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第59話 お前はもう死んでいる

「捕まえた」


 逃げ回る悪霊(仮)を追い回し、程なくして捕獲を完了した。


(いやぁぁぁぁ! 離して! 死ぬ! 死ぬ!)


「お前はもう死んでいる」


(何その死の宣告!! 破裂しそうなんだけど!!)


「黙れ! このセリフを聞くと既に死を迎えているんだ!」


(理不尽!? なんていう理不尽!)


「クロ様! いけません! その子は悪霊ではありません! 妖精です!」


 髪の毛を掴まれ滝のように涙を流し、懇願するように見上げる顔に向かって振り上げた拳がピタリと止まる。


「妖精?」


「はい! 妖精です!」


「お前妖精の悪霊(仮)なの?」


(悪霊じゃないし! 見て! この可愛らしい羽を!)


 悪霊(仮)は背中に付いた羽をクロにアピールをする。


「……でも幽霊だろ?」


(そうとも言う?)


「じゃあ一緒だ」


 クロにとって悪霊か普通の霊なのかは関係なく、ただの討伐対象でしかないので妖精だからといって善処する理由にはならない。


(お、お兄さん! 落ち着こ? 話し合いをしよっ! お、お願い! お願いします!」


「ちっ!」


 クロは掴んでいた手を離し、悪霊(妖精)を床に下ろす。


(死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)


 その瞬間、反旗を翻した悪霊(妖精)がナイフを片手にクロ目掛けて飛んできた。


「ほらな? 悪霊だろ?」


 クロは向かってきた悪霊(仮)の顔面を掴むとそのまま握力で握りつぶそうと力をいれる。


(痛い! 痛い! ごめんなさい! じょ、冗談ですよ!? 冗談! 軽い妖精ジョークだって!)


「おい悪霊(仮)、俺は最初からクライマックスだ!」


 さらに力を入れミシミシと骨が軋む音がする。


「へぇ〜霊も骨あるんだな?」


(お、お姉さん! この人止めて……あががががっ! 浄化されちゃう! ねえ!)


「……聖なる光よ、悪き不浄の存在を浄化せよ! ホーリー!」


 リナ(エリーナ)の手のひらから聖なる光が発動し悪霊(仮)を包み込む。


(ぎゃあぁぁぁ! や、やめてください! ごめんなさい! なんでもしますから!)


「じゃあ死ね!」


(死んでるんです! もう死んでます! だからその手を放しちゃあくれませんか!?)


「意外にタフな悪霊(仮)ですねえ? もう一度魔法を放ちますか?」


(後生だよぉ〜降参だよぉ〜話しを聞きておくれよぉ〜一生のお願いだよぉ〜)


 悪霊(仮)は完全に心が折れたのか、足掻く事もせず完全に無抵抗になった。

 とりあえず話だけは聞いてやろうと近くにあったソファへ投げ捨て対面に座る。


(はぁ痛かった……あのねぇ! 霊体に干渉するってどういう了見なのよ!)


「なんだ悪霊(仮)、まだ自分の立場がわかってないようだな?」


(ごめんなさい! ごめんなさい! 調子にのりましたごめんなさい!)


 恐怖からか、調子にのっていた悪霊(仮)は両手で頭をガードし、震えながら謝罪を述べる。


「クロ様申し訳ありませんでした……まさか下等な悪霊(仮)の分際で反旗を翻すとは思ってなくて……」


「リナが悪いんじゃない。この悪霊(仮)がその罪を全て背負ってあの世へと旅立ってくれるしな」


(確定ぃぃぃ!? 私の存在は浄化待ったなしぃぃ!)


「それで悪霊(仮)、とりあえず弁明を聞こうか」


(ねえ! さっきから悪霊悪霊って私はヘレンって言う立派な名前があるんだけど!)


「あら? 可愛い名前ですね」


(エヘヘっ! そうでしょ〜う? バレッタ様が付けてくれたんだぁ〜)


「悪霊じゃない、悪霊(仮)だ」


(仮免! 本試験はいつですか!? ってなんでやねん!)


「ノリツッコミか、お前……もしかして転生者か?」


(っ!!!! なんで!!! 嘘っ!!!)


「お前転生者でしかも日本人だろ? 転生して妖精でしかも霊体ってどんなヘルモードだ」


(日本語!!! マジで? 嘘……やばいんだけど!)


「ク、クロ様? その言語はどこの!?」


「あ〜すまない。これは俺がこの世界に来る前に居たところの言語で、この悪霊(仮)の言っている事に既視感があってな。どうやらこいつも俺も同じところからの転生者らしい」


(うえ〜ん! 超やばい! もう全部話すし! 何でも聞いて! 痛い! 痛いっ! なんで!?)


 ヘレンは急な日本語に感動し、号泣しながらクロの胸に飛び込むと髪の毛を掴まれ再びソファに投げ捨てられた。


「クロ様……いくら悪霊(仮)だとしても、完全に服従を示した幼女をそのように扱うのは……」


「こいつ絶対にギャルだ、JKだ! 俺はなあ……リア充が嫌いなんだよ!」


(えぇぇぇぇぇぇぇ!!!! 偏見反対!)


 クロを通して、転生前の人格である真島三太が表に出てきてしまった。


「リア充爆ゼロ!!」


 ヘレンの浄化待ったなしであった。

作品を読んでいただきありがとうございます。

この作品はカクヨムでも掲載しております。

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