突然の宣告
『待つこと2分』
「おっと、すっかり忘れておったわ、すまぬ」
「あ、いえ、楽しそうだったので」
忘れられていたのか……こっそり帰るべきだったな
「では本題に入ろう、夢乃影人くん」
さっきまでおっとりしていた顔が急に真面目な顔になって一瞬キョドッてしまった。だがなんとか頷くことができた。
「うむ、では単刀直入に言おう、君にこの町の王をやってもらいたい。」
「・・・は?」
俺はその瞬間一気に頭の中が真っ白になった。そして一気に立ち上がり思いっきり扉の方に走ろうとした。が、黒い服の男に行く手を阻まれてしまった。男が何か言っているようだが頭に入ってこない、とにかくこの場から逃げたいの一心だった。しかし急に足が重くなった。
「まぁそうなるとは薄々感じておったよ、急に意味のわからないことを言われたんだからな。」
「お、俺に何を……」
「ちょっと魔法を使っただけだ、この町で使えるのはワシだけだがな。」
魔法?何を言っているのかよくわからないが、この場から逃げれないことだけははっきりわかった。
「……はぁ、わかりました、話を聞きます。」
「そうしてくれると助かるよ、まぁこれから説明するから落ち着いて聞いておくれ。」
そう言いながら指をならした、おそらく魔法とやらを解いたのだろう、急に足が軽くなったから多分正解だ。
「では、続きを話そうか」
王がそう言っている間に俺はまた席に着いた。最初とは違い、王に近い席に。