47 裏切らないか勧誘をされました
高貴なお方の治療を終えて建物を出ました
治療は薬を塗って包帯を巻いたらおしまいです
後は数時間ごとにお薬を塗るだけです
その待ち時間は今まで通り平民の怪我人の治療です
「あああっ」
思わず伸びをしました
身体が固くなっていましたね
なにせ兵士に囲まれて治療したのです
緊張の一つもするってものです
そうしていたらどこからともなく声がしてきました
「若は大丈夫でしたか」
辺りを見回すと地面に座っている兵士がいました
顔は下を向いています
どうやら会話しているところを見られたくないようです
敵側の密偵でしょうか?
それとも同じ陣営の反対勢力?
どちらにしても先ほどの怪我人はいいとこのボンボンのようです
「怪我人の状態を知らない人間に話す訳にはいきません」
逃げました
厄介事の匂いがプンプンしますからね
君子危うきに近寄らず、です
「若は無理矢理旗頭にされているのです」
密偵らしき人は情に訴えてきました
本当であれ、嘘であれ、一介の薬師には真実は判りません
ですから安易に乗れません
可哀想に思って話に乗った途端
「スパイと通じていたな!」
と逆に犯罪者扱いされそうですからね
・・・あら、結構やばい状況ですか?(汗)




