第77話 さらば新撰一家
「ちょっと何なの!」
「イリア!」
「お前ら! くそっ! どけっ!」
ゲイルとアイリはクロの手下に阻まれ身動きが取れず、イリアは膝をついた状態で十二本の剣を突きつけられていた。
「勇者イリア! 貴殿に今一度問う! 聖女エリーナ様は戦闘は嫌いだ。なぜここで戦闘を行なって神罰が下らないかはわからないが、貴殿の勝手な思い違いで無理矢理聖女エリーナ様を連れて行くと言うのなら……」
「……な、何よ!」
「神の代わりに我々が勇者イリアに神罰を下す!」
「なっ!」
「さあ! 返答や如何に!?」
イリアは首に殺気の籠った剣先を突きつけられ睨まれる。返答次第で確実に首を落とされるだろうと想像ができる。しかし、勇者がなぜ勇者と言われるのかクロを含め新撰一家の全員が知ることとなる。
「……ふざけないで……私は勇者よ……どんな試練も壁も……突破してみせるわ!!」
咆哮と共に眩いオーラがイリアを包み、周囲に居た新撰一家を全員吹き飛ばすと、ボロボロの身ながら力強い覇気を放ち一足飛びでコンドウイサを切り伏せる。
「ぐぁ!!!」
「コンドさん! ソーセージ! コンドさんを守れ!」
「わかってるよヒジカッタさん!」
オッキシタソーセージはイリアに向かって三段突きを放つが剣先を掴まる。
「遅い」
ザンッ!
「ぐっ……コンドさん……ヒジカッタさん……」
「ソーセージ!? ウォォォォォ!!」
オッキシタソーセージの心臓の鼓動が止まり、コンドウイサもイリアの一撃で瀕死の状態になっていた。ヒジカッタトシダゾを含め全員でイリアに斬りかかるがなす術もなく全員倒された。
「……やっぱり勇者はチートだな(ちょぉぉぉ! 待て! 待て! 想定外すぎるだろ!)」
【あ〜勇者のスキル発動しちゃってるね〜】
「死ぬ気でやんないと死ぬなあ(おい! 何だあれ!? チートすぎんだろ!)」
【そんなのクロの助はわかってたんじゃない? 勇者はチートだよ? 当たり前じゃないか】
「お前ら! そこの二人はもういい。巻き込まれないように退散しろ!(てめぇ! 刺し違えるしかないって分かってて俺を当て馬にしただろ!?)」
「し、しかし!」
「邪魔になるんだよ。いいから行け」
「は、はいっ!」
クロの号令で集まっていた者達は即座に退避し、教会の前は勇者パーティーの面々とクロを残すのみになっていた。
「悪党! 成敗!」
「ぐっ! 化け物が!」
クロは辛うじて剣戟をガードし耐えるが、一度で持っていた剣が悲鳴をあげる。
「まあいいか……剣は得意じゃないんでね」
クロは剣を投げ捨て魔闘術を全開にする。黒い魔力が全身を覆い意識が飛びそうになる。
「魔道具の効果か?(あっぶね〜! いつも以上に魔力効率が良くて限界突破するところだっわ!)」
【まあ死ぬとは思ってないけど当て馬ってのは言い得て妙だね。僕の第一はエリーナちゃんだからねぇ】
「こい馬鹿勇者(知ってた! お前! 今度会ったら絶対殴ってやるからな!)」
【ふふふっ! 楽しみにしておくよ】
「ハァァァァァ!! な、何っ!」
クロはイリアのスピードを超え剣戟を躱すと側頭部にむけ蹴りを放ったが上手くガードされた。
「これを受けきるのか」
「あなた何者! そしてその術は何!?」
「話すとでも?」
イリアに反撃をさせないように移動しながら乱撃を繰り出し、一瞬出来た隙を見逃さず手首を掴むと合気道のようにイリアの抵抗する力を利用して手首を捻り一回転させ地面に叩きつける。
「ガハッ!」
「イリア!」
「おい悪党! 今度は俺が相手だ!」
「ゲイル! 駄目だ! 動くな!」
ゲイルはイリアの盾になるため剣を抜き襲い掛かろうとするがカルトに止められる。
「何でだカルト! このままじゃイリアが!」
「もし加勢するなら……俺が相手になる!」
カルトは失った腕の部分を止血しふらふらと立ち上がる。
「カルト! ゲイル! 何してるのよ!」
「アイリ! 君も動かないで」
「カルト……どうして」
「……非はこっちにあるって何で分からない? いい加減気付こうよ? この戦いは俺達に正義はない!」
カルトは三人に向かって涙を流しなが訴える。ゲイルとアイリは動きを止めたが、イリアには届かない。
「おっと!」
イリアは倒れながらも剣を足先に振るい反撃をする。
「カルトの仇!」
カルトの想いとは裏腹に勇者による怒涛の反撃が始まろうとしていた。
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