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3/11

3:なんとなく知ってた






 「アタシ、絶対[聖女]になって、村のみんなを楽させてあげるんだから。もちろんその時はアー君のこともアタシが養ってあげるよ・・・なんちって。あっ、でもアタシのことは気にしないでね。戻って来られるか分からないし・・・寂しくなるけど、行ってきます!頑張ってくるよ♪」




 昨晩のことでした。


 勇者が訪れてから2年。

 15歳になりました。

 新しい畑も完成しました。


 けど・・・


 いっつもこうだ!

 オレがやる気を出すと、根底から崩れ落ちる。

 生前からこうだ。

 しゃっー!ってやる気に満ちてたら、正面からの困難じゃなくて、根底そのものが無くなるんだ。

 文化祭が校舎耐震補強工事で中止とか、内定が取れたら倒産とか、初めて彼女が出来そうって思ったら宗教勧誘でしたとか、、、


 ぁぁあああああああ・・・・・


 もう~ね、呪いね、これは、、、


 上げて、落とす!

 みたいな。

 考えてみれば、無能転生もこれね。

 いっっっつも足下すくわれるの。

 いや、被害者意識全開で、卑屈になってんのは分かってんよ?

 けどね、もうそんなレベルじゃなくて、、、


 多すぎるの!

 デカすぎるの!


 オレのご先祖さまは、お地蔵さんを蹴り飛ばして歩いたのか!ってくらい、不運の連続なの。

 ゼッテェ孫の代まで恨まれてるの。


 この世界で唯一のオレの幸運。


 美少女幼なじみのウェルチ。

 15歳になりました。

 子供から美少女への成長が見え始めました。

 チートはなくてもウェルチと結婚して、田舎でスローライフと夢に描いておりました。


 王国の人たちが来ました。


 [神託の聖女]候補だと言っていました。

 王都の上級学校に行って学ぶのだそうです。

 ウェルチさん喜んでました。

 オレと目が合って、少し気まずそうな顔をしたけど、すぐに期待値が上回ったみたいです。


 知ってたけど再確認。


 ウェルチさん、結構ミーハーで流されやすい性格です。

 もう浮かれて行く気マンマンです。

 別れの言葉も、惜しむ気持ちより微妙にどこか嬉しそうです。


 知ってたけど再確認。


 これはもう、、、


 捨てられちゃいました。




 と、いうことで。


 「びえええぇぇん!・・・ヒック、ヒックッ、うぁぁああああああ」」


 マジ泣きです。

 見送りにすら行かずに、田んぼで一人マジ泣きしながら耕しています。

 狂気の沙汰です。

 一心不乱に耕し続け、一週間は掛かる思っていた作業を、日が暮れる頃には終えていた。


 「・・・もう、イヤだ」


 沸々と怒りがこみ上げてくる。


 「こんなの、もうたくさんだ」


 生前より自分から、なにかを掴み取ろうと、必死になったことなどなかった。


 「流されるだけの人生は、もうとっくに、一度終えたはずなのに」


 夢にまで見た異世界転生。

 にも関わらず、能力が無いことを言い訳に、また流される人生を繰り返していた。


 「ここは剣と魔法の世界だ」


 勇者?

 聖女?

 なめんじゃねぇ!

 オレだって必ず・・・



 「・・・ゼッテェー、のし上がってやる」







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