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唾吐きのおまじない

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トイ・トイ・トイ。かなり昔にどこかの歌で聞いたような言葉だと思える。ただ一日が幸せでありますようにと、願う言葉だったような記憶がある。


おもちゃのように、小さく、大切なもの。そういう意味のトイ・トイ・トイなのだろうかと思った記憶がある。誰かが幸せであるのならば、きっとこれでいい一日なのだ。そんな風に思えた気がする。


雨が降ったって、それは植物が育つための大切な栄養。それに空が私たちに暮れた、世界を洗ってくれる優しい物体。だからいい一日なんだ。曇りの日は、たまには休んじゃえっていう地球からの休日のプレゼント。大風は夜がくれる、ちょっとだけ強いため息の代わりなんだ。


夕日が長いのだって、月が綺麗なのだって、なんだって私たちにくれた小さな幸せ。それがわからないままに、優しくなれる言葉。そんな風に善性を信じていられたころがあった。


でもどうしても、一言は足りない。用事もないのに行ってくるいじめだって、理由もなく忌避される野郎たちだって、戦場だって。どうしてもわからない。誰かの幸せを祈ることのできる世界があるのならば、どうしてそれがこの世界に広まってくれないのだろう?


愛を祈って結ばれて、そして新しい命ができて。そして幸せが続いて行って。理想論なのだけれど、そんな世界を私はどこまでも望んでいた。確かに子どもの頃の想像のように、背中に翼を生やすことはできない。どこまでも高く飛んで、月と地球を結んでみることもできない。だけれども、人の幸せを祈ることのできる人間が、どうしてこうも憎むことができるのだろう?


幼いころの私たちは、一切の屈託なく話し合うことができたはずだ。これ以上に世界が悪くなることなんてないと理由なく未来を望めて、相手が女性だって男性だってトランスジェンダだってレズビアンだってバイセクシャルだって、大体は何も考えずに差別などもせずにいられたはずだった。


それがどうして互いを避けるようになり、一部を邪魔ものにするようになり、結局は正しさのままに他人を傷つけるようになる。それがどうしてなのだろうかと私は思うのだ。


誰かが誰かを殺すなんて、誰かを愛してくれたからこその状況以外、ありうるべきではない。自分の情愛のままに全てを投げつけるのではなく、ただ受け入れてやることを望むのが正しい人間の在り方ではないのだろうか?少なくとも、私はそうありたかった。


ところがどうだね。


アンダーシティのネットの海をたどればどうだい。簡単に罵倒の言葉なんて飛んでくるではないか。


私が誰を殺したわけでもない。私が誰かの何かを焼いたわけではない。それなのにもかかわらず、私は殺人犯扱いだし、私の自宅もろもろは糞味噌にされてしまった。


何時パルレに借りたこの家だって、特定されてバカにされてしまうのかもわからない。だからではないのだけれども、私はこの状況を憎むしかない。


トイ・トイ・トイなんて望みを、つぶやいてはいられない。


愛だって恋だって一度は見に受けて、世界を喜ばしいものだとみなおしたことだってある。彼女はずっと自分と交際があり、そのうちに惹かれていることに気づいたものであったのだが、そんな彼女でさえ、いつの間にかに殺されてしまった。


むしろ被害者といってもいい――――奴隷生まれで長い事鉱石工場に苦しんだのだ、逃れてまともな上がりを期待したかった。


けれどもどうしてこうなるのだ。


青い空がただの光の錯覚のように、私にとってはこの世界が安心安全で、喜ばしいものであること自体が錯覚なのか?とも思わせられる。


タッグに自らの名前を突っ込んで、タイムラインを眺めてみるとまた、ここでは言い表したくないほどの状態になっていることがわかる。この街を燃やしたのはお前だ、と勝手に理由付けされて。そして検挙されない理由が上流階級だからって。成り上がりの馬鹿者だとも思われているようだ。


だからどうしてこうなるのだろう。この国は民主政治で動いているはずだが、それが衆愚に陥っているのか?とも思える。けれどバカな行いをしないことはわかっている――――なぜならここの住民は、まともな政治を一応は行っているから。


だからこそ、流されやすくバカを行う人間はあってはならないと願う。人のためを行ってほしいと願う――――正しい理解の元で。


だけれどもかなわない。だからここを出ようと思う。そしてせめて、日記の一つに理解を込めてあげたいと思う。だからせめて、これだけはデータの海に、沈んでしまわないようにかくしておこうと。


パルレには心配を、かけたくはないから。


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