改造錬成(チートれんせい)
「何訳わかんない事言ってんだよっ!!黙って寄越せよ雑魚がっ!!」
ガルザは毒のナイフをハイドの腹を突き刺さす。
「ぐわっ!?」
ハイドは腹部にくる焼ける様な痛みに我慢出来ず両膝をつけ倒れこむ。
(システム加護の為不死)
ハイドの頭上にウィンドウが上がるとすぐ消えた。
「こいつ毒も効かないのか!?」
「ますます欲しいぜそのレアアイテム!」
「もう止めなさい!彼は何も解らない初心者なのよ!」
「うるせぇんだよ!渡さねぇその雑魚が悪りぃんだよっ!」
「もっと痛めつけりゃ渡す気になるだろうよ!ダメージまでは防げてないみたいだからな!」
HPこそ減らない状態のハイドだが、残念ながら痛みはしっかりとフィードバックされてしまう。
死なないがまるっきりこれじゃ生き地獄である。
「しかし、ガルザさん。これ以上やったら死ぬんじゃないんすかね?」
「バーカ!ここはゲームだ!」
ガルザは嫌な笑みを浮かべながらハイドに自慢の猛毒ナイフを向けるとゆっくりとハイドに迫る。
(くそ!痛みが酷い…これじゃ立てない)
ハイドは起き上がるのがやっとだった。
これ以上やられたらリアルの自分がどうなるか。
(まずい…このままじゃ…本当に……死ぬ…)
奪ってしまえ…
え…?
死にたくなければ、全てを奪ってしまえ!
だ、誰?
ハイドの脳内に響く不気味な声。
次の瞬間、画面に何かが表示された。
特殊スキル
「改造錬成」が追加されました。
特殊スキル??
何だこれ??さっきまでこんなスキルはなかった。
「あばよ!雑魚がっ!!」
ガルザはハイドの顔目掛けて猛毒ナイフを刺し向ける。
くそ!一か八かの勝負だ!
ハイドは身の危険を回避する為に立ち上がりこの新しいスキルを叫んだ。
「改造錬成ぇぇぇぇぇぇッ!!!」
ハイドの右手が光輝き腕の周りに展開される無数の花びらの様なデータの光が6枚現れ、その六枚の花びらからデータの波が放たれた。
「あん?うわぁぁぁぁぁ!」
そのデータの波がガルザに直撃した。
直撃した波がガルザとハイドの右手に繋がるとガルザからデータを物凄い速さで奪いとる。
ガルザから何かを奪いとりハイドの中に取り込まれると謎のスキルは消えた。
改造成功
「暗殺者ノ猛毒短剣」を改造錬成しました。
ハイドは何かアイテムを手に入れた。
ハイドは腰が抜けてしまい座り込む。
「い、今のは一体!?」
「ガルザさん!大丈夫ですかい?」
「あ、ああ。ちっとも痛ねぇや。何の悪あがきかは知らないが、万策尽きたか?」
「が、ガルザさん!?」
「あん?」
腰巾着PCが血相を変えた。
「ガルザさんのPCが消えかけてます!!」
「は?」
ガルザのPCが光の粒子になり消え始めていた。
「な、何だこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「こ、これは一体!?」
女性PCも驚きを隠せない。
「餓鬼テメェ何しやがった」
ガルザはハイドの胸ぐらを掴む。
しかしもう大半が光の粒子になり消えている為掴んだ手が消えてしまう?
「消える!?俺のPCが!?何百時間もかけて作り上げた俺のガルザが!?餓鬼っ!!」
頭だけになったガルザは声を荒げ。
「その面覚えたからなっ!!」
そう言うとガルザは消えた。
「が、ガルザさん!?」
「お前!覚えてやがれ!!」
腰巾着PC達は皆ログアウトした。
「た、助かったのか…」
ハイドは急に力が抜けてしまう。
「ありがとうございます!何てお礼をすれば!」
「え?えーと…お礼は大丈夫ですから。早くお母さんの所に向かって下さい」
「そうでした!本当にありがとうございました!」
村人PCはそう言うと去って行った。
(今の力は一体?それにこの子、何者なの?)
女性PCは服を新しく直す。
女性PCにショートメールが届いた。
「社長から?……!?」
メールの内容に驚愕した女性PCは血相を変えてハイドに摑みかかる。
「痛い!何!?」
「助けてくれた事は感謝しますが、貴方を違法改造の容疑でこの場で貴方のPCを拘束します」
女性PCはそう言うとハイドに手錠をかけた。
「えー!?」
「先程、我が社に苦情の電話が来ました。話によれば違法改造したPCにキャラデータを消去されたそうよ。貴方にね!」
「ぼ、僕があのPCを消去したって!?」
一体何がどうなってるんだ??
PCは壊れるは変なスキルは出るはそれであのPKのキャラデータを僕が消去した!?
「条例に基づき貴方のリアル情報を確認します。最悪の場合の処置は御覚悟を!」
「そ、そんな!!」
「これはルールよ。違法改造をした貴方が悪いのよ!」
「確かに僕のPCは改造されてます。でもこれは僕がしたんじゃない!変なモンスターに喰われてからおかしくなったんです!!」
「変なモンスター?」
「死神みたいなマリオネットのボスモンスターです。」
「はっ!?今、死神みたいなモンスターと言ったわね?」
「は、はい。」
「貴方の個人情報が来たわ…えっ!?」
女性PCは送られて来たデータを見て声を上げた。
「嘘でしょっ!?貴方、高町夏樹くん!?」
「え?」
「私よ!麗華。姫神麗華!」
「麗華姉ちゃん!?麗華姉ちゃんなの!?」
目の前の女性PCの中の人は、姫神麗華さんだった。
この人は、僕の兄さん、高町友春の奥さんであり僕と兄さんの幼馴染でそして…僕の初恋の人だった…