第13話 手前ぇの血は何色だ!?
気絶をしていた時間はほんの数秒。意識を刈り取られてすぐに強制復帰を施された。
「クー! 再開じゃ!」
「俺は再会をしたぞ!」
予期せぬ母との再会で思わず川へ飛び込み向こう岸に上がろうとしたら、棍棒のような物で顔面を殴打され気付けば目の前にはスーが居た。
この世も世知辛いがあの世も世知辛かった。
「ほれほれ! どうしたのじゃ!? 亀のように丸くなっていては何を得る事はできぬぞ?」
目にも止まらぬ攻撃を辛うじてガードをするが、最早サウンドバッグ状態で何もできないでいた。
パリンッ!
纏っていた魔力が弾け飛び耐久力がなくなったところにボディブローが炸裂する。
「ぐぇっ!」
「攻撃は顔だけじゃないのじゃぞ?」
あまりの衝撃に悶絶をするが、そんな状態でもスーには遠慮がない。
「早う魔力を纏うのじゃ!」
容赦ない蹴りが顔面を捉え二度目の母との邂逅。
「くそっ!」
「攻撃は最大の防御じゃ! ほれ? 打ってこぬか!」
真島三太として生きている時には喧嘩などした事はなかった。テレビでみた格闘技を思い出し右ストレートを繰り出すが、出した右手の手首を掴まれ捻りを入れられたと思った瞬間に腕をへし折られた。
「ガァァァ!!」
「その程度の怪我は回復はせぬ! 魔力で補強すれば動かせる! さあ打ってくるのじゃ!」
動くには動くが、痛みは消えない。闇雲に攻撃をしても鼻歌混じりで躱され、捕まれば折られる。折れそうな心を必死に繋ぎ止める。
「闇雲に攻撃しても当たらぬ! 考えるのじゃ! そして我の動きをよく見よ!」
何を見ろというのだ、人を殴る有効的な殴り方なんて知らない。徐々に心が何かに蝕まれていく感覚だけが残り何度目かの母との邂逅の後、心が殺意で黒く染まった時に自分の魔力の質が変わった事に気づいた。
「そうじゃ! よい魔力の色じゃ! やっと殺る気になってきたのう!」
「手前ぇの血の色は何色だぁ!!」
魔力の量を調節し、足に比重を大きくする。
「ほう! よい加速じゃ! じゃが甘い!」
それ上回る速度で背後に回られると強烈な蹴りが背中を襲った。
「魔力の使い方は間違っておらぬが、初動が遅い! もっと素早く! 頭で考えず本能で感じるんじゃ! 何をどうすれば相手が死ぬかを」
やられる事数時間、いくつか気づいたこともある。スーの攻撃は手数も多いがそのどれもが急所を的確に捉えている。人体のどこを壊せば相手を無力化できるかわかっている。
そして足捌きは、独特で変則的だがちゃんとリズムがある。足音が聞こえない理由はわからない。
だが、やるしかない。その技術を模倣し同じ目にあわせてやる。
「こうか……」
スーの足捌きの真似をする。幾分動きやすい気がする。
「ほぅ……そうじゃ、それこそが魔闘術の基本の動き。初歩の初歩じゃがそのまま攻撃に転じてみよ」
「おっ!」
流れるように無駄のない動きでスーの目の前に行くと最短距離で拳を突き出すと初めてスーの身体に拳が当たった。
「ぐっ! 痛てぇ!!」
拳が当たった瞬間、硬い何が拒み弾かれた。
「はっはっはっ! 惜しかったのう! じゃが魔力の密度が足らん! そんな攻撃では我の本体に傷ひとつ残す事はできん!」
「でも手応えはあった!」
「その程度で満足されては困るのう!」
高速移動で一瞬の内に目の前に現れ、右のハイキックが繰り出される。それを確実に防御したつもりが右側頭部を蹴り飛ばされ吹き飛ぶ。
「くっ! 左のハイキックだ……と?」
「良い反応じゃったが、目で追い過ぎじゃ!」
徐々に細かい技を使われ始め、再び一方的に蹂躙されるようになった。
「目を頼りにしすぎとるようじゃのう……ふ〜む……おぉ! 良い事を思いついたのじゃ! 目を潰そう!」
「いや! 更っと恐ろしい事言ったよね!」
「心配いらぬ。後で治る!」
俺の視界は暗闇に包まれた。
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