表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/161

第32話 懺蛇

 国が繁栄し、大多数の国民が不自由なく暮らしている街でもスラムは存在する。

 スラム街に住む住民が全て貧しい暮らしをしているとは限らない。国の裏の部分、表には出せないような依頼、闇に生きる事しか出来ない人間、暗躍し富む者、そして孤児。世界が凝縮されたモノがそこにある。


 クロとカインがスラム街に住み始めて一週間が過ぎた頃。クロ達が根城している区画は他の区画に比べ規律が出来ていた。


「クロの兄貴! 第四住居区画の連中が来ました!」


「わかった、カインを呼べ」


「わかりやした!」


 クロとカインが最初にした事は、第一住居区画の掌握であった。

 スラム街は質は悪いが、住居区画、商業区画、工業区画、歓楽区画、奴隷区画、闇区画が教会を中心に六区画に分かれ、それぞれにルールや特色がある。


 住居区画

 所謂スラム街の住民と言われる大多数の一般区画民。


 商業区画

 違法、合法なんでも売っている。スラム街以外の者も居る区画


 工業区画

 違法な物が作られていると噂されている区画


 歓楽区画

 娼婦達が居る大人の店がある区画。スラム外からの客も来る。


 奴隷区画

 奴隷販売、斡旋を主にしている区画


 闇区画

 裏ギルドが仕切っている区画。主に後ろ暗い依頼がある。


 区画内も細かくテリトリーが存在し、中には組織に管理されている場所がある。


 教会

 孤児達が居る。教会の周囲での犯罪は暗黙の了解で禁止となっている。


「カインさん! お願いします!」


「わかった」


 カインは思う、クロは兄貴と呼ばれ慕われているのになぜ自分は少し距離を置かれ"さん''付けなのかと。


「てめぇら! 俺を呼び出すたぁいい度胸してるなぁ!!」


「来いよ! 素手で勝負だ!」


 初めて二人がスラム街にやってきて、第一住居区画を掌握した時はクロがあっという間に無力化してしまいカインは出番がなかったが、それ以降小さないざこざは全てカインが表立って解決してきた。


「ぐっ! てめぇら! やっちまえ!」


 カインに簡単にやられた第四住居区画のボスは手下達を使い襲い掛かる。


「武器を使うなら死ぬ覚悟しろよ?」


 腰に刺した二刀を抜くと強く威嚇した。それに怯み持っていた武器を捨て降参する。基本的に住居区画の連中は威嚇の為に武器を携帯しているだけで強さはない。


「それで? 第四住居区画の方々、うちのボスに会わせて欲しいならこうべを垂れた状態のままかしずけ」


「へ、へい!」


 第四住居区画の代表者達が横一列に並び正座で頭を下げボスと呼ばれる人物を待つ。


「やあ、第四住居区画の皆さん」


 その声は若く、優しく問いかけてくる。威圧感もなく侮り、顔を上げボスと呼ばれる男の顔を見た瞬間、鼻先に蹴りが飛んできた。


「誰が顔を上げて良いと?」


「ぐあっ! す、すいやせん!」


 さっきとは打って変わり殺気で潰されそうになると、その声はを聞いた全員の膝が震える。


「俺はね? ここを拠点としてお前達の生活を改善しようと思ってる。だから黙って従え」


 悪い話ではない。毎日、スリや強盗、騙し合いをし生きているのが現状で未来がない。しかし、それは本当なのか?という疑問もある。ここはスラムであり弱者が搾取され強者のみが富む世界。


「お前達は弱い、だから守ってやる。その代わりお前らは俺に情報を持ってこい。敵対する者の弱点、大きな取引が行われる日、小さな出来事、なんでもいい」


「そ、それだけで? ほ、本当ですか!?」


「あぁ、裏切ってもいいぞ? ただし、それなりの覚悟を持ってやる事をお勧めするけどな」


 必ず報復をされるのだろう。このスラムは暴力が支配する世界でありそれが絶対だ。嫌な汗か流れ地面に落ちる。


「ちゅ、忠誠を誓います!」


「そうか! なら顔を上げてくれ兄弟! お前達は今日から家族の一員だ」


 顔を上げるとそこには優しげな若者が笑顔で抱擁してきた。


「俺がこの住居区画を取り仕切るクロだ。ようこそ()()へ兄弟達」


 スラム街の最弱民が集まる住居区画に懺蛇ざんだという組織が誕生していた。

作品を読んでいただきありがとうございます。

この作品はカクヨムでも掲載しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ