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奪われたリアル・ツヴァイト

「どうして貴方が改造PCを!?」


「だから僕にも何が何だかんだか、わからないんだ…麗華姉ちゃん、僕…」


「この件は私じゃ手に負えないわ…GA社に来て夏樹くん。迎えに行くから一旦ログアウトしなさい。」


「麗華姉ちゃん!」


麗華はログアウトした。


確かに…分からない事だらけだ…一旦ログアウトしよう。麗華姉ちゃんなら話せばわかってくれる筈だから。


ハイドはログアウトにタッチする。


ログアウトしますか?


イエス


ハイドはログアウトした。


「はぁ〜痛たた」


ゴーグルを外した高町夏樹は右頬に手を触れると何かに切った跡があった。

それに腹部も痣が出来ていた。

これらの箇所はあのPK達に斬りつけられた場所だ。


「何でゲームと同じ場所に痣や傷が…」


ゲームの中での傷がどうして跡や痣に??


ピンポーン


家の中に広がる呼び鈴の音。


夏樹は部屋を出て階段を降り玄関の覗き穴で外を見る。

玄関前には黒いスーツを着た黒く長い髪の綺麗な女の人が立っている。


夏樹は鍵を開けドアを開ける。


「やあ、夏樹くん」


「麗華姉ちゃん…」


この人が先程ゲームの中PCのリアル、姫神麗華(ひめがみれいか)

夏樹の実兄、高町友春の奥さんであり夏樹とは家が近所でよく面倒を見てもらった幼馴染のお姉さんで今は義理の姉だ。

兄の友春とは仕事の都合で今は別居してると聞いた。


「行くわよ」


「はい…」


夏樹は家の鍵をかけると麗華の車に乗る。

車にエンジンがかかり走り出すと発信する外車。だいぶ高そうな車だ。


「あの…麗華姉ちゃん…久々だね…」


「そうね…」


う…空気が重い…そりゃ苦情が来るほどの事をゲーム内とは言え引き起こしたんだからな。


「兄さんは元気してるの?」


「…」


麗華は表情を変えない。


「麗華姉ちゃん?」


「着いたわ。GA社よ」


話しているウチに車はGA社本社に到着した。

このデカイビルが全部GA社の物なのだ。


GA社の地下駐車場に車を止めると2人は車から降り地下の入り口からエレベーターで最上階へ向かう。


「僕どうなるの?」


「夏樹くん」


「はい?」


「これから貴方に話す事はとても重大な事よ。」


「重大な事?」


「詳しくは社長が話すわ」


キンコーンと最上階にエレベーターが止まると扉が左右に開いた。

エレベーターから出るとそこはモニターだらけの暗い部屋である。


「社長」


「うむ。彼がそうかい?」


「はい。私の義理の弟で友春の弟の高町夏樹くんです」


パッと明かりがつき。

1人の若い男性が机に座っている。


「ようこそGA社へ。私はここのCEO、綾小路天馬だ。」


「高町夏樹です。」


「君が友春の弟か。」


「兄を知ってるんですか?」


「知ってるも何も彼は私の右腕だ。」


「右腕?」


「リアル・ツヴァイトは社長と友春が作ったのよ」


え!?リアル・ツヴァイトの生みの親!?

この人と兄さんが!?


「さて、夏樹くん。君の改造PCについてだが、アレは君が手を加えたのかい?」


「改造も何も、僕はそういうのは苦手で。」


「苦手?なら何故手を加えられているのだ?」


「アレは突然現れた変なボスモンスターに僕のPCが喰われて、それからおかしくなってしまったんです。」


「変なボスモンスター!?」


「夏樹くん話してくれるわね?」


「信じるなら…」


夏樹は自分のPCハイドがおかしくなったのはあの死神みたいなモンスターに喰われてからと訴える。その経緯と経歴まで全て覚えていた事を話した。


「なるほどな。そのモンスターにやられ、その後からPCがおかしくなったと」


「はい。信じられない話だけど。」


「そのモンスターとはもしや、これか?」


GA社 社長の天馬はテーブルのボタンを押すと天井から大きなディスプレイ画面が降りてくると何かを映した。


「あ!?コイツです!!」


そこには夏樹のPCハイドを襲ったあの死神みたいなモンスターが映っていた。


「このモンスターは一体何なんですか?」


「分からないの」


「分からない!?リアル・ツヴァイトのモンスターなんでしょ!?」


「私と友春はこのモンスター達をデザインした覚えは無い」


え?今このモンスター達って言わなかった!?


「まさか…他にも出たんですか!!」


「そうなの。リアル・ツヴァイトの全8サーバーに正体不明のモンスターが現れサーバーを全て破壊したの」


え!?


リアル・ツヴァイトのサーバーが破壊された!?架空のモンスターに!?


「何でそんな事が!?」


「分からないわ。ただ一つだけ言えるのは…今、リアル・ツヴァイトは只のゲームじゃなくなったの…」


只のゲームじゃ無くなった??

何を言ってるんだろう麗華姉ちゃんは??


「ハッキリ言ってしまえば、リアル・ツヴァイト・オンラインは何者かに乗っ取られてしまったんだ。」


「乗っ取られた!?」


サーバーテロか何かかな??


「しかも、マスター権限ごと全てよ。犯人は解らないけど、凄腕のハッカーに間違いないと思うわ」


「じゃあ今リアル・ツヴァイトが変なエリアに飛ばされたのはそのハッカーのせいって事なの?」


「そう言う事になるな」


落ち着いて語る事じゃないでしょ!!


「は、早く警察に連絡しないと!!」


「それは駄目だ」


「は?どうしてですか!?」


これは明らかにサイバーテロだ。

警察の人に頼った方がいい間違いなく事件だ。


「事の状況を世間に知られたら大変な事になる」


「事の状況?言えない理由があると?だったらせめてメイン電源を落としてサービスを停止するとかやり方はあるでしょ?」


そうだよ。もしゲームが何かしらのウィルスが混じって危ないならゲームのメイン電源を落とせば少なくとも向こうだって何も出来ない筈だ。乱暴な方法だけどそれしかもう手はない筈だ。


「GA社は今、リアル・ツヴァイト・オンラインを配信してないわ」


「え?」


「メイン電源は等に落としたさ。だがサービスは別の場所で続いているんだ」


別の場所だって!?

メインコンピューターと電源がGA社にあるのに一体どいたやって丸ごと強奪したんだ??

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