能力の確認
「さて、せっかくですので今日は泊まっていってください。もう部屋はとってありますので」
たしかにもう遅いとなると泊まってっいったほうが馬車を動かす側も急がなくてすむだろう。
「じゃぁ……お願いします」
そう返事を返すとカケラはニコッとして部屋を後にした。
「俺が王様……ねぇ」
俺はまたベットに横たわり考えた。たかが魔法ができるからという理由で王に選ばれるのはなんか釈然としない。もちろん王がいっていたもう一つの理由もまだ理解できていない。そんな状況で王になんて到底なれない。まずは事実確認からしよう。
「まず本当に魔法が使えるのか試してみよう」
そう思った俺は少し目を閉じ指先の方に少しだけ意識を集中させ……。
『炎よ、舞え』
この瞬間自分の手から不思議な光が出始め、2、3秒ほどして自分の体の回りに火の玉が俺の周りを等間隔で回りだした。
「……まじか、本当にできるとは……」
そして少し経って火の玉は自然と消えた。
「……仕方ない、現実を受け止めるしかないか」
そう言いながらため息をついた。それとほぼ同時に扉の方からノックの音が聞こえたあと、扉越しにカケラが「お食事の準備が整いました」といってきた。
俺は数回深呼吸をしてから「わかった、今からいきます」といって部屋を出て、カケラと一緒に王室に向かった。