神を自称する者
「一体どこでゲームは配信されてるんですか?」
「馬鹿げた話しだが本当の事だ。リアル・ツヴァイト・オンラインの発信源は地球上の何処からも来てないんだ」
「!?」
地球上の何処からもゲームの発信がないって…そんな馬鹿な。
「地球じゃないって!?ならサテライト?」
「衛星でもないみたいよ」
「なら一体何処から!?」
「もう一つの世界からだよ!」
「「「!?」」」
突然何処からか声が響いた。
そして画面が乱れる。
やがてノイズが止むと画面の向こうに顔を隠した誰かが居た。
「アンタ何者よ!?」
「アンタとは随分な言い方だな〜せっかく楽しくしてあげたのに!」
「楽しくだと?我々の商品を盗んでおいてか!?」
「アレはだいぶゴミゲーだったからな〜私が究極の神ゲーにした。」
「究極の神ゲー?」
画面の向こうの犯人は何訳わらない事を言っているんだ??
「訳の分からない事を言わないで!一体何処から盗んだゲームを配信してるのよ!!」
「決まってんだろ。第2の現実の世界からだよ」
「それはリアル・ツヴァイトの設定でしょ?」
「異世界か… 」
「社長?」
「まさか、リアル・ツヴァイトは今、異世界から配信してると言っているのか?」
「ご名答!正にその通りだ!」
異世界から配信されてるって!?
そんな漫画みたいな話があるわけないだろ!
「貴方!私達を馬鹿にしてるわけ!?嘘ならもっとマトモな嘘があるでしょっ!!」
犯人に激怒する麗華。
「嘘なもんか。実際お前達はその異世界に降りたじゃないか?」
「異世界に降りた…まさか!?」
「ほぉ〜気づいたか?じゃなきゃ、あの痛みに説明はつくか?服が破れた事に説明はつくか?
パンツ一枚にゲームの世界でなれた理由がほかにあると?」
「ちょっと待ってよ!!まるでその言い方じゃ、ログインした先はゲームじゃなくて…現実の異世界って事じゃないかっ!!」
「賢いな小僧。あの村人はPCでもなけりゃNPCですらねぇ、アレは本物の人間だよ!」
「!?」
嘘だろ。
じゃあ、今ゲームにログインしたら、人が生きてる現実の別の世界に…異世界に本当にログインしてしまうのか!?
「待ちなさいよ!仮に100歩譲ってそうだとしてPCはどうやって現実世界に転送されているのよ。所詮はデータなのよ。」
確かにそうだ。
ログインした先が異世界だとする。
しかし、肝心のプレイヤー達はPCを使ってあの世界にログインしていた。
だが、コンピューターの中の世界の話しだ、現実の異世界にPCがログイン出来る筈がない。
「お前らが使ってんのはPCではない。分身体だ」
「分身体?」
「第2の現実におけるお前達の姿、簡単に言うと遠隔操作するお前達のもう一つの生身だ」
「な、生身だと!?」
「じゃあ、ログアウトした後の身体の痣や傷は本当に受けた痛みが現実の肉体にフィードバックするてことなの!?」
「ご名答!今ログインしてる全プレイヤーのPCは分身体に置き換わっているのさ。この意味解るよな?」
犯人はあからさまに答えが出る言い回しをした。
「あの世界でもし怪我や瀕死の重傷をおったら!?」
「動かしているプレイヤー達にその痛みがフィードバックされてしまうの!?」
「それだけじゃない。お前も経験した事だが、あの世界の者達はまごう事ない人間だ。そいつらをPKすれば正真正銘の人殺しになる!」
「何だって!?」
「逆に言うと分身体は死ぬ事はないさ。だがまあ〜そうだな…最悪意識不明くらいにはなるかな〜下半身麻痺とかまあその程度で済むから安心しな!」
自分が何言ってるのかわかっているのか!?
それはつまり現実の世界と知らずに面白半分で殺し合いが出来ますって言ってる様なもんだ。
「分身体は五感全てが完璧に存在する第2の自分。当選嬉しいことも出来るし、女を食って楽しみ更には身ごもらせる事も出来る。まあ、楽しみ方は人それぞれだがな〜」
「貴様っ!!」
天馬が机を殴り声を荒げた。
「貴方は一体誰なの!?何が目的でリアル・ツヴァイトをこんな無法地帯に!?」
「俺は温いゴミゲーを神ゲーにしただけだ。むしろ感謝するべきだこの神にな!じゃあたっぷり楽しんでくれ!チャオ!」
犯人の通信が途絶えた。
「何が神よっ!!自分で自称してるコソ泥がっ!!」
「落ち着きたまえ麗華くん」
「ですが社長!」
「今は落ち着け!これは命令だ!」
「く…判りました。」
麗華は納得のいかない顔だ。
「夏樹くん現状は理解したかい?」
「頭が全くついていかないです」
何もかもがアニメかゲームみたいな世界感だからだ。けど、あの痛みは間違いなく本物だった。
リアル・ツヴァイトはもう只のゲームじゃない…ログインしたら僕らは異世界へ転送され本当の第2の現実を思い知らされるんだ。