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お互い様

作者: 36’

久しぶりに小説更新しました。

え、なんで更新してなかったんだって?

そりゃもちろん音ゲーしてたり音ゲーしてたり音ゲーしてたんですよね。

とっても楽しかった。

 私が彼に告白されたのは、去年の12月のことだった。

「どうしたの?、坂口(さかぐち)くん」

「実は…川峰(かわみね)さんに伝えたいことがあって」

「なに?」

「俺と、付き合ってくれませんか…?」

 その言葉を言われた途端、冬だというのに心が暖かくなるのを感じた。私って、このために生まれてきたんだなって本気で思った。

「私も…坂口くんのことが好きだったの」

「マジで!?、嬉しいよ!、これからよろしくな!、川峰さん」

 そう喜ぶ彼の唇に私の唇を重ねて、

「川峰じゃなくって、『みやび』って呼んで…?」

 お互い真っ赤になりながら、私たちは付き合うことになった。


 私が坂口くんのことを好きになったのは、いつからだったか覚えていない。

 多分、一目惚れだったのだろう。入学式で初めて会話してから、彼のことを忘れることはなかった。

 彼がバスケ部に入るということを知って、慌ててバスケ部のマネージャーに立候補したりしたのも、いい思い出だった。

 それは坂口くんも同じみたいで、いつからだったか覚えていないそうだ。付き合ったことを友達に伝えると、

「え、みやびって坂口くんとまだ付き合ってなかったの?、もう付き合ってるのかと思ってた」

 なんて言われた。そんなバレバレだったのかな?、お互い。

 とはいえ、クラスみんなが祝福してくれたため、とても嬉しかった。

 この幸せがずっと続いて欲しいと願った。


 それから5ヶ月後。

(みのる)、クラス、何組だった…?」

「2組」

「ほんと!?、私も2組!、やった!」

「ドキドキしてたよ…お前と離れ離れになるんじゃないかって」

 私はその言葉に嬉しくなって、実の頬にキスをした。

「クラスが違かったとしても、私は実の彼女だよ」

「そうだな、俺もみやびの彼氏だ」

 今度は実の唇にキス…しようとした所で、ここはたくさんの人がいることに気づく。私は真っ赤になって顔を背けた。

 …やっぱり、5ヶ月経っても慣れないな…。

 初めての彼氏なんだし、仕方ない。


「実、ここ難しくない?、教えてよ」

 高校も2年目に突入し、勉強の幅が大きく広がった。私は勉強は苦手なのだがその中でも数学が苦手だったので、数学が得意な実に教えてもらっていた。

「…こういう事だ、分かったか?」

「あ、分かった!、ありがと実、天才!」

「はは、まあな」

 周りからは『また始まったよバカップルどもめ』『夫婦漫才か…』なんて声が聞こえるが、そんなのはどうでもよかった。

「実って、なんでそんなに勉強出来るの?」

「成績が低いと、バスケの大会に出れなくなるんだ。みやびもマネージャーだから知ってるだろ?」

「あー、そうだったね」

「だからバスケの練習終わったらいつも3時間くらい勉強してるんだ。おかげでいつも眠くってさ…」

「大変だね、私も実みたいに努力しなきゃ…、でも私集中力ないからな…」

「それなら、一緒に勉強するか?」

「え?」

「ほら、一緒に勉強すれば集中しないといけなくなるだろ?、それに…みやびと一緒にいたいし」

 やばい、付き合ってるのになぜそんなにドキドキさせてくるんだこの王子。

「分かった、いつ頃集まる?」

「今週の土曜日に俺の家でいいんじゃないか?」

「おっけー、楽しみにしてるよ」


 その夜。

 冷静になって考えると、彼氏と2人っきりで勉強会はとんでもなく重大イベントだと思う。

 そりゃあ彼氏なんだから…当然、そういう雰囲気になるかもしれない。

 実の両親は共働きだから…尚更。

 どうしよ…なんかにやけてくる。

 そのせいで私が眠りについたのは日付が変わってからだった。


 土曜日。

「やっほー」

「おはよ、じゃあ上がって」

 何気に実の家にお邪魔するのは初めてかもしれない。しっかりしろよ彼女なんだし。

「実の部屋ってどこなの?」

「2階」

 そう言うと実は階段を上っていく、私もそれに続いた。

「ここが俺の部屋、入って」

「お邪魔します…」

 流石に彼氏の部屋とは言え、異性の部屋はドキドキしてしまう。恋愛経験がないって?、そうですよ!、失礼な!

「じゃあテーブル出すから、座って」

 手際よく小さめのテーブルを用意してくれた。

「勉強始めようか」

「あ、うん…」

 とは言いつつも、2人っきりと言うのに緊張して、あんまり勉強に集中出来なかった。


 3時間経過。

「みやび、そろそろ休憩しよっか」

「あ…うん、もうこんな時間か…」

「みやび」

「え、何…っっ!」

 いきなりキスされた。ちょっと待って心の準備が出来てないんだけど!

 これってつまりそういう雰囲気だよね…?、なら覚悟を決めて…。

 と思ったけど、実はそれ以上何もしてこなかった。

「…え?」

「どうした?」

「え…だってキスしたから私のことを…」

「そういうのはお互い整理がついてからって決めてる」

「そうなんだ…」

 実の顔はとても赤い、私の顔も赤くなっているかもしれない。

 お互い黙りこくっていた。

 でも、実もそういう決断をしているなら私も待ってあげよう。

 彼と幸せになるんだ。


 5ヶ月後。

「実…、ここ教えてくれない?」

「自分で出来るだろ、それくらい」

「え…そうだね、ごめん」

 …。

 ここ最近、実の態度が冷たくなっていた。

 2年生になったばかりの頃はお互い好きと言い合って、キスもしていたはずなのに、今では私が好きと言っても「ありがとう」としか言われなくなって、キスも拒絶されていた。

 …幸せは壊れかけてしまったのかもしれない。

 でも、実はバスケの大会でミスをしてしまってそれにイラついているんだ、次の大会で優勝すれば機嫌も良くなってくれて、幸せも修復する…、そう考えていた。

 とはいえ、そろそろ付き合って1年が経つ。実にプレゼントでもあげれば機嫌が直ってくれるかも…、そう思って、彼に手作りのマフラーをあげることに決めた。

 あと2ヶ月で完成させるよう、頑張ろっと。


 私と実が付き合って、1年目の日。

 私は実を告白した思い出の屋上に呼び出した。

「みやび…、どうしたんだ?、急に呼び出して」

「…今日、実と付き合って1年目じゃん?、これ、プレゼント」

「…お前、わざわざ…」

「開けてみてよ」

 実が袋を開くと、私が2ヶ月、時々徹夜して作った手作りのマフラーが顔を見せた。

「…ありがと、みやび、とっても嬉しいよ」

「喜んでくれて、良かった…、キスしてもいい?」

「ああ、いいよ」

 私は実に1歩近づいて、唇と唇を重ね合わせた。

 久しぶりに、幸せだと感じた。


「もう坂口くんと付き合うの、やめた方が良くない?」

「…なんで?」

 友達からの言葉に首を傾げる。

「だって、最近みやびが話しかけても無視されてるじゃん、絶対気持ち薄れてるって」

「でも、1周年の時に送ったプレゼント、すっごく喜んでたよ?、バレンタインのチョコだって、受け取ってもらえたし」

「…じゃあ、お返しが来るか待ってみなよ、絶対来ないよ」

「別にいいじゃん、私は実と一緒にいて幸せなんだから…」

「はあ…そこまで坂口くんに惚れてるんだね…これは言いたくなかったんだけどさ…」

「何?」


「坂口くん、他の女と付き合ってるらしいよ」


 その日の放課後。

 友達の言葉が忘れられない。

 実が他の女と付き合ってる?、だったらなんでプレゼントを嬉しいなんて言うのよ…?

 私は実を信じる。でも、この事は実にも伝えないと…。こんな根も葉もない噂が流されていることは、実の耳にも入れておくべきだ。

 実にメールしたが、既読がつかない。最近は1日とか経ってから既読つくし、仕方ないか…。

 実の家に直接行こうかな…?、実に早く伝えたいというのもあるが…正直のところ、実の顔が見たい。

 そうと決まれば私は止まらなかった。実の家へと向かう。

 10分ほど歩くと、彼の家が見えてきた。

 最後に来たのは去年の4月の勉強会だから…10ヶ月?

 そんなに前だったのか…と、インターホンを押そうとしたところで、ふとあるところに目が留まる。

 それは、『燃えるゴミ』と書かれたゴミ袋だった。

 確かに今日は燃えるゴミが回収される水曜日だし、実の家にあっても違和感はない。いっぱいあるというなら話は別だが、見たところこの1袋しかないようだ。

 でも、私はこのゴミ袋から目が離せなかった。なぜなら、


 捨てられていたゴミの中に、私が2ヶ月かけて作ったマフラーがあったから。


 ゴミ袋に入ったマフラーを写真に収めると、私は実の家を後にした。もちろん、インターホンは押さずに。

 そっか…。

 そうだよね。

 何だったんだろ…私の1年間。

 一目惚れだったとか、やっと付き合えたとか、そんな感情が全て消えた。

 プレゼントを受け取ってもらえたことで私は思い上がっていたのかもしれない。でも、実にとって私はただ、邪魔者でしかなかったのだろう。

 家に帰り、実に『明日、放課後、屋上に来てください』とだけメールを送ると、私はそのまま眠りについた。


 翌日。屋上。

「実、来てくれてありがとう」

「ああ、俺も話したいことがあったから」

 彼も話したいことがあるそうだ。なんだろう、もしかして別れ話かな?

 もう既に分かってるのに。

「そっちから先に話していいよ」

「ああ…、ごめんな、みやび」

「…え?」

「俺、最近バスケの大会で調子が出なくてイラついてたんだ、だからみやびにもきつく当たってすまなかった、だからこれからはいつも通り、気軽に接して欲しい」

 …は?、何を言ってるんだこいつは。

 もしかして、まだ私が気づいてないと思っていて、私をキープしようとしているのだろうか。

 とんだクズ男。まあいいや、乗ってあげよ。

「そうだったんだ…、てっきり、私、嫌われちゃったのかなって…」

「本当にごめん、でも、俺はいつまでもみやびの気持ちは変わらない、去年もそう言ったの、覚えてるよな?」

 さあ、そうだっけ。

「うん、覚えてるよ…」

「だからいつまでも一緒にいような、みやび、俺、気持ちの整理もついたんだ」

 気持ちの整理がついた?、まさかあんた、身体目当てで言ってるそれ?

 もう1周回って清々しいよ、それ。

「だから、幸せになろう、みやび」

「嬉しい…、実、私も言いたいことがあるんだけど、いい?」

「そうだったな、お前が呼び出したのについ熱くなってすまない…、話したいことってなんだ?」

「私、バレンタインチョコ、渡したでしょ?」

「ああ、そうだな」

「実はあれだけじゃないんだ、バレンタインチョコ、もう1つ作ってたんだけど、バレンタインに間に合わなくて…だから、実にあげようって、呼び出したんだ」

「本当か?、みやび…俺のためにそこまで!」

 実は感動したのかなんなのか知らないけど、私の頬に軽くキスしてきた。

 やめてほしい、汚いし。

「はい、これ」

「ありがとう、これ自分で作ったのか?」

「うん、食べてみてよ」

「じゃあ…ん…甘くて美味しいな!、本当、ありがとう!」

 彼はその勢いのまま全部チョコを頬張った。

「とっても美味しかったよ、俺、ホワイトデーにお返しするからな!」

「うん、じゃあね」

「またな!」

 実はそう言って屋上を後にした。

 まあ、致死量の睡眠薬をチョコに入れたし、これで実の顔は見なくて済むだろう。


 私は持っていた水筒の水を顔にぶっかける。

 制服が濡れるのも考えず、今はただ、頬についた汚れを落とすのに必死だった。

 私はずぶ濡れになるのも、冬の風が冷たいのも気にせず、スマホを手に取りメールを開いた。

 そして、私はある人物にメールを打ち込んで、送信する。


「愛してます、先輩」


 こうしてみると、お互い様なのかもしれない。

今回はそれまでと全く違うパターンで書きました。

慣れないですこんな重い話は無理ですガタガタ…。


余談ですが、みやびがゴミ袋の写真を撮っていたくだりはなんの伏線なのか。

もちろん証拠隠滅を防ぐためでもありますが、当初はこの写真をネタにして坂口くんを脅してざまあ!というストーリーにしようと思っていました。しかし、そのストーリーにしてしまうと、


36'「ちょっとテンプレすぎるな…」


とのことで、写真を使って脅すのはなしにして、もっと非情な選択をさせました。(真顔)

写真どうなったのかは知らない。


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