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天才薬師と弟子  作者: ポムの狼
第2章 七歳のメイ

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第22話 メイの職業診断

「先生…… ごめんなさい……大事なことなのに勝手に決めて……」


 オルガは涙を拭いながら首を横に振った。


「ううん、私も悪かった。でも、これだけは確認させて。メイは私に気を使って、家を出るんじゃないんだよね? やりたいことがあるからトーヤに行くってきめたんだよね?」


 メイはオルガの目をしっかりと見てから頷いた。


「分かったよ。メイがやりたいことがあるなら、応援する。でも、約束して。新年のお休みと夏休みは必ず、私に会いに帰ってくること。何か困ったことがあったら、必ず私に相談すること。いいね」


「はい!」


 メイはニカッと笑って返事した。


「それじゃあ、セヴェリと二人で少し話をしたいから、自分の部屋に行っててちょうだい」


 メイは頷いて、二階の自分の部屋へ行った。


 メイは自分の部屋で、オルガとセヴェリの話が聞こえないか、床に耳を当てて聞き耳をたてたが、二人がどんな話をしているかは聞こえなかった。


 しばらくして、下の階からセヴェリがメイを呼ぶ声がした。メイは急いで階段を駆け降りると、すぐにセヴェリがメイを抱き上げてくれた。

「メイ! ありがとう! メイのおかげで、プロポーズ大作戦成功だ!」


 とうとうオルガがセヴェリを受け入れたらしい。

 メイは自分のことのように喜んだ。


「やった! じゃあ今日からセヴェリさんが私のお父さんだね!」


 セヴェリは少し驚いた顔をしたが、すぐにいつものように目を細めて笑って、メイをぎゅっと抱きしめた。


「すごく嬉しいよ、メイ」


 セヴェリの目にも光るものが見えた気がした。


 オルガも近寄ってきて、セヴェリと一緒にメイを抱きしめた。


 メイは人生で一番幸せな時間だと感じて、胸の奥が暖かくなった。






「心臓が口から飛び出しそうだよ……」


 メイは緊張しすぎて吐きそうだ。


 オルガが優しくメイの背中をさすってくれているが、オルガも緊張しているようだった。


 今日は、待ちに待ったメイの職業診断の儀式の日。ウィルの時に来た時と同じように、教会で自分の番がくるのを待っていた。

 今日は、メイとオルガの他にセヴェリやロンとアンナもメイのために集まってくれた。ユオもメイの横で丸くなっている。


「メイ・コラリ、祭壇の前へ」


 緊張しすぎて、メイは転びそうになりながらも、なんとか祭壇の前に立った。

 司祭に促されて、祭壇のクリスタルに触れると眩い光が、辺りを包みこんだ。真白い光に包まれ、メイは眩しさから目を閉じた。







「メイ…… メイ…… 聞こえますか?」


 声がしてメイは恐る恐る目を開けた。

 すると、さっきまで教会にいたはずなのに、真白な別の場所にメイはいた。

 きょろきょろ辺りを見てみたが、オルガやセヴェリ、ロンとアンナ、他の人たちも皆どこにもいない。


「メイ。急に呼んでしまって、ごめんなさい。ここは異空間です。私とメイ以外は誰もいません」


 メイは声の主を探したが見つけられなかった。


「私の姿は見せてはいけない決まりになっているの」


「あなたは誰ですか?」


 メイは声の主に尋ねた。


「私は、あなたたちが創世の女神と呼んでいる存在です」


「め、女神さま!?」


「そうです。こちらへ呼んだのは、メイに頼みがあるからです。この世界を意のままに操ろうとする干渉者を止めてほしいのです」


「干渉者?」


 メイは女神様が何を言っているのか、さっぱり分からずぽかんと口を開けている。


「そうです。この世界はこの世界を生きる者たちが自分で生き方を考え、人生を生きなければなりません。しかし、それを自分の私利私欲のために操作する者が現れてしまいました。私はそれが残念でなりません……

あなたには、干渉者を止めるために特別な職業とスキルを授けます。どうか、その力を使って、彼の者を止めてください。頼みましたよ」


「え! 女神様! ちょっと待って!」


 どこからともなく強い風が吹き、メイはまた目を閉じてしまった。






 目を開けると、メイは教会の祭壇の前に立っていた。クリスタルの中に職業やスキルの文字がゆらゆらと踊っているのが見えた。


 職業【調停者】

 スキル【真実の瞳】【魔法︰全属性使用可】【武器︰全武器使用可】【記憶の水鏡】【強制送還】



 (なにこれ!? 記憶の水鏡って、前にユオが使ってたやつだよね? それ以外、全部知らないんだけど!?)


 メイも混乱していたが、一緒にクリスタルを見ていた司祭も混乱しているようだった。

 司祭はクリスタルに浮かび上がってきたものを、診断書に書いて、メイに手渡す。その時、メイの耳もとで、「全員の儀式が終わったら、家族と残ってください。少し話があります」と耳打ちした。



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