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6 近衛へのざまあ
「聖女をここへ!」
王様からの命に従い聖女様をお連れしようとした
大広間から出て行こうとする聖女様の前に立ち塞がった
「お戻りを」
そう声を掛けた途端、聖女様が睨んできた
まあ言いたいことは判る
散々聖女として扱き使ってきておきならが国外追放なのだ
いい加減にしろ!、といったところだろう
だがこちらも近衛なのだ
王様の命令を聞かない訳にはいかない
再度、戻って王様へ治癒をするように言おうとした
その途端、
<ごとっ>
剣を抜けるように柄に掛けていた手が床に落ちた
二の腕からは血がドバドバと滴り落ちている
そして激しい痛み
「あああああっ!」
傷口の少し上の腕を左手で握りしめると少しは血の流れが弱まった
だがそれでもこれほどに!と思うくらい血が流れ出ていく
薄れいく意識の中、思った
ああそういえば実剣での訓練で腕を切りつけられたことがあったっけ・・・