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第51話 みかじめ料

 一ヶ月でスラム街を掌握。正直なところ上手くいきすぎるのも良くなかった。やる事が多くなりすぎて優先順位の選別するのすら一苦労だった。

 優先する事を大きく分けると、


 ・カジノ建設

 ・組織の指示系統の管理

 ・みかじめ料の設定

 ・人材の確保


 だろうか。

 カジノ建設は慚蛇にとって大きな収入源になると共に、有力な貴族とのパイプを繋ぐ事が出来る。招かざる客も来るだろうが、それは裏からでも排除したら良い。


 指示系統は組織が大きくなればなるほど重要度が増す。末端まで指示が行くようにしなければ余計な揉め事が発生してしまうからだ。


 みかじめ料は気持ち程度しか取らない方針ではある。多く取りすぎると商売自体が成り立たなくなる。それは悪手であると考える。月の売り上げの五%程度もらえばいい思っている。慚蛇の構成員の数は少ないので十分だろう。


 人材の確保は急務である。主にカジノの従業員だ。支配下に置いた首領ボン、ガロウ、ドルトランドは慚蛇の構成員として迎えるつもりはなく、別組織としてこれまでやってきた事を引き続きやってもらう。

 裏ギルドあたりは使い勝手が良さそうなので利用するが管理は面倒い。じじいを死ぬまでこき使うつもりだ。

 残りの二人も利用できる時がくるだろうが、今のところ用はない。奴隷という存在はあまり好きではないので、人材派遣会社のようなシステムを作り運用させるのも面白いかもしれないが、すぐに大きな変革を求めるのは難しいだろう。


「クロ、歓楽区画の顔役達が集まったぞ」


「わかった、すぐに行く」


 リュウシンに歓楽区画の連中を集めるように指示を出していたが、管理をしていたウルティマが死んだ事が思いのほか混乱を招いていたらしく集めるのに時間を要し、裏ギルドでの一件からすでに一週間たっていた。


 クロとリュウシンが部屋に入ると緊張した面持ちで座る顔役達からの視線が集まる。


「俺が慚蛇のクロだ。このスラム街を俺が仕切るようになった事は既に知っていると思うが、今日集まってもらったのは今後の歓楽区画についてだ」


 今後のという言葉にざわつく。


「こ、今後のとは?」


 顔役の一人が焦ったように質問をしてくる。


「あ〜基本的には今までと同じように商売をしてもらって構わない」


 質問した男以外も安堵のため息が出る。


「みかじめ料だが……」


 ごくりと唾を飲み込む音が聞こえる。


「月の売り上げの五%を納めてくれ」


「「「「えっ!?」」」


 全員が驚愕する。ウルティマに支配されていた時は五十%を取られていた。それから考えると少なすぎる割合に耳を疑う。


「ご、五割ではなく五%ですか!?」


「五割なんて取ってたらお前ら店の質が悪くなるだろ? ウルティマの時は九十%取られてたんだろ?」


「い、いえ! マザーには売り上げの五割を納めていましたよ!?」


「そうなのか? あの野郎嘘つきやがって……」


「ほ、本当に五%でよろしいので?」


 あまりの低さに疑心暗鬼になるのはわかる。ただし、低い設定にした理由の説明は必要だろう。


「その代わり、店の質を上げろ」


「質……ですか?」


「そうだ、浮いた四十五%は娼婦の質、生活水準、店の衛生面に力を入れてくれ。程度は任せるが、俺は歓楽区画を観光地になるくらい発展させるつもりだ。スラムが観光地だぞ? ワクワクしないか?」


「そ、それはあの大きくとった空き地と関係が?」


「あそこには豪華な賭博場を作る予定にしている。それに似合った店構えを俺はお前達に求めている」


「それで五%というわけですか……」


「懐疑的になるのは理解できるぞ? 俺は俺達だけが私腹を肥やすつもりはない。協力するなら支援は惜しまないし、なんでも相談してくれて構わない。それに見合った利益を与える事を約束する。しかし、問題もある」


 娼館経営といえど商売人、最初こそ自分達の将来に不安を感じ、店をたたむ覚悟をしていた者もいた。しかし、蓋を開ければ自分達に有利な商談であり、特需も期待できる。協力する以外の選択肢は考えられないなら商売人としての知恵をフル回転させる事に頭を切り替える。


「貴族共ですね」


「そうだ! 金のなる木に群がる事は予想される。ならばどうするか」


「クロ様、スラム街は治外法権。皇族も見捨てた屍の街ですよ?」


「そうだな……お前達もそういう認識で()()()()()()()という意味と受け取って良いか?」


「そのためのみかじめ料なら低いと思いますが……我々としては有難い限りです。本当に五%でよろしいので?」


「かまわない、スラムは俺の街だ貴族の好きにはさせんよ」


 全員の顔つきが変わり、その中で一番の年長の男が他のものに目配せをし席から立ち上がる。


「我々、歓楽区画は慚蛇のクロ様に絶対の忠誠を誓います! どうか我々スラム民を導いて下さい」


 その言葉に全員が起立し頭を下げる。


「ああ、まかせてくれ」


 今後、歓楽区画の連中は娼館を経営しながらも諜報員としての役割も担い、慚蛇の情報網の大部分を占める事になるのであった。

作品を読んでいただきありがとうございます。

この作品はカクヨムでも掲載しております。

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