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「着いたのか?」
光のトンネルを抜け眩い光の中目を開けたハイドの目の前に広がる見たこともないファンタジーな世界。
風が心地よい草原と海風が吹いて本当に塩の香りがする。
茶色の髪に特にフェイスペイントのカスタマイズもなくほぼリアルと同じ姿に村人の様な軽装のPC名は「ハイド」
ここが最初に転送される街。
始まりの街 リィンタウン
「凄い…最近のネットゲームってこんなにリアルなの!?」
ハイドの目に飛び込んで来た様々なPC達。
街で戯れ、武器屋に入り、橋で待ち合わせしている者達とこの石畳と木組みの家が立ち並ぶ最初の街は驚きとファンタジーにあふれていた。
「本当にゲームの中なんだ。とと、アレ?歩ける!?」
ハイドは歩ける事に驚く。
だって部屋でこのグラス着けて座ってるんだよ。
ハイドはちゃんとグラスをかけている事を確認する。目に見えないが確かに何かがあると判る。
ハイドはヘルプの項目を指でタッチする。
このナビゲーショングラスには思考トレースが組み込まれており脳が歩くと念じればその世界では念じた動きを可能にするのです。
グローブには触覚センサーが組み込まれており触った感覚がそのまま伝わります。
「そうなんだ。最新のゲームはそこまで進化してんだな。何より先ずは冒険だな」
ハイドはタウンを歩き始める。
しかし、何をどうしたらいいのかさっぱりだ。
「あ、あの!すみません!」
ハイドは前を歩く髪が赤い女性プレイヤーに声をかけてみた。
「ん?」
赤い髪の女性プレイヤーは振り向いた。
ハイドは女性に近づく。
「あの、モンスターは何処に居るんですか?」
「モンスター?君は初心者かい?」
「はい」
キャラネーム鑑定システムが常に働いている為プレイヤーの名前を随時知る事が出来るがとりあえずハイドは名乗る事にした。
「えーと…僕、ハイドです」
「私は、フレイヤだ」
女性は名乗り返すと黒いマントを靡かせる。
何の意味があるんだ?
「モンスターの場所だっけ?」
「あ、はい」
「ついておいで」
ハイドはフレイヤに連れられ歩き出す。
歩きながらハイドは何だか注目されてる様な気がした。
やがてハイド達は街の中心に着くと大きな水晶が散りばめられた大きな門に辿り着く。
「これは?」
「転移門だ。これを使ってモンスターの居るエリアへ向かう」
「これで行くんだ。」
「使い方は?」
ハイドは首を横に振る。
「まず、門の側に設置されてる端末を弄るんだ。
」
フレイヤが触れると光のパネルが現れた。
「このパネルに行きたいレベルと属性、フィールドタイプを入力すれば自由に行き来出来る」
「わかりました。ありがとうございます!」
「あ、それとこれを」
フレイヤは自分のディスプレイ画面の道具をクリックしいくつかを纏めるとOKをクリックした。
小さなアイテム袋が転送された。
「この袋に触れてみなさい」
「はい」
ハイドはそう言うとハイドのディスプレイ画面に「フレイヤさんからのアイテム詰め合わせを頂きますか?」と出ていた。
ハイドはOKをクリックするとアイテム袋が消えディスプレイ画面の道具に転送された。
「簡単な旅支度だ。よかった受け取ってくれ」
「ありがとうフレイヤさん」
「それとこれも」
ディスプレイ画面に「フレイヤがフレンド申し込みがあります」と出た。
ハイドは迷わずOKをクリックする。
「フレイヤ」がフレンドに登録されました。
「これはメンバーアドレスと言うんだ。仲良くなりたいプレイヤーがいたらこうするといい。」
「ありがとうございます」
「では私はこれで」
フレイヤはそう言うとハイドの側から去って行く。
「いい人だったな〜よしレベル1のエリアへ出発だ!」
ハイドは教わった通りにコンソールを弄ると門が開き始めた。
門が完全に開くとハイドはその中へ飛び込んでいく。門が完全に閉まるとハイドは転送された。
「ハイドか…」
「あ、いたいた!お嬢!」
「お姉様!」
背後から背の高い男性PCと杖を携えたエルフのPCの女性が走って来た。
「リョーマにコリンか」
「お姉様!何であんな初心者にメンバーアドレスを教えるんですか!?」
「いけないのか?」
「お姉様はランク1位ですよ!あんな、馴れ馴れしい初心者がお姉様のアドレスをいきなり!」
「コリンお前本音ダダ漏れだぞ…」
「リョーマは悔しくないわけ?私だってお姉様のアドレスはおろか、ギルドにやっとの入れて貰ったのに〜」
「だからダダ漏れだっての。しかし、お嬢が自分からアドレスを教えるなんてな。」
「そうか?」
「あ、天然だったなお嬢は…」
ハイドがアドレスを教えてもらったこのプレイヤーフレイヤはこのゲームのランキング1位の凄腕のベテランプレイヤーだった事はまだ知らない。