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励声/対面

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タッグの反応と予約データから先回りすれば、あのエレカの行き先はアーレット通りだろう。ゼロゼロ物件を移動中に取っているのだから、何かがあったに違いない――――そしてビッタの知り合いが持っているはずのタッグが、あのミュータントの懐にあったこと。


つまり彼もハッカーかそれに類するものではないのだろうか?


そして彼を追えば、何かがつながるのではないだろうか…………?


そうクリスらは思った。だから急ぎに急いでアストラの元へと先回りし、冗談みたいなスピードで扉の鍵を解析して開いたのだ。


何かがあってもすぐに殺されるわけはない。こちらは一応元ポリスだし、ストレイドに追われる人間が対抗能力など持てるわけがない――――自分らに頼らねば道は消えるかもしれないのだ、味方にはなってくれるだろう。


彼女らはそう思っていた。


ビッタに来ているか来ていないかを見張っていてもらっているので、クリスは茶を飲んでくつろぐ。人の家に侵入してふてぶてしくするというのはあまり好きではないが、これは私ではなくビッタの趣味だ。付き合ってやらねば仕方ない。


そう内心ワクワクしながら彼女はソファーに寝ころんでいた――――すると明かりそのほかもろもろが機能を失い、部屋は完全に静止する。


「そろそろ来るから、オフにしとく」


その声に応じて銃を抜き、彼女は身構えつつも息を抜く。10分ほどの間空白の時間があってドアが開き、明かりがついて男はクリスの姿に驚いた。


彼はいきなり銃を抜き、身をひるがえして彼女に問う。


「お前は誰だ…………どこから来た!」


急なことに内心では驚きながら、クリスはそれを見せずに答えた。


「聞きたいことはこちらにも…………身内の知り合いが死んでね」


「それがどうしたと?」


「貴方を追っているミュータントが、彼の端末を持っていた。そう言えば?」


言葉を選べるほどの語彙はないが、あくまで相手側にメリットがあるようにすればいいのだろう――――クリスはその上でタッグを取り出し、端末の持ち主についての情報を取り出す――――その中には彼の端末のアドレスもある。


彼にそれを手渡し、彼女はつづけた。


「私たちは今、連続ハッカー殺人事件を追っていてね…………被害者とつながっているうえ、ストレイドにまで追われているあなたを逃したくないのよ」


警戒を緩めずにタッグを返却し、男はコートの前を開けた。これから何かを起こそうというのだろうか?クリスも同様に注意してタッグを受け取り、しまって続ける。


「そこで貴方に協力を求めたい…………次の住居と電子的サポートは約束できるわ」


すると男は発砲するのだ。


「いいだろう」


彼がそうつぶやくと同時に、クリスの真後ろにいた人間がシルクリートの路面で花を咲かせる。


「だがそうするのは、生き残ってからだ」


まさかと彼女がベランダに出ると、そこにあったのは取り囲みつつあるギャングだのの影。


「どうやらそっちと同じことのできる野郎がいるらしいな…………そちらが漏らしたとも思える。どう信用しろと?」


「私が撃たれかけた。それだけで十分ではなくて?」


男の銃声が反響するかのように広がって、そのままオルガンのごとく弾丸が増える。中から出さないための制圧射撃だ――――かなりの練度があると見え、一つの銃が限界を迎えれば次と、リロードのすきを見せない。


決断を遅らせれば入り口から入られて、逃れようのない弾丸で殺されるだろう。ミュータントといえど銃弾には勝てないのだ。


ほんの数秒で彼は答える。


「アストラだ」


そしてクリスをつかみ、アストラは扉をけり開けて外の三人の脳天をぶち抜く。階下のポラリスまではそれで十分だった。


乗り込んでエンジンをかけ、二人は奇妙なバランスでの二人乗りをする。背中合わせに座して、後方で狙うのはアストラ。前方で走らせるのはクリス。


追ってくるのはフリーランスの雇われで、そのタイヤをアストラは撃ちぬいてみた――――しかしパンクはしたもののまともに走っている。車体を狙ったものははじかれているので、ご丁寧に防弾仕様を持ってきたらしい。


「手持ちじゃ抜けない……何かできるか?」


「もちろんよ」


クリスはビッタにエレカの制御ソフトへの干渉を頼み、彼女はレーダーゴーストを生み出してそれにこたえる。ついでにHUD機能を阻害して速度だのスリップ率だのをを消して目隠しし、カーブでミスをして一部はガードレールにたたきつけられる。


それでも追ってくるものはオートパイロットに偽情報を。マニュアルで動かすものには強制的にフルブレーキをかけさせ、ハイウェイでチェイスをしていた人間の残りは2人だけになった。


もう銃はいらないとアストラはホルスターに戻して、一体これからどこに行くつもりだと聞く。するとクリスは馬鹿じゃないのとポラリスを左右に揺さぶり、「どこに行きたいので」と肩を緩めた。


「そうだな…………ホーム・スイート・ホームか?」


「冗談ね」


クリスは行きに使ったジャンクションに乗り、ハイウェイを乗り換える。


「まあな――――のこのこと戻れるかよ」


料金所での精算はアストラが流れるように行い、減った金はビッタによっていつの間にか穴埋めがなされた。


「こうなったのもそっちの関係だ、隠れ家の一つくらいあるんだろう?」


彼はしまう前に確認した残高に、ほんの少し目を丸くする。


「しばらくは私たちのとこの隣室よ。事情聴取が終わるまでだけれど」


そして話を聞きながら器用にマガジンの中の弾を確認し、10×25ミリはあるかなとつぶやいた。


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