。


「メイ、どうしたの? 希望の職業じゃなかったの?」


 メイはオルガの優しい声を聞いて若干涙目だ。


「せんせぇ……どうしよう…… なんか変な職業になっちゃった…… 司祭様が話があるから、家族で残ってって言ってた……」


 オルガはメイから診断書を受け取り開いて中身を確認した。セヴェリもオルガと一緒に診断書を覗き込む。二人とも目を見開き、驚いた顔えをしたが何も言わなかった。

 ロンとアンナは、深刻な状況であることを感じ取り、メイにお祝いの言葉をかけてから先に帰宅した。


 他の家族がいなくなったのを確認して、司祭がメイ家族に近づいた。


「診断結果について少しお話がありますので、ついてきてください。司祭室でお話しましょう」


 司祭の案内で、一行は司祭室へと移動した。司祭室にあるソファに座るように言われ、メイが長ソファの中央に座り、その両脇にオルガのセヴェリが心配そうに腰かけた。


 司祭は静かに話し始めた。


「今回の【調停者】という職業ですが、私も初めて見ました。過去の診断結果は全て教会に記録が残っているのですが、その中でも見たことがない職業です。

 職業診断の結果は創世の女神様が決めていると言われていますが、我々教会の人間も真実は知りません。昔から、そう言われてきたのを我々は伝えているに過ぎないのです。

 しかし、今回のように聞いたこともないような職業を授かったことのある人は過去にもいます。【調停者】がどういった特性の職業なのか、我々教会には測りかねますが、メイさんは女神様から大きな使命を託されたのでしょう。気を落とされないようにしてください」


 司祭の説明をオルガとセヴェリは頷きながら聞いた。


「次にスキルの話ですが、これも大変珍しいスキルでしたので、教会の記録にあるスキルは説明させてください。

 まず、【真実の瞳】についてです。

 このスキルは聖職者が授かることの多いスキルです。このスキルを持っていると、相手が信用できる人間なのか直感的に判断できると言われています。また、レベルが上がると相手が嘘をついているのかどうかといったことも分かるようになるそうです。

 次に【魔法︰全属性使用可】のスキルです。このスキルも大変珍しいものです。私がこのスキルを持っている方を見たことがありますが、先代の聖女様が持っていました。書いて字の通り、全ての属性の魔法を練習次第で習得できます。

【武器︰全武器使用可】は先代勇者様が持っていたスキルで、こちらも練習次第で全ての武器を達人のレベルまで鍛えることができるでしょう。

 最後に【記憶の水鏡】と【強制送還】のスキルですが、この2つのスキルは我々教会の記録にないスキルですので、ご説明することができません。


 いずれにしても、今回の結果は大変素晴らしいものだと、私は感じました。メイさん、ご家族の皆様おめでとうございます」


 司祭の説明は以上だった。






 教会を出た後、セヴェリは明るくメイに声をかけた。


「なんだかよく分からない結果だったけど、すごいスキルがたくさんあって良かったじゃん! メイは魔法使いになりたかったんだろ? 魔法の適性もあった訳だから、結果オーライなんじゃないか?」


「うん! そうだね! たくさん魔法の勉強して、立派な魔法使いになりたい!」


 メイも今回の結果を前向きにとらえることにした。考えても仕方がないものは深く考えない主義なのだった。



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