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第28話 いざ王都へ?

 マリエラの亡骸を隠すように埋めると、自分達にだけわかるように印をつける。

 それぞれ手を合わせ気持ちを切り替えるようにクロが全員を殴る。


「痛えな! 何すんだよ!」


「クロ様……痛いです///」


「クロぉ〜なんで殴るんだよ〜」


「なぜ殴った!」


「よしっ! お前ら! 俺を殴れ!」


「「「「はっ!?」」」」


 全員が声を合わせて叫んだ。


「まあそんなら遠慮なく!」


「わ、私は殴るなんて……」


「クロぉ〜意外にも熱いんだねえ〜」


「やられたらやり返す! それが礼儀だな」


 ゴンっ!


「ぐはっっっっっっ! バカヤロウ! 全員一緒に殴ってんじゃねえ!」


 何の意味があるかはわからない。


 意味なんてないのかもしれない。


 それでも必要だった。

 それぞれがマリエラの遺言の意味を重く受け止め、肩に力が入り過ぎていた。


「お前ら、マリエラの最後の言葉を忘れろとは言わない。俺達に上も下もない! それぞれが自分に合った役割をこなせば良いんだ」


「クロ……それでも俺はお前を!」


「最後まで聞けカイン! 言葉に縛られるな! 各々が最善を尽くして動けば結果はついてくるはずだ。だから俺を信じてついてきてくれるか?」


 クロなりの決意表明であったが、大した事は言ってない。


「突然何を言い出すのかと思えば……ふっ! お前の影となり生きると俺が決めたんだ、だから勝手にする」


「わ、私はずっとクロ様と一緒です!」


「僕がいないとクロが困るでしょ〜? だから僕もリュウシンと同じで勝手にするよぉ〜」


「俺はこの中で一番まともな精神を持ってるからな! だからお前らの良心として居てやるよ!」


「「「「それはない!!」」」」


 全会一致で否定されたカインは少し拗ねてしまう。


「それでぇ〜クロぉ? こらからどうするぅ〜? あいつらやっちゃうの?」


 拠点に生き残りは居ない。溜め込んでいた活動資金も全て奪われていると予想され、リスクしかない。


「じゃあ第三王子に会いに王都に行くか?」


「ねえ、カインマリ姉に言われたでしょ?考えるなって!」


「うるさいマリベル! お前も黙ってクロの足を支えとけ!」


 ボカっ! ポカっ!


「はぁ……お前らちょっと黙ってろ。無計画に王都に行っても身分証もない俺たちはそもそも入場が難しい」


「確かに〜じゃあ先ずしないといけない事を整理しようよクロぉ〜」


 元親衛隊でもないクロ達は幼い頃に拾われた盗賊のような存在で、ある程度の教養は叩き込まれていたが、身分証かま必要ない生活を送ってきた。


「ひとまずどこかで身分証を作る、その後に王国へ向かい第三王子へ繋がるための道を探すのが一つの案だ」


「クロ様、目的は一つだけじゃないんですか?」


「第三王子なら会う理由ってなんだかわかるか?マリベル」


「え? 第三王子に会って……この起きた事の報告と……蒼穹の叡智を使った理由を聞く……ですか?」


「それは俺達に必要な事なのか?」


「言われてみれば確かにそうだな」


「え? そうなの? 気になるじゃん! 俺は気になるぞ! リュウシンはなんで納得してんだよ」


「将来性があるからって理由で俺達は拾われただけだ。だから上の連中の崇高な理念なんてのはそもそもないだろ」


「まあそうだけどよう……でも気になるじゃん!」


「まあカインは置いといて二つ目を話すぞ?」


「ちょっ待てよ!」


 カインが会いたいと思っている理由はただの興味本位でしかない。その先にある面倒な依頼など起こり得る局面などは想像できていなかった。


「二つ目だけど、身分証は絶対だ。これはあっても困るものではないからな。その後は街で拠点となる場所で成り上がり自分達の楽園を作る」


「楽園……いいねえ〜僕はそれに賛成だねぇ」


「わ、私もおしゃれとかしてみたいし///」


「裏で暗躍! なんか格好いいな!」


「俺は……いるか? なあ! それに俺必要か!?」


 若干一名自分の居場所と役割に不安を抱く者が居る。その者に対しては誰も意見してあげないのはバカだからだろう。


「最後に三つ目だが……これは一番現実的な提案だが、俺はあまり気が進まない提案になる」


「気が進まないのにぃ〜?」


「あくまでも選択肢の一つだ。冒険者になれば俺達の力なら生活は安定するし有名にもなるだろうと予想出来る」


「それの何が嫌なんだよ! なんか格好いいじゃん! 冒険者! もしかしたら英雄にもなれるじゃんよ!」


 冒険者は男の子の憧れの職業第二位だ。第一位は騎士団への入隊である。カインはずっと冒険者に憧れていたが義賊という名の盗賊にいるため半ば諦めていた。そのチャンスがあるなら是が非でもなりたいと思った。


「もう忘れたのか? 勇者も冒険者だ」


「勇者!! そうか……あいつら冒険者か……」


 冒険者になれば勇者と交流する可能性が出てくる。相手はこちらの事を知らないが、クロ達からみれば仇でしかない。


「俺は勇者は嫌いだ、仇討ちをするかと聞かれてもそれは何か違うとも思う。しかし、あれと同じ職業にはなりたくない」


「私は! 私は……勇者を殺したい……憎くてたまらない……」


「マリベル、それはお前が個人的に思うのは構わないと思う。だが、俺達は一蓮托生だ! 勝手な行動は許さないからな?」


「クロ様……はい……」


 沈黙が流れる。それは誰もが抱く憎悪であったが、相手は勇者だ簡単ではない。勝手な行動で皆を危険に晒してしまうというリスクがある限り行動には移せないと頭では理解している。


「クロ、一ついいか?」


「なんだリュウシン」


「もし、勇者が俺達の前に立ちはだかり邪魔をしてきたらどうする?」


 皆が固唾を飲んでクロの答えを待つ。


「そんなの決まってるだろ? 鏖殺だよ」


 全員の口がニヤリと歪んだ。

作品を読んでいただきありがとうございます。

この作品はカクヨムでも掲載しております。

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