表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/174

励声/取引

----


隣室を渡すというのはジョークかと思っていたので、アストラは何か気まずいものを感じていた。部屋にある最低限の生活物資は自分のサイズに合わせてあり、どうやら電子戦では完全に負けている。

注文履歴をあさられているらしい――――届け先はボックスだったはずだが、徒歩圏内にしたのがまずったのだろうか。


一つ一つ嫌みのようにぴったりなのが、その気になれば通報してやるのもできるのだと言うようで、崖に蹴り飛ばされそうにある感覚だ。彼はいつものコートを脱いで、最低限をシャツのポケットに収める。


最低限の礼儀を整えて彼は、いなくなったオルレのことを思い許せと扉をノックした。


中にいるのはクリスとビッタ。もちろんしばらく前に戦闘をしていた時の装いだ――――と言っても中身からは湯の後の香りがあった。どうやら装備の重みに耐えかねたらしい。


「さて、取引をしましょうか」


女性の部屋に踏み入るのは幾分気が引けたが、逆にクリスはその程度どうでもいいのだろう。小説のように固い態度でホルスターを持つ彼女はビッタに示し、空間投影で情報を出す。青い色した中にあったのは彼に関連したハッカーたちと、その生死だ。


「貴方は現在で32人と関連して、その上で全員が死んでいる――――何がしたか、語ってもらえる?」


特に何か特別にしたわけでもない。ランダムに引っ張って依頼をして、まかり間違って戦闘に巻き込んだ奴らだった。


「語らなければ何をすると?」


アストラは肩に力を入れて見せる。ほんの少し前は協力をしたけれども、それはあくまで逃げるためのビジネス関係。逃げ切った今なら別に何もないのだ。


うすうすはミュータントだろうと勘づいている二人はそれも見越し、顔を見合わせて肩をすくめた。


「別に何もしないわ…………ただ、ちょっと教えるだけよ」


「何をだ?」


「そちらの居場所をよ。タッグの位置情報は抜いたし」


やはりかと、彼はタッグを握りつぶそうかと思う。中にいろいろを突っ込んであるから、オフラインで移して――――いや、結局ばれるか?


無駄と分かりながら彼は言う。


「どこに?」


それにビッタは、微笑みながら。


「ストレイド――――それが何を指すかは分かるでしょ?」


そうかつて購入した99ショートを回した。マガジンをアストラに向けて投げ、彼女は弾薬のないそれをもてあそんで続ける。


「ガッシャ・ユニットのガッシャハンド。それの99ショートよ――――あなたが持ってるのと同じ、コピー品。どこで入手したかはわかるでしょう?」


同じように彼は自分の物を取り出し、マガジンをホルスターに収めてスライドを引いた。


「セカンドレイヤー、か」


思った以上に深入りできるようだ。彼は拳銃を投げてはじけ飛んだ弾をマガジンにしまい、キャッチしつつ戻して流麗に収める。


「ステーション名の意味も分かるんだろう?」


無言の肯定。アストラはよいよいと冗談めいた剣を生成してみせ、自らがミュータントと示してつづけた。


「…………なら、あくまでビジネスといこうか」


彼らはしばらく睨みあって、互いに同時に力を抜いた。そうしてあの蝙蝠男について、いくらかの会話を交わし、十分に交換条件とした。


----

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ