第23話 襲撃
「なあクロ? マリ姉の鑑定また駄目だったってまじ?」
「あーどうしても視えないらしい」
クロは幼少期からマリエラの鑑定スキルを阻害してしまうようで、細かいステータスが未だにわからない。
クロ(転生者)覚醒
種族 人族
スキル 鑑定できません
エクストラスキル 鑑定できません
職業 鑑定できません
能力 鑑定できません
称号 狂気の支配者 炎帝の友達 魔導の極み
視えるのは名前と種族、称号のみ。前回鑑定を受けた時に「称号が増えているじゃないかい! 坊……あんた何を」と頭を抱えられた。
魔導の極みは恐らく魔闘術の特訓によるものだろうと推測しているが、炎帝の友達という称号については心当たりがない。魔族の四帝の一人炎帝は絶世の美女らしいとの噂で俺が知っている魔族のスーは少年だ。それとも……この間行った娼館で指名したNo.1が実は炎帝?
「もう神殿に行って鑑定しちゃえよ」
「マリエラがやめとけって言うんだよ」
「あ〜あれか? 称号のなんかやばそうなやつ」
人族は能力の確認は全て神殿が行う事になっている。神から齎されたという水晶に手をかざすと、目の前にステータスが表示されるらしい。表向きには他人には情報が漏れない事なっている。本人のみ閲覧が可能でその内容を盗み見ることは出来ない。となっているが、国として有能な能力を持った人物は自国に取り込みたいという思惑から、国の上層部は把握している。
人族で魔族の友達、それも炎帝というのが大問題になるだろう。まず間違いなく捕まり、秘密裏に極刑になる可能性が非常に高い。
マリエラのように鑑定のスキルを持つものは希少で、例外なく王族のお抱えになるそうだが扱いは奴隷となり道具扱いされるらしい。
マリエラがそうならなかった理由を聞いても「乙女の秘密さ」とはぐらかされる。
「それもあるけど、今から神官を殺す奴が神殿に行くってシュール過ぎるだろ」
「違いねえ」
『クロ、予定通り神官長と積荷が本隊と交戦を始めたよ〜。周囲には数人しか残ってないから頃合いかな』
ゼクトは感知スキルを持っている。感知スキル自体は珍しくないが、念話のスキルを使えるので情報を最速で伝えることが出来る。ピンポイントで念話を飛ばせる理由は本人曰く「皆んなにはマーカーを付けてるから〜」だそうだ。
ゼクトが念話スキルを使っている間ならこちらからも会話が可能なので便利だ。
『了解、撤退してくれ』
『じゃあ後はよろしく〜』
「カイン、行くぞ! 目標は俺がやる。周囲を頼む」
「了解!!」
カインは腰に差した二本の剣を抜き素早く崖を降りて行く。
「敵襲だ!」
「敵は一人だ! こ、子供!?」
フルプレートに身を包んだ護衛達がカインに注目し、陣形を取る。
「ぐあっ!」
「はっ速い!」
カインは縦横無尽に動きながら護衛を撹乱させる。直線的に動いていると思えば、突然曲芸のように舞い、マリベルによる援護の魔法の弓が降り注ぐ。
クロは陣形が瓦解し乱戦になったことを確認すると魔闘術を全開にし、崖を飛び降り一直線で神官長の乗る馬車へ音もなく侵入する。
「神官長バスコスだな?」
「なっ! 誰だ貴様!」
「言う必要もないだろ?」
「何だと! ま、まて! 金ならある! ほら! だから命だけは! なっ!?」
バスコスは懐から金貨の入った袋を取り出し中身を見せると命の保証を懇願した。
「ほう?」
クロはその袋を受け取ると中身を確認しニヤリと笑う。
「も、物分かりの良い盗賊だな! よし!今回の事は不問にしてやるからさっさと出て行け!」
金貨を魔法袋にしまい、さらに詰め寄る。
「これは貰っておいてやる。で? 後ろの積荷なんだが?」
「なっ! あ、あれは献上品なんだ!」
「ほうほう、誰に献上するんだ?」
「貴様の様な下賤な盗賊が知る必要はない!」
狼狽しながらも精一杯の威圧感で怒鳴り散らす。
「あ〜じゃあもういいや」
「ま、まてまて! あれはだなあ! ミルド伯爵さまにぃ……」
話の途中で首を落とすと、その首を持ったまま表へ出る。
「ようクロ! こっちはもう片付いたぜ? うわっ! きっしょ!」
返り血も浴びていないカインが爽やかな笑顔で駆け寄ってくると、よだれを垂らした首だけになったバスコスを見て顔が歪む。
「積荷の確認は?」
「うわっ! 投げるなよ! まだ確認してない」
バスコスの首をカインに投げ渡し、積荷の確認しようとした時、本隊から撤退の狼煙が上がった。
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