不死
PKを止めに入った女性PCは何やら魔術師っぽい服だが何だかんか警備の人みたいにも見える。
「あぁん?何だアマッ?」
「私はGA社の管理部門の人間よ!」
「管理部門だと」
GA社の管理部門って確か兄さんがリアル・ツヴァイトで悪さをしてるPKや改造PCを取り締まりゲームを監視、管理してるGA社の社員だ。
そのマスターアカウントはPCの消去も出来るって聞いた事がある。
「今すぐ悪質なPKを止めなさい」
「嫌だ。と言ったら?」
「貴方達のPCを管理者権限で消去します。」
「な!このアマっ!!たかがゲームでそんな事していいと思ってんのかっ!!」
「お黙りなさい腰巾着!そのゲームで腹いせしてる社会のゴミ屑に居場所なんかないわっ!!」
「ひっ!!」
突然声を上げた女性PCにビビる腰巾着PC。
「はいはいわあったよ。」
ガルザはそう言うとナイフをしまう。
「仰せのままに…管理部門様よっ!!」
ガルザはそう言うとGA社の女性PCに黒い塊を放つ。
「フンっ!」
女性PCは放たれた魔法を踵落とし一発で粉砕し地面が吹っ飛び周りにいたプレイヤー達が転がる。
「交渉決裂ね…消去っ!」
女性PCはスキルを言うが何も起こらない。
「っ!?どう言う事よ!?何故消去が始まらないのっ!?」
こんな事ありえないわ!?
マスターアカウントのPCが何の権限も発動出来なんて。
「形成逆転だな!」
「スキやり!」
「うわっ!」
女性PCは背後から斬り付けられ倒れた。
しかも、背中がピリピリと痛みだしやがて全身に回る。
「これは…麻痺」
「ピンポーン!」
背後に回っていた腰巾着PCが女性PCの背中を麻痺付属のナイフで切りつけたのだ。
しかも、その痛み方がおかしかった。
まるで本当に切り裂かれたらみたいな痛みと痺れが伝わっている。
「卑怯者」
「お前が言うなよ!」
ガルザはそう言うと女性PCをつまみ上げナイフで彼女の服を引き裂いた。
彼女のPCの女体が露わになりたわわに実る胸を抑える黒いブラと下着が露わになる。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
彼女は悲鳴を上げしゃがみこみ動けなくなった。
「うひょお〜すげぇ〜生だ生だぜ!!」
「最新のアップデート最高だぜ!!」
「どうして!?服が破れる仕様なんてなかったわよっ!!」
涙を浮かべながらそう言う女性PC。
リアル・ツヴァイトのキャラデータのテクスチャで刻まれている服だ。装備品扱いではないはずだむしろ破壊何か出来る訳ないのだ。
「まぁ、いいじゃないか?せっかくだから楽しませてくれよ管理部門のお姉ちゃん!」
「来ないでよケダモノ!」
「ここはゲームだよ!」
PK達が何も出来ない女性PCに毒牙を向けて迫っている。
違う…こんなの…僕がやりたかった、リアル・ツヴァイト・オンラインじゃない。
隠れていたハイドはもう見てられず茂みから飛び出す。
「やめろ!」
「あん?」
動けない女性PCの前に立つハイド。
「あ、貴方!?」
「何だ餓鬼!」
「嫌がってるじゃないか!いくらゲームだからって恐喝していい訳ないだろ!」
ハイドは恐怖に負けそうだが必死にPK達に訴える。
「あん?ガルザさんこいつ丸腰ですよ!」
「何?丸腰だぁ?」
そうハイドは何も装備品がないのだ。
「あはははははは!こいつアホ丸出しの初心者だわっ!」
「「「あはははははは!」」」
PK達は大笑いだ。
「初心者の雑魚PCが俺たちに喧嘩売るなんていい度胸だ。いいぜ俺が遊んでやるよ!」
腰巾着PCの1人がハイドに武器を構えて斬りかかる。
「おらよ!」
「いっつ!?」
頬を軽くかすったハイドの顔から血が流れる。
それを見たハイドは背中が一気に寒くなる。
紛れもなく本当の痛みが彼を襲う。
「はい終了ってな〜あん?」
ハイドの頭上にウィンドウが現れる。
(システム加護による不死)
すぐにウィンドウは消えた。
「何だ今のはっ!?」
「あれ?死んでない??」
ハイドは自分のHPが全く減ってない事に驚きを隠せない。
普通ならレベル1じゃ簡単に即死の筈だ。
あのシステム加護による不死って文字通りの不死身って事だったの!?
「はぁ?こいつHPが存在してないってのか!?」
「マジかよ!それ絶対レアアイテムの加護だぜ!」
え?レアアイテムの加護!?違うよ!!
「オイ雑魚お前面白いもん持ってるんだな?それを渡しな!不死身になるアイテムなんて初心者になんか宝の持ち腐れだ。さあ。早く渡しな!」
ハイドに剣を向けるガルザ。
「そんなの初心者が持ってるわけないだろ!」
「じゃあ何でお前は不死身なんだ?チートアイテム持ってるからに決まってんだろがぁっ!さっさと渡せって言ってんだよ餓鬼がっ!!」
「だから僕はそんな物知らないよ!僕のPCはさっきからずっとおかしいままなんだ。」
ハイドは必死に訴えるが誰も信じない。