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第33話 スラム街の四天王

 あっという間に住居区画を掌握したクロとカインは懺蛇ざんだという組織を立ち上げたが、構成員の殆どが非戦闘員である。

 今のところスラム内外の情報を集める事を重視し、揉め事があればカイルが出ていく。クロは集まった有象無象の情報を取捨選択し、系統別に分けていく作業をしている。


「クロ……」


「リュウシンか、よくここがわかったな?」


 このスラム街に拠点を構えて一ヶ月、表立って騒動は起こさず地下に潜り情報をかき集める毎日を過ごしていた。


「すでに裏の世界で話題になっていた」


「どんな?」


「粋った若造が住民区画で得意げになってると」


「それは重畳、そのまま侮っててくれ。あぁ! だからここに俺達が居るって思ったのか」


「ふっ……そうじゃない、原因はカインだ」


「カイン? あいつの事はちゃんと管理してるから余計な事はしてないはずだけど?」


「カインの奴、名乗りをあげて喧嘩してるぞ?」


「あの馬鹿……」


 カインが冒険者に憧れていたのは周知の事実だったが、どうやら騎士団にも憧れていたらしく名乗りをあげ正々堂々と戦っているらしい。


「止めるか?」


「いや、いい……それはそれで標的になってくれて俺が動きやすい」


 クロは苦笑いしながら天を仰ぐ。


「それで情報は集まったか?」


「あぁ、ここにまとめてある」


 リュウシンはメモの束をクロに渡し対面のソファに腰をかける。

 クロは書いてある情報を興味深く確認し、ファイリングしていく。


「四天王ねえ……」


 この帝都のスラム街は四天王と呼ばれる者達が仕切っており、定期的に会合が行われ均衡を保っているそうだ。


「崩すならどこからだ?」


「……強いて言えば歓楽区画の女帝マザーウルティマだな」


「歓楽区画か……商業区画は無理か?」


「商業区画は大店のワイノール商会が絡んでるから慎重にやらないと駄目だよ〜」


「ゼクト!」


「クロもリュウシンも久しぶり〜」


「潜入できたか?」


「なかなか難しかったけどなんとかね〜」


 リュウシンが裏ならゼクトは表を担当している。


「裏の裏は表みたいな? スラム街の重要人物とも繋がってるみたいだしね〜ある意味一番厄介だと思うよぉ〜? それとクロはスラム街でなんの商売をしようと思ってるのぉ?」


 現在、ほぼ収入源はない。上納金を多く取ってないので資本はカツカツだった。


「カジノだ」


「カジノ?? なにそれ?」


「まあ大人の遊び場のようなモノだな」


「目処はたってるのぉ?」


「今のところは難しいな。資金はあるが色々と作ってもらいたいのと、場所の問題だな」


「そっか〜。僕は今ワイノール商会にいるから必要な物があれば調達するよぉ」


「今は無いけど、そのうち頼むからそのまま潜入しててくれ」


「りょ〜か〜い! じゃあ僕はいくね〜」


 ゼクトはここにくる時全身をマントで隠し、狐のお面を付けてここまでやってきたらしい。逆に目立つと思ったが、意外に溶け込めるらしい。


「四天王の細かい情報は……これか」


 歓楽区画 女帝マザーウルティマ

 貴族や商人、聖人と繋がりを持ち、弱みを握る。


 奴隷区画 無限地獄ドルトランド

 隷属のスキル持ち。戦闘奴隷は死ぬまで命令に背かず攻撃をしてくる非人道的な戦い方をする。


 工業区画 喧嘩屋ガロウ

 獣人族。力が全て。気分屋で殺戮が趣味。危険な薬を製造していると噂。


 闇区画 首領ボン

 闇ギルドの最高責任者。プロの暗殺集団をまとめ、各地に支部を構える最大組織。


「ん〜首領ボンって奴以外はなんとかなりそうだな? 四天王というからもっと手広く狡猾にやってると思ってたんだが……商売も被りそうにないし……ぬるいな」


「そうか? 俺は生きた心地がしなかったぞ」


 転生者とそうでない者の違いなのか、意外に転生前の世界の方がやり方としてはえげつなかったのだろう。ただ闇ギルドを相手にする場合は慎重にならざるを得ない。こういった組織は頭が潰れてもしつこく狙ってくるだろうと予測される。


「表面だけに囚われるなリュウシン」


「すまん」


「それと、この新撰一家というのはなんだ?」


 新撰一家 局長コンドイサ

 十二人くらいしか居ない。義理人情に熱く、困ってる人を見ると助けてしまう。戦闘になると躊躇なく人の命を狩るが更生する機会を与えてくれたりもする。ナワバリ意識はなく中立的な存在。


「仁義! と書いてあるマントを着た変な集団だ」


「関わらない方が良さそうだな……とりあえず歓楽区画の女帝マザーウルティマに面会を打診できるか?」


「わかった、まかせろ」


 最初のターゲットは歓楽区画になった。


作品を読んでいただきありがとうございます。

この作品はカクヨムでも掲載しております。

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