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第26話 エルフの行方

「あれじゃない? お〜い! バスコス神官長ぉ〜生きてますか〜?」


 勇者一行は盗賊を一掃した後、強襲されたバスコスの馬車のところまで移動してきた。


「おいイリア? あれって……バスコス神官長のっ!!」


「アンリ 見るな!」


「ひっ!」


「ひでぇことしやがる!」


 ゲイルは盗賊の非道な仕打ちに憤りを感じ、バスコスの首を優しく抱きしめた。


「あの檻ってもしかして!」


 イリアは檻に駆け寄り、かかっていた幕を思いっきり剥いだ。


「居たわ! なんとか間に合ったみたいだね!」


 檻の中に囚われていたエルフの女性はイリアの姿を見てひどく怯えていた。


「ゆ、勇者……様です……か?」


「そうよ! 私が勇者イリア! 襲われていたバスコス神官長達を見かけて助けにきたの!」


(あの人の言っていた通りなのかもしれない……この勇者様は何もわかっていない)


「今助けるね! えいっ!」


 スパッ! ガラガラガラガラ! ドーンッ!!


「……ひぃぃぃっ!」


 イリアが放った斬撃が檻を半分に切り裂いた。しかし、その斬撃はエルフの女性の頭を僅かギリギリのところを掠めていた。


「もうイリア! 危ないじゃない!」


「ごめんごめん! てへっ! またやっちゃったかな?」


「アンリよ、イリアに慎重な行動を取らせるのは無理ってもんだよ」


 そんなカルトの答えにゲイルも頷く。


「何よ! 私がバカだって言うの!?」


「はぁ〜もういいわイリア、早くそのエルフさんを保護しないと」


「そうだった! あなたお名前は?」


「わ、私はラスティア。あ、あの私はこの後、ど、どうなるの!?」


「随分と怯えてるわね……そうだよね、怖い思いしたんだから当然よね。もう大丈夫! ラスティア! あなたはこの勇者イリアが安全に

 ミルド伯爵のところまで連れて行ってあげるわ!」


「ミルド……伯爵!?(さっきの人が言っていた! 伯爵のところへ連れていかれるところだったって……)」


 バスコスはミルド伯爵への献上品としてエルフを連れて行く途中にクロ達に襲われたいた。私服を肥やすバスコスが懇意にしているミルド伯爵へというラスティアにとっての最悪なルートから解放しようとしていた盗賊達と正義感丸出しで最悪のルートへ連れて行こうとする勇者達。どちらが正しいか考えるまでもなかった。


「い、いや! 私を帰して! お願い!」


「大丈夫! 大丈夫! ミルド伯爵は見た目はなんか悪者っぽいけど良い人だから!」


 この勇者は何も疑っていない。だからこそたちが悪い。このまま連れていかれると自分の人生は終わってしまうと危険アラームが鳴り響く。


「いや! 離して! 助けてっ!!」


「アンリ! ラスティアは混乱してるんだと思う! 相当酷い目にあったんだね……だから魔法で眠らせてあげて?」


「うん!」


「や、やめて! お願い! 話を聞いて!」


「あなたは今、冷静じゃない! ごめんね、ちょっとだけ眠っててね? スリープ!!」


「カルト私の剣を持ってて! 私が背負って連れて行くわ」


 ラスティアは眠らされ、勇者一行に保護されてしまった。彼女が目覚めた時、最初に見る顔は色欲にまみれた笑みを浮かべる男の顔だった。



 〜〜〜〜〜〜〜〜


「なあクロ? 本当にあれで良かったのか?」


「何がだ?」


「エルフだよ! エ! ル! フ! 綺麗だったなあ……」


「なになに〜そんなに美人さんだったんだぁ〜いいなぁ〜」


「あの鎖を断ち切るのにはかなり時間がかかる。さすがにあの短時間じゃ難しい」


「そりゃそうだろうけどさぁ」


 カインはエルフが美人だったからという理由で言っているわけではなかった。目の前に助けを乞う者が居てそれを救うことが出来なかった事が悔しいのだ。


「カイン、クロの判断を疑うな。今までクロが間違えた事あるか?」


「そうよ! クロ様が判断した事をカイン程度の頭で否定するなんて!!」


 リュウシンはクロに全幅の信頼をよせている。クロの持つ強さ、知識、統率力が五人の中でも突出しているのもあるが、リュウシン自身がクロを主のように慕っているという理由もある。


「助けてもらえなかった。それもあのエルフの運であり人生なんだよ」


「クロはドライだねぇ〜」


「ね、ねえ! あれ!」


 マリベルが指差したのは煙が上がる拠点だった。

作品を読んでいただきありがとうございます。

この作品はカクヨムでも掲載しております。

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