王に選ばれた理由 一つ目
「まぁさっきも言ったが君にはこの町の王になってもらいたい訳だが、それには二つ理由がある。一つは君は魔法が使えると言うことだ」
「俺が……魔法を使える?」
「そうだ、この町には魔法を使える人はいないに等しい、使えたとしても指から水を少量出す程度だろう。だが君は違う、私でも感じることができる魔力を君は秘めている」
「う、嘘だろ?」
さっきから魔力を秘めているとかなんとか言ってるが俺は魔法なんか使えないし、そもそもここに来るまで魔法があることすら知らなかったんだ。きっとなにかの見間違いか何かだろう。そう思って話の続きを聞いた。
「もちろん最初は見間違いだろうと思っていた。だが君の住む集落の畑に違和感を感じたんだ。なぜだかわかるかい?」
「……いいえ、わかりません」
「畑自体に魔法がかけられていたんだ、それも一つじゃない。土を柔らかくする魔法、水の吸収をよくする魔法、植物に成長を早くする魔法などがかけられていたんだよ」
「……それって……もしかして……」
「察しが良くて助かる。そう、そこは君が耕し、君が種をまいた所だ」
「じゃぁ俺は今まで無意識に魔法ってやつを使ってたってこと……ですか?」
「そういうことになるね」
確かに今まで畑仕事で自分だけ収穫時期が早いことや耕すのに手こずっている奴を手伝った時にすんなり耕せることはあったが、これが全部魔法だったなんて……。
「作り話にしては、現実に起こりすぎてるだろう?」
……まじかよ。そう考えながらしばらく放心した。
「……まぁこれが一つ目の理由ね?」
あ……もう一つあるんだった……。