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第76話 話が通じない?

おなごを足蹴にするとは! おとことして恥ずかしいと思わんのか!」


コンドウイサはクロを指差す。


「どうするの局長? どうみてもこの男の方が悪者にみえるし、この子に加勢する?」


「ソーセージ! 悪者かどうかを主観で決めつけるな! それぞれに正義があり、譲れないモノがあるのだろう! だが、いかなる理由があってもおなごに対してこのような卑劣な攻撃をする輩は許せん!」


「さすがコンドさん! 俺達の局長はおとこだぜ!」


「確かに、ヒジカッタさんならこの輩と同じ事しそうだしね!」


「ソーセージてめぇ……俺のイメージ悪すぎだろ!」


新撰一家はコンドウイサを局長として、補佐に鬼の副長と呼ばれるヒジカッタトシダゾを据え、それ以下の構成員は番号が付けられている。番号によってどのような序列があるのかはわからないが、全員が局長であるコンドウイサを慕い結束が固い。


「あんたが新撰一家の局長コンドウイサか、中立派のあんたらの出る幕じゃねえ」


「そういう貴殿は懺蛇のクロ殿で相違ないか?」


「そうだよ、俺が懺蛇のクロだ。だったらわかるよな? それとも新撰一家は俺達と一戦交える覚悟があるのか?」


「我々は誰にも屈する事はない! それがこのスラム街を統べる組織であろうとも、うら若き乙女を魔道具で力を削ぎ痛ぶるような卑怯な輩に臆すると思うな!」


「……魔道具!?」


「うむ、どうやら聖属性の魔力を持つ者の力を抑える効果がある魔道具を周囲に配置しているようだ」


「そ、そんな魔道具が……だから私の身体が思うように動かないのか! この卑怯者!!」


勇者に対して無策で相対するなど自殺行為だ。勇者とは近いうちに戦う事になると決まっていた。だから対策を早い段階で練り、行き着いた答えが可能な限り勇者の力を発揮させない事だった。ただ、聖属性を抑えるアイテムではなく。配置している魔道具は闇の属性が有利になるフィールドを展開する魔道具で、結果として聖属性が発動しにくい環境になっているだけだった。イリアの動きが鈍くなっているのは最初に放った蹴りが思いのほか効いるだけだ。


「半分正解で半分不正解だ。それと……事情の知らない奴が正義感丸出して仲裁にはいるとか笑えないんだが?」


「事情はどうであれ、これ以上ここでの揉め事はやめてもらおう」


「理由を聞いても? 人の喧嘩に割って入るだけの理由があるなら引こう」


クロとしては拠点が破壊された件は腕をもらう事で決着しており、勇者もある程度痛ぶる事ができたので、このまま勇者パーティーが去ってくれるなら筋の通らない理由であってもそれに乗るつもりだ。


「なぜ神罰が起こらないのか疑問は残るが、ここはスラム街で唯一戦闘行為を禁止している区域である。そして我々は教会に住まう聖女エリーナ様の親衛隊だ! 聖女様に危険が及ばぬように監視をし、影から守る! それが我々の行動理念だ!」


「ただのファンクラブかよっ!」


「貴殿が聖女エリーナ様と懇意にしているのは知っている。それについてとやかくいうつもりはないが……この周辺を血で汚す事は禁忌と思え!」


「それは構わんよ、その代わりこいつらが今すぐにでもスラム街から出ていく事が条件だ」


「うむ、では勇者殿! 返答やいかに?」


「……私たちは聖女ちゃんを仲間にするためにここまできたの! 聖女ちゃんを仲間にしたらすぐにでもここから出ていくわよ!」


「新撰一家さんよぉ、交渉は決裂だな?」

「聖女様を連れて行く……? なんと悪はこのおなごの方だったか。クロ殿! 今までの無礼許してくれ」


「ハァァァァァ!?」


「聖女様はこのスラム街に舞い降りた希望の光! それを連れ去ろうとする者は悪だ!」


「どういう理屈よ!」


「さて、話の通じない勇者様。どうやらハードラック(不運)ダンス()っちまったのはお前の方だったようだな」


自称エリーナの親衛隊の面々は、それぞれ刀を抜き臨戦状態でイリア達に刀を向けた。

作品を読んでいただきありがとうございます。

この作品はカクヨムでも掲載しております。

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