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時雨、その下で殺しあうミュータントの物語  作者: 栄乃はる
誰かの物語だったものー5
94/174

リンク切れ/ハーフタイム

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ユリウスは目を覚ました。その場所は何もない空間だった――――どころか時間の流れすら危うく感じる。ほとんどがゼロに近しく、人がいたのならば数日で発狂することが容易にわかった。


どこまでも続いていそうな白亜の壁と床。試しに叫んでみると、声はどこまでもどこまでも遠くに飛んでいき、二度と帰ってくることは無かった。


そこは無音室めいたなにかがあったように思えた――――それは音だけでなく魔導にも作用する用で、自分の肉体以外は何も動かすことのできるものはない。ユリウスは何かないかと見てみるが、ただあるのは平面だけ。いくら歩いても果てがあるように思えないので、そのうち彼は寝ころんで目を閉じた。


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しばらくしたときに、どこか遠くから声が響いてきた。それは確実に聞き覚えのある、憎い声。常盤のものだった――――だから彼は、身構えて音の方向を確かめようとする。しかしその試みは無駄に終わった。


音は自分の脳内から響いてきていた。こんな魔導はきいたことがないが、意識にまで奴は干渉できるらしい。もはや人間が対抗できるものでは無いとあきらめて、彼はその声を聞くことにした。


「目が覚めたか――――そしてどうだ、久方ぶりの母なる地は」


「母なる地?こんな平面に生まれた覚えはないさ」


ふてぶてしく返してみた。まともにやっても勝てるような存在でないことはわかっているのだ、だったら少しでも嫌味をするしかない。彼はどこかで見たような物語の主人公めいて、返すのだ。


そうすると常盤は気づいていないのかとばかりに答える。


「……そうか、ならいい。だが気づかんのか?」


「何をだ?」


「全てにだ。この世界の異常に気付かんのか?」


もちろんそんなもの知るはずがない。そもそも何がおかしいというのだ。剣と魔法の世界だろう?人が魔道で空を飛び、ほとんど出会わなかったとはいえモンスターもいる。オートマタめいたゴーレムも作られているし、鍛冶屋が技術を競っている。そんな世界の何が異常というのだ――――一つあるとするなら、消えていくこの記憶だけだろうか。そんなもの関係ないだろうに。


そうしていると常盤は、本当に気付かんのかとあきれた様子で姿を消した。それはどうしてか悲しげに見えたが、今のユリウスにはどうでもよかった。


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Rep_No.062


これからはデータを移送しつつ行うので、ここからの記憶は残るだろう。これまでのはほとんどすべて消えているが、どうにかして復旧できれば幸い。だけれど実機が無くなりそうで恐ろしい――――まあ、なんとかはする。


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