第90話 闘技場
カジノビルのメインコンテンツはルーレット、バカラ、ブラックジャックの三つで今後はスロットも作る予定にしている。一階は換金所と飲食店を置き、その他、魔道具などをメインに珍しい物を販売する。二階にレートは普通のカジノ、三階はVIP専用のレートの高いカジノを配置し、四階、五階、六階はホテルで最上階は懺蛇の拠点とする予定だ。
娯楽の少ないこの世界なら中毒者が続出すると確信しているが、人の欲とは際限のないものだ。そんな中毒者達をさらに刺激する為に地下闘技場を作った。構想初期には予定になかったが、奴隷区画を掌握した事で不良債権化した奴隷をここで有効活用する案が浮上し建設に至った。
地下闘技場へはVIP専用フロアからしか行けない仕掛けをしており、特別感を演出している。
現在建築は八割完成しているが、肝心のルーレットやトランプの製作が滞っている。ワイノール商会と独占契約を結んで建設費の融資を引き出したが権利関係でワイノール商会が欲を出してしまい話し合いの場を設ける手筈になっていたが、現在は先のクーデター事件でワイノール商会との関係に溝が出来てしまった。
クロにとっては相手の弱みを握った状態になったのでどういった形で追い込むか思案中といったところだ。
「うん、注文通りの闘技場だな」
地面は砂で敷き詰められ、中央には六角形で囲った金網を立て、その中で闘ってもらうか迷ったが、汎用性を考え何も置かない事にした。客席は二階でその上にVIP席も作り、空調は魔道具で管理する事で快適な空間となっている。
二階席から闘技場を見渡すと、クーデターでワイノール商会に手を貸した組織の人間達が縄で拘束された状態で固められていた。
「兄弟! ここは面白そうな遊び場だな!」
「ガロウ、来てたのか」
「だってよお! ここは俺の為に作られたような場所だろ!」
「まあ、お前にはここのチャンピオンとして君臨してもらう予定ではあるけどな」
戦鬪狂のガロウにとっては夢のような場所になるだろう。エンターテイメント性が強い側面もあるが、生死のやり取りがここでは行われる。もちろんファイトマネーも与えられ、奴隷落ちした者もここで生き抜く事が出来れば奴隷から解放されるのが現実味を帯びてくる。しかし、実際は、そうなる前にガロウによって阻止させるので死ぬまで殺し合いをさせる永久機関になる予定だ。
「それで、下で拘束されている奴らはどうするんだ兄弟」
「それを今から説明するからそこで大人しく見てろ」
クロは二階席から闘技場に飛び降りると縄で拘束された者達の前に立つ。
「クーデターに関与した組織の皆さんこんにちは!」
ザワザワザワザワ……
「こ!ん!に!ち!は! 返事が聞こえないな?」
「ふ、ふざけるな! ここから出せ!」
「俺達は騙されたんだ!」
「俺は何もしてない!」
「こ、こんにち……は」
思い思いの罵声がクロに飛んでくる。
「君達は裏切り者として死ぬ事が決定しています」
「なんだと!」「俺は恋人がいるんだ!」「武器を運んだだけだぞ!」
「黙ってよく聞け!!!」
ザワザワザワザワ
「はい、静かになるまでに十秒かかりました! という事でとりあえず十人殺します」
クロは魔法袋から剣を取り出しランダムに十人殺し、再び元の位置に戻った。
簡単に殺されてしまった仲間を見て自分の置かれている立場がわかったのか押し殺すように声を顰めた。
「えーしかし、このように殺すのは簡単なのですがそれじゃあつまらないよな? だから君達に希望を与えようと思うじゃないか! ここ地下闘技場は刺激を求めている観客にショーをみせる場として今後運営をしていくが、本気度合いが低いとつまらないと思うので、戦闘に勝利した者にはファイトマネーを支給する」
「え??」「ここは処刑場じゃないのか?」
「そして、ここで10連勝をあげた者は褒美として解放を約束する」
このまま無抵抗のまま殺されると思っていた者達から歓声があがる。
「だがしかし! この人数はちょっと多すぎるから、お前ら、半分になるまで殺し合いをしろ」
クロの合図と共に拘束していた縄が一斉に切られ、とまどいながらも殺し合いが始まった。
クロは二階席に戻り結果が出るまで観戦する。
「なあ兄弟、ここは素手のみなのか?」
「いや、控室にさまざまな武器を用意するからなんでもありだ」
「そりゃ、楽しみだ」
ほのぼのとした雰囲気の二人だが、下では生き残ろうと必死な者達で溢れかえり、一人、また一人と脱落していく。
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